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大相撲パラサイト 


部屋データ 24年版

部屋・一門別の勢力を図る「部屋データ」第3弾。
この一年は様々な理由で師匠交代が多く、閉鎖もあった。
今回も選挙となった理事選の結果も含めて現状を解説する。

部屋ごとの詳細ページもオープン。


  理事 所属 勢力 代表力士 備考
二所ノ関一門 11 A 琴欧、琴奨、稀勢 佐渡、鳴戸から3大関、尾車も健闘
無所属(貴乃花G) D 若荒雄、大道 関取は阿武松頼み
出羽海一門 11 B 把瑠都、雅山 本家以外は順調
立浪一門 B 白鵬、日馬富 分裂危機 立浪離脱し改称へ
時津風一門 C 鶴竜、豊ノ島 本家以外は関取枯渇
高砂一門 D 隠岐海、朝赤龍 朝青、大海引退で世代交代期

<部屋データ 注釈>

師匠現役名:青字は元横綱、緑は元大関。下線は近年継承。

創設形式:「独立」(旧所属から内弟子を引き連れるなどして分離)

「改称」(名跡変更等により部屋名を変更)、

   「継承」(他の部屋を自身の年寄名のまま受け継ぐ)

★は当代の親方が初代。


二所一門 所属部屋11 理事2

部屋名 師匠現役名 創設年 創設形式 独立元 代表力士 現役関取 四股名の特徴 勢力 実績 備考
二所ノ関 金剛 明治42 独立 旧・友綱 玉錦、大鵬   大、漢語 F S 始祖は海山、佐賀ノ花時代に独立相次ぐ
放駒 魁傑 昭和56 ★独立 旧・花籠 大乃国、花ノ国   傑、魁、駒 E B 旧花篭部屋から独立後、同部屋を吸収
芝田山 大乃国 平成11 ★独立 放駒 大勇武   E E 過去関取一人
峰崎 三杉磯 昭和63 ★独立 放駒 E F 現役時代は花籠のち放駒所属、花籠を吸収
鳴戸 隆の鶴 平成元 ★独立 二子山 隆乃若、力櫻 稀勢里、高安ら 隆、里 B C H23.11、師匠の急死で急遽継承
松ケ根 若嶋津 平成2 ★独立 二子山 若孜、若光翔 松鳳山 D D 19年荒磯から行司ら受入
花籠 太寿山 平成4 ★独立 二子山 光龍 荒鷲   E D 新花籠と表記。荒磯が合流も5月閉鎖へ
高田川 安芸乃島 昭和49 独立 高砂 剣晃、前乃森   前、安芸 D C H10年高砂を破門、23年二所一門加入
片男波 玉春日 昭和37 独立 二所 玉の海、玉富士 玉鷲、玉飛鳥 C A 玉ノ海が独立。玉ノ富士を経て22年に当代
佐渡ヶ嶽 琴ノ若 昭和30 独立 二所 琴桜、琴風 琴欧洲、琴奨菊ら A AA 先代琴錦が独立、琴桜、17年に当代へ継承
尾車 琴風 昭和62 ★独立 佐渡 富風、星風 豪風、嘉風ら C C 師匠退職に伴い押尾川部屋を吸収

●閉鎖・消滅した部屋:旧・花籠、二子山、旧・藤島、押尾川、荒磯

22年理事選時に貴乃花一派が一門離脱
23年元高砂一門で無所属だった高田川が加入。
23年鳴戸が師匠の死去に伴い部屋付きの西岩が継承。
24年、花籠部屋が閉鎖し峰崎部屋に合流することに。

大きな勢力を有する一門だが、22年理事選における貴乃花親方の一門離脱でヒビが入った。
旧藤島部屋の若手親方ばかりか、前理事の間垣や中堅の阿武松までも一門を出ることになり理事数減少。

昭和の前半から二所ノ関部屋は分離独立が激しく(佐渡ヶ嶽、旧芝田山・花籠、片男波)、
今日の大勢力を誇る礎となったが、それぞれの独立時には移籍問題が起こり、元々お家騒動が多い一門である。

旧花籠からは横綱若乃花、輪島、大関魁傑。
二子山からは横綱若乃花、隆の里、貴乃花、若乃花、大関貴ノ花、若嶋津、貴ノ浪が輩出。
佐渡ヶ嶽からは横綱琴櫻、大関琴風、琴欧洲、琴光喜、そして琴奨菊。
片男波からは横綱玉の海が出るなど、実績は抜群。

