平成名力士 


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横綱

大関

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高見盛 露鵬 岩木山 海鵬 垣添 霜鳥 普天王 白馬  黒海 
豊真将 若荒雄 時天空 臥牙丸 千代鳳 松鳳山 常幸龍 千代大龍

 

  高見盛 小結  <右四つ寄り投げ> 東関  186/140    
E07 C10
右腕返し 4b
右四つ寄り3c
左差し寄り3a
引き落とし3c
左上手投げ2c
掬い投げ 3b
モロ差寄り 3c
巻き替え   3b
たぐり 3c
はたき  2d
突き落とし2c
上透かし 2c
吊り寄り  2d
はねあげ  2b
巻き落とし2d
後ろもたれ1e
<立合>
右差し 3b
体当たり2b
モロ差し2c
左差し  3b
左前褌  2c
頭b肩c胸c
手b変化e
<体・技>
差し身○
粘り腰
体入替え
反り身○
アゴ上がり
上体柔軟
右肩痛
<心>
気迫
7−7
持続
晩成型
打たれ弱い
超人気
ロボコップ
C10 E06
D08 D09
D09 C10
D08 E07

 

  露 鵬 小結  <右四つ寄り投げ・突押> 大鵬・大嶽  193/145    
C10 D09

左上手投げ4b

右四つ寄り2c

左前褌寄り3a

はたき  3c

モロ手突き2b

上手出投げ3c

小手投げ 3c

引き落とし3b

がぶり寄り2c

引き付け  3c

張り手  2d

吊り寄り 1e

突き落とし2d

突っ張り 2c

極め   1d

巻き替え 1d

<立合>

張差し  2a

左前褌  1d

カチ上げ 2c

張り上手 3c

はたき   3c

頭d 肩c

胸a手b変化c

<体・技>

前傾○

腰高

ワキ甘い

懐深い

呼び込み

頭四ツ

がっぷり○

<心>

強引

じらし

まった

短気

つき手

引き癖

B12 E07
D08 C10
E07 E07
D09 E07

 

  岩木山 小結  <突き押し・左四つ寄り> 中立・境川  184/170    
B12 D08

突っ張り 4b

左差し寄り2c

がぶり寄り3a

のどわ  3b

モロ手突き3b

ハズ押し 2c

小手投げ 2d

渡し込み 2c

左腕返し 2c

突き落とし2c

右上手投げ2c

外掛け  2d

ひねり  1d

内無双  1d

極め   1d

廻し切り 1d

<立合>

ぶちかまし4a

モロ手突き2c

体当たり 3c

のどわ 2d

張差し   1d

頭a 肩c

胸c手c変化e

<体・技>

出足

額大きい

立ち腰

ワキ甘い

上体硬い

首痛

左肩

<心>

ツラ相撲

引き癖

晩成型

C10 C10
E07 E07
E07 E07
E07 E07

 

  海 鵬 小結  <左差し投げ・押し> 八角  177/120     
F05 E07

左下手投げ4b

内掛け   3d

右おっつけ3a

右前褌寄り2c

モロ差寄り2b

上手出投げ3c

突き落とし3c

突っ張り  2c

張り手2c

掬い投げ3c

小股掬い3d

渡し込み1d

腰投げ 1e

巻き落し2c

切り返し2d

足取り 2d

<立合>

ぶちかまし2b

右おっつけ2b

張差し 2c

かっぱじき3d

モロ差し2d

頭a 肩d

胸e手c変化d

<体・技>

まわりこみ

差し身

敏捷

変化技○

食下がり

重心低い

足首

<心>

相撲勘

足癖

晩成型

E06 D08
C11 C10
C11 C10
D08 D08

 

  垣 添 小結  <押し> 武蔵川・藤島  177/135     
E06 E06
モロハズ 3c
おっつけ  3a
ハズ押し  3c
モロ差寄り2c
突っ張り 2c
のどわ  2b
突き落とし3b
はたき   2b
はねあげ 2c
いなし  3b
掬い投げ  2d
渡し込み 2d
巻き替え  2c
肩透かし  2d
モロ手突き1d
上透かし  2d
<立合>
ぶちかまし3a
おっつけ 2b
張り手  3c
モロ差し 2c
かっぱじき2d
頭a肩e胸d
手d変化d
<体・技>

まわりこみ

敏捷

変化技○

重心低い

前掛り
重心低い
右ひざ
<心>
突っかけ
気迫
立合い○
番付運○
ツラ相撲
尻上がり
帳尻
E07 C10
B12 E06
D08 D08
E07 D08

 

  霜 鳥 小結  <右四つ寄り> 時津風  190/145     
D09 C10

右四ツ寄り3a

右腕返し  3b

左上手投げ2a

右掬い投げ2b

引き落とし2b

巻き落とし2d

投げ寄り 3c

上突っ張り2c

吊り寄り2c

モロ差寄り2c

肩透かし1d

モロ手突き2c

首捻り 2d

巻き替え2c

廻し切り2c

首投げ 1d

<立合>

体当たり2b

モロ手突き2b

かちあげ2b

左抱え込み2c

左上手 2d

頭d 肩c

胸b手c変化e

<体・技>

がっぷり○

ワキ甘い

懐深い

腰高

アゴ上り

リーチ○

腰痛

<心>

ツラ相撲

対押し×

円熟

D08 E07
E07 D08
E07 E07
E07 D08

 

  普天王 小結  <左四つ寄り・突押> 出羽海  180/155     
C10 C10

左四ツ寄り3a

がぶり寄り3b

突っ張り 2a

右前褌寄り2b

左腕返し 2b

右おっつけ2d

引き付け 3c

張り手  2c

吊り  2c

左下手投げ2c

掬い投げ1d

モロ手突き2c

モロ差寄り2d

投げ寄り2c

はたき 2c

ひねり 1d

<立合>

ぶちかまし2b

モロ手突き2b

張差し 2b

左差し 2c

上手 2d

頭b 肩b

胸c手c変化e

<体・技>

がっぷり○

ワキ甘い

被さり

腰高

立ち腰

丸い体

ヒザ硬い

<心>

上位キラ-

ツラ相撲

番付運○

息切れ

東京○

ご当所×

早熟

D09 D08
E07 E07
E07 E07
E07 D09

 

  白 馬 小結  <左四つ食い下がり> 陸奥  186/125    
F05 E06

モロ差寄り2c

上手出投げ3b

上手投げ 3b

右下手投げ3c

はたき  2b

とったり3b

前褌寄り2c

切り返し 2c

一本背負い1e

掬い投げ 2c

外掛け 2c

渡し込み2d

掛け投げ1d

外小股  1e

うっちゃり2d

小褄取り2d

<立合>

右上手 2c

張り上手2c

左前褌  2c

とったり3c

はたき 2c

頭c 肩d

胸e手b変化c

<体・技>

まわりこみ

食下がり

手取り

上体柔軟

ヒザ払い

打合い○

右ヒザ

<心>

スロ-スタ-タ

横攻め

息切れ

連敗癖

晩成型

E06 E06
C10 C10
C10 D09
D09 E07

 


 

  黒 海 小結  <突き押し・左四つ寄り> 追手風  189/165         
D09 E06

モロ手突き3a

のどわ   3b

上突っ張り3b

右上手投げ3c

はたき   3b

左掬い投げ2c

小手投げ 2c

ひねり  2d

引き落とし2c

突き落とし2c

素首落とし2c

張り手 2c

左四つ寄り2d

外掛け  1e

がぶり寄り2d

首ひねり2d

<立合>

体当たり3b

モロ手突き3b

ぶちかまし2c

右上手 2d

はたき 2d

頭c 肩a

胸b手b変化d

<体・技>

ワキ甘い

引き足○

前掛り

バタ足

腰高

呼び込み

肘・両膝

<心>

気迫

ムラッ気

強引

引き癖

まった

連敗癖

B12 C10
D08 D08
E06 E07
E07 E07

 

  豊真将 小結  <押し・右四つ寄り> 錣山  187/155         
D09 D08
左前褌寄り3a
右おっつけ3a
上手出投げ2c
モロハズ 3c
突き落とし3b
上手投げ 2d
左おっつけ2c
右ハズ押し3c
外掛け  1e
モロ差寄り2d
掬い投げ1d
肩透かし 1d
引っ掛け 1c
巻き替え 1c
廻し切り 1d
下手出投げ1d
<立合>
左前褌  2b
右おっつけ2c
右ハズ  3b
左おっつけ2c
モロハズ2d
頭a肩d胸e
手d変化e 
<体・技>