新しい部類の鳴戸、尾車からも役力士を輩出している。
そして24年初場所、稀勢の里が大関に昇進した。

大成した力士ほど独立志向が強くなるのは致し方なく、旧二子山部屋から5,放駒からも3つの分家が誕生。
今後の動向にも注目が集まる。


<無所属>

★貴乃花グループ 所属部屋4 理事1

部屋名 師匠現役名 創設年 創設形式 独立元 代表力士 現役関取 四股名の特徴 勢力 実績 備考
貴乃花 ○貴乃花 平成16 継承 (二子山) (貴ノ浪) 貴ノ岩 E E 二子山部屋を一代年寄名で継承
間垣 二代若乃花 平成58 ★独立 二子山 五城楼、若ノ城   若、若三 E D
大嶽 大竜 平成16 継承 (大鵬) 露鵬   珍名多用 E D 大鵬から継承
阿武松 益荒雄 平成6 ★独立 大鵬 片山、古市 若荒雄、大道ら 緑、師匠名など C D 押尾川の弟子、大鵬部屋付から独立

二所一門を離脱した部屋の連合。通称貴乃花グループ。
旧藤島系二子山部屋の貴乃花、大嶽、さらに改革派の阿武松、元理事の間垣も加わった。
22年、強引に立候補した貴乃花親方は、上記支持者に加え他の一門から造反票も得て逆転理事当選。
異例の30代理事誕生で話題をさらっていたが、野球賭博問題で水を差された。
スポークスマン的存在だった元貴闘力の大嶽が懲戒解雇。部屋付の大竜が二子山から名跡変更し継承。
造反票を投じて針のムシロだった立浪一門の元光法を二子山に迎えている。
阿武松部屋は逮捕者ほか多くの関与者を出して最も大打撃を受けた。

離脱から2年。貴乃花は、他の一門からの票を受けて予想外の悠々連勝。孤立はしていない。


出羽一門 所属部屋11→10→11 理事3

部屋名 師匠現役名 創設年 創設形式 独立元 代表力士 現役関取 四股名の特徴 勢力 実績 備考
出羽海 鷲羽山 江戸     常陸山、栃木山   出羽 E SS 文久から続く老舗
藤島 武双山 平成22 継承 出羽海 武蔵丸、出島 雅山、翔天狼ら 武、本名 C A 元三重ノ海の武蔵川部屋を継承
三保ヶ関 増位山 大阪 独立 出羽海 北の湖、北天佑 阿覧 D A 昭和初期出羽海に吸収、戦後再興
北の湖 北の湖 昭和60 ★独立 三保関 巌雄、北桜 北太樹、臥牙丸 北、湖 C C 二十山部屋、木瀬部屋を吸収
尾上 濱ノ嶋 平成18 ★独立 三保関 山本山、境澤 把瑠都、天鎧鵬 本名から C C 八百長問題等であわや閉鎖の危機
春日野 栃乃和歌 大正8 独立 出羽海 栃錦、栃ノ海 栃煌山、栃ノ心 B S 大正期独立、栃木山ら3横綱から当代へ
玉ノ井 二代栃東 平成2 独立 春日野 二代栃東、国東 富士東、芳東 C C 初代の栃東が独立、停年に伴い継承
入間川 栃司 平成5 ★独立 春日野 皇司、Y司 磋牙司 D D 八百長で痛手
千賀ノ浦 舛田山 平成15 ★独立 春日野   舛ノ山 D E ついに関取、幕内力士誕生
境川 両国 平成10 ★独立、改称 出羽海 岩木山 豪栄道、豊響ら 出身等から B C 中立部屋として独立後、師匠が名跡変更
田子ノ浦 久島海 平成12 ★独立 出羽海 碧山 碧、久 D E 悲願の関取誕生も師匠急死で消滅

●閉鎖・消滅した部屋:二十山、木瀬

22年、藤島が武蔵川部屋を継承。木瀬部屋が不祥事で閉鎖され、力士ら北の湖部屋に移籍。
しかし24年5月場所より再興が認められた。
24年2月、田子ノ浦師匠が死去、力士は出羽海、春日野へ。

本家出羽海部屋には、長く分家独立を許さない伝統があったため、
功労者の春日野や歴史のある三保ヶ関が例外的に独立しているだけだった。
その影響もあり、現在でも比較的シンプルな部屋の系図を描くことができる。

横綱千代の山の九重さえ独立時には破門されたが、近年は緩和されている。
横綱三重ノ海が武蔵川部屋を、それに続いて平成に入ると大学相撲出身の親方を中心に独立ラッシュが起こった。