筋肉質

上体硬い

前傾○

挟み付け

受け身○

 

<心>

所作○

シンプル

ムラッ気

怪我×

ツラ相撲

番付運×

晩成型

D09 C10
D09 E06
E07 D09
C10 D09

 

  若荒雄 小結  <突き押し> 阿武松  178/165         
D09 E07
上突っ張り3c
引き落とし4b
ハズ押し 2c
左のどわ 3b
モロ手突き3c
左四ツ寄り2b
はたき  3b
小手投げ 2d
まわし切り1d
極め  1d
掬い投げ1d
おっつけ2c
肩透かし2d
上手投げ1d
突き落とし2c
一本背負い1e
<立合>
モロ手突き2b
ぶちかまし3b
右突き放し2d
張差し   2c
とったり 2d
頭c肩c胸d
手b変化e 
<体・技>
ワキ甘い
引き癖
まわりこみ
腰高
左上腕
<心>
時間前
勝負強い
仕切り遅い
エレベ-タ
強引

気迫

D09 D09
E06 E06
E07 E07
E07 E07

  時天空 小結  <右四つ・掛け> 時津風  186/150       
D08 D08
内掛け   4c
突っ張り  3a
二枚蹴り  3d
肩透かし  3b
下手出投げ2c
はたき  3a
裾払い   3c
引き落とし3b
のどわ 3c
足取り  3d
切り返し  2d
丁斧掛け2d
蹴返し  2c
外掛け   2d
引っ掛け2c
下手投げ2c
<立合>
モロ手突き2c
右差し  2c
張差し  3c
けたぐり 4c
はたき  2d 
頭d肩c胸b
手b変化c
<技・体>

足技

アゴ上り

足腰柔軟

リーチ長

怪我○

変化技○

立ち腰

<心>

突っ掛け

挑発

慎重

引き癖

淡泊

策士

晩成型

E07 D09
D08 D09
C10 D09
C11 D08

  臥牙丸 小結  <突き押し> 木瀬(北の湖)  186/200       
B13 D08
モロ手突き4a
右ハズ押し3a
がぶり寄り2c
はたき  2c
小手投げ 2d
のどわ  3b
左差し寄り2c
極め倒し 3c
左おっつけ3b
右突き放し3c
素首落とし2d
上突っ張り3c
モロハズ 2c
極め   3a
渡し込み 1d
外掛け  1e
<立合>
右のどわ 3b
ぶちかまし2b
カチ上げ 2c
左差し  2c
はたき  1d
頭b肩d胸c
手b変化d
<技・体>
出足
引張込み
ワキ甘い
腰高
懐深い
ユルフン
粘り腰×
<心>
ツラ相撲
強引
詰め×
晩成型
初日×
スロ-スタ-ト
息切れ
C11 C11
F05 E07
E06 E06
F05 E07

  千代鳳 小結  <突き押し> 九重  178/185        
C10 D09
吊り寄り 2a
がぶり寄り2b
右前褌寄り2c
両差し寄り2c
モロ手突き2c
おっつけ 2b
モロハズ 2c
はたき   2c
 
首投げ  1e
のどわ   2c
下手投げ 3b
突っ張り 2c
掬い投げ 2d
ひねり 1d
外掛け 1e
引きつけ3b
<立合>
ぶちかまし3a
両差し  2c
おっつけ 2b
右のどわ 2c
突き落とし2d 
頭a肩e胸e
手d変化e
<技・体>
前傾○
重心低い
丸い体
体質柔軟
反り身
内股
左膝、左肩
<心>
ご当所○
強引
ツラ相撲
顔から
立合遅い
早熟型
D08 D09
E07 E07
E07 D08
C11 D09

 


  松鳳山 小結  <突押/左四つ投げ> 松ヶ根・二所ノ関  178/145            
E06 E07 
突っ張り  4b
右上手投げ3a
上手出投げ3b
下手出投げ2d
掬い投げ 3b
モロ差寄り2c
上突っ張り3b
右前褌寄り2c
モロ手突き2b
小手投げ2d
ハズ押し2c
内無双 1e
張り手  3d
肩透かし2c
突き付け 2b
ひねり  2d
裾払い  2d
巻き替え 2c
左腕返し 2b
下手投げ2c
<立合>
モロ手突き3a
モロ差し 2c
左差し   2c
張差し   2c
右喉輪  2d
右上手  2d
右前褌 1e
頭c肩b胸c
手b変化d
<技・体>
重心低い
ノビ〇
回転○
バッタリ
俵伝い
まわりこみ
足払い
<心>
眼光
速攻
仕切り遅い
スロ‐スタ-ト
尻上がり
晩成型
対長身○
長寿
C10 C10
C10 D09
D09 D09
D08 D08