彼らの積極的なスカウトで一門に勢いが出ていたが、
新興の代表・木瀬部屋が22年に暴力団がらみでお取り潰しに。
弟子は北の湖部屋に移ったが、その弟子が八百長認定を受ける。
吸収した二十山部屋から移籍した力士の大麻事件により理事長を辞任した北の湖親方は、
またしても不運な形で責任を取らされ、理事辞任となった。

二所分裂で最大勢力となった出羽一門。24年もがっちり理事3枠を確保、北の湖理事長も復帰した。
若い部屋持ち親方も多く、活気がある。


立浪一門(→春日山・伊勢ヶ濱組合) 所属部屋8→6 理事1

部屋名 師匠現役名 創設年 創設形式 独立元 代表力士 現役関取 四股名の特徴 勢力 実績 備考
立浪 旭豊 大正4     双葉山、羽黒山   立、浪 E S 一門離脱 貴派合流か
大島 旭國 昭和55 ★独立 立浪 旭富士、旭豊 旭天鵬,旭秀鵬 C B 師匠停年で春場所かぎり閉鎖、友綱へ合流
追手風 大翔山 平成10 ★独立 立浪 追風海 黒海 追風、大翔 D D 大関清水川が独立も、長く途絶えていた
友綱 魁輝 昭和36 改称 (旧高島) (太刀山)魁皇 魁聖 D C 明治の名門。先々代が高嶋から改称し復活
朝日山 大受 大阪     高鐵山、琉王 鬼嵐 朝、受、大 E C 大阪相撲から続く。23年桐山を吸収
宮城野 竹葉山 昭和35 独立 友綱 陸奥嵐 白鵬   C D 吉葉山が独立、現師匠は一門外から
伊勢ヶ濱 旭富士 平成19 ★改称 (安治川) (照国、清国) 日馬富.安美錦ら 富士、安 B C 安治川部屋を継承した現師匠が名跡変更
春日山 春日富士 平成9 ★独立 安治川 春日王   春日 E D 旧春日山の現師匠が独立し再興

●閉鎖・消滅した部屋:旧伊勢ケ濱部屋、旧玉垣、旧高島、旧追手風、旧間垣、
旧大鳴戸、大鳴戸、旧春日山、旧木瀬、武隈、安治川、桐山、新高島

23年1月桐山部屋が閉鎖。幕内徳瀬川らは朝日山部屋に映るが、直後に八百長問題で引退。
同年6月、高島部屋は引退により弟子が不在となり、消滅。師匠は春日山部屋所属へ。
同年、一連の不行跡による処分として異例の勧告を受け、宮城野部屋師匠に先代が復帰。

24年2月、元幕内濱錦が春日山師匠となり、理事当選の春日山は雷に変更。
春場所後、大島部屋が師匠停年に伴い友綱部屋に合流
立浪が造反票を投じたことから離脱が決まっていたが、5月場所中の一門会で正式決定
看板名跡を失い、今後は「春日山・伊勢ヶ濱組合」の名称を使うこととなった。

巡業などを一緒に行ってきた経緯から、長く「立浪・伊勢ヶ濱連合」と呼ばれていたが、
先般の旧伊勢ヶ濱部屋(元大関清國が停年)の閉鎖によって立浪一門と改称されることとなった。

双葉山・羽黒山らを輩出した名門立浪部屋も、当代への継承時に大揉めとなり混乱。
現在は、傍系の方が力を持っている状況である。

歴史のある部屋が多いが、興亡が激しい。
部屋持ち親方の名跡変更で途絶えたり(2度変えた巴潟、最近では旭富士)、
元弟子が再興したりするケースが多い(春日山、高島など)。
立浪、宮城野のように養子縁組などで他系列の力士が襲ったりして、極めて関係が複雑な一門。

1人横綱白鵬を擁する一門だが、23年は2つの部屋が後継不在などで閉鎖、大関魁皇も引退。
理事選では、造反で大島が落選した前回に続き、まとまりを欠いて友綱が落選。
立浪の造反が明らかになって紛糾、新たな一門の名称がやっと決まったが、
一門会や連合稽古の足並みも揃わない有様で前途多難。


時津風一門 所属部屋9 理事2

部屋名 師匠現役名 創設年 創設形式 独立元 代表力士 現役関取 四股名の特徴 勢力 実績 備考
時津風 時津海 昭和20 独立後改称 立浪 鏡里、豊山 時天空、豊ノ島ら 時(津)、豊、双 B A 立浪部屋の双葉山が現役中に独立
湊  湊富士 昭和56 独立 時津風 湊富士   E D 元豊山が独立、名跡交換し二代目へ
式秀 大潮 平成4 ★独立 時津風   千昇 潮、式 E E 師匠停年前に関取誕生!
荒汐 大豊 平成14 ★独立 時津風 蒼国来   E E 初の幕内力士誕生も束の間
伊勢ノ海 北勝鬨 江戸 独立 錦島 柏戸,土佐海 伝統名 D B 昭和期に途絶えるが、再興
鏡山 多賀竜 昭和45 独立 伊勢ノ海 蔵王錦,起利錦     E D 柏戸が独立し、弟子の当代が継承
陸奥 霧島 昭和49 改称 旧・井筒 白馬、敷島 E C 旧井筒が名跡変更で陸奥となり、3代目
井筒 逆鉾 昭和52 独立後改称 君ヶ浜 (西ノ海)霧島 鶴竜 C B 旧井筒から君ヶ浜として独立後、名跡変更
錣山 寺尾 平成16 ★独立 井筒   豊真将 寺尾 D D 豊真将が部屋初の三役に

●閉鎖・消滅した部屋:旧・井筒、錦島、君ヶ浜、立田川

23年、元藤ノ川の伊勢ノ海が停年となり、部屋付きの勝ノ浦が継承。

3つの系統からなる時津風一門。時津風は双葉山が開祖であり、比較的歴史は浅い。
伊勢ノ海、井筒の方が伝統を誇るが、何度か途切れるうち時津風一門に合流した。

総帥の時津風は、ここしばらく不祥事続きで受難の時代が続いている。
それでも本家筋からは途切れなく関取が輩出しているが、全体ではあまり勢いはない。

関脇鶴竜には、霧島以来となる一門からの大関誕生の期待がかかる。

理事選では、やはり票の少ない高砂一門との連合作戦を図っており、今回は譲った。
24年理事選では大勢に影響なかったものの、公然と数人が貴派へ流れた。


高砂一門 所属部屋6

(閉鎖・消滅した部屋:旧井筒、若松)

(近年の動き:22年に東関部屋師匠交代)

部屋名 師匠現役名 創設年 創設形式 独立元 代表力士 現役関取 四股名の特徴 勢力 実績 備考
高砂 朝潮 江戸     小錦、朝青龍 朝赤龍 朝、伝統名 D S 若松部屋師匠が襲名して合流
中村 富士櫻 昭和61 独立 高砂 須磨ノ富士   富士 D D 師匠停年時に閉鎖か
東関 潮丸 昭和61 独立 高砂 曙、潮丸 高見盛 高見 D B
錦戸 水戸泉 平成14 独立 高砂       E F
九重 千代の富士 昭和42 先々代独立 出羽海 北の富士、北勝海 千代国 千代、(富士) D S 独立時に破門され、高砂一門に合流
八角 北勝海 平成5 独立 九重 海鵬、北勝力 隠岐海 北勝、保志 D C

中村部屋が師匠停年時に閉鎖し、力士らは東関部屋に移籍する予定。

あまり独立が盛んでない一門。
そのためか、明治期に大きな権力を持った本家高砂の勢力は脈々と受け継がれている。

現師匠も名乗った「朝潮」は、昭和には横綱を出した伝統の四股名。
ハワイから高見山をスカウトするなど、いつの時代も個性派を生んでいる。

その高見山は史上唯一の外国人師匠となり、やはりハワイ出身の横綱曙を生んだ。
本家も負けじと大関小錦、横綱朝青龍と大物を育成。

昭和期に出羽海から破門されて合流した九重勢は、
千代の富士、北勝海の両横綱で10連覇を達成するなど一時は角界を席巻。
その両横綱が師匠となり、弟子の育成を競い合っている。

勢力は安定しているが、現在は世代交代期で上位力士が枯渇。
八角の隠岐の海が三役を狙い、九重は有望な幕下力士が続々と新十両を決めて今後が楽しみ。
しかし、高砂を含めた他の部屋は有望株が少なく関取消滅の危機。
朝青龍、千代大海に続く横綱大関を狙える存在が欲しい。

八百長問題に伴う九重の辞任で理事不在となっていたが、
24年は時津風一門との協力で八角、九重とかつての2大横綱が選出。
九重はNO.2の事業部長となる。

 


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