  常幸龍 小結  <左四つ寄り/突押>   187/165         
D09 D08 
下手投げ3b
上手投げ 3b
突っ張り 3a
右四つ寄り3b
小手投げ 3b
左掬い投げ2c
下手出投げ2d
上手出投げ3c
がぶり寄り2d
左腕返し 2d
左おっつけ3c
モロ手突き2c
いなし  3b
ひねり  2d
巻き替え 2d
極め  2c
ちょん掛け2e
はたき  1d
<立合>
体当たり 2b
左おっつけ 2b
右差し  2c
モロ手突き2d
左差し  1e
小手投げ1d
頭c肩c胸c
手d変化d
<技・体>
右半身
体入替え
まわりこみ
左甘い
逆四つ〇
体質柔軟
腰痛
右ひざ
<心>
慎重
連敗癖
早熟型
E07 D08
E07 D09
D09 E07
E07 D08

  千代大龍 小結  <突き押し> 九重  181/190       
C11 E07
右突き放し4a
モロ手突き4c
突っ張り 3b
はたき  4a
引き落とし4b
上手投げ 2b
上手出投げ2d
左四つ寄り2d
掬い投げ 2d 
のどわ  3c
左カチ上げ3c
はねあげ2c
下手ひねり2d
両差し寄り1d
極め  1d
廻し切り 2d
巻き替え1e
蹴返し 1e
<立合>
左カチ上げ4a
右突き放し4b
体当たり 4b
モロ手突き3c
ぶちかまし2d
はたき    3c
頭d肩b胸b
手d変化d
<技・体>
電車道
足腰硬い
バタ足
つきひざ
左肩・肘
粘り腰×
ケガ×
<心>
引き癖
強引
ツラ相撲
番付運○
変化技〇
C11 C11
E07 E07
E07 E06
E06 E07

 


 

 

小結 高見盛

、 誰が呼んだか、角界のロボコップ。不器用ながらひた向きな土俵姿と時間一杯の塩に分かれた際の気合入れ儀式。肩を怒らせるか肩を落とすか、勝ち負けが一目瞭然の花道を引き揚げる姿が名物となった超個性派。お茶漬けをはじめ懸賞の多さでも話題になった。日大では琴光喜と同期の昭和51年組。平成12年に敢闘賞デビューしたが、膝の怪我で回り道。その間に兄弟子横綱曙が引退。平成14年から幕内定着してからは部屋頭として長く幕内で活躍、通算三賞5回を記録した。ハイライトは15年7月、武蔵丸、朝青龍から金星を奪って殊勲賞。この年、三賞各賞を受賞した。肩の盛り上がった右を差すと腕を返す力が強く、これが生命線だったが、右肩を痛めてからは往時の勢いを失って平幕で推移。それでも左差しや、差し手を覗かせてすぐに引き落とす芸も見せて幅を広げ、36歳まで関取を張った。一時東関部屋を継承したが閉鎖して八角部屋に合流。

 


小結 露鵬

 まさかこの人が小結で終わるとは。ロシア人初の関取。右四つに組めば上位陣と言えども圧倒する体力。レスリング仕込みの頭四ツを取れる足腰と、強引とも言える強烈な叩き。大器を予感させながら突然の退場となってしまった。新入幕場所から優勝争いの一角に残り敢闘賞、3場所小結を務め大関にも互角に取っていたが、やや停滞。千代大海と勝負がついた後に睨み合い、その後カメラマンに暴力を働いて出場停止を食らうなどトラブルメーカーではあったが、若ノ鵬の逮捕を受けての抜き打ち検査で陽性を示し、否認したまま弟と共に解雇処分となったのはあまりにも残念。

 

 


小結 岩木山

 大学卒業後、社会人から転身した遅咲きの巨漢力士。真面目な人柄と、昔の力士を思わせる風貌で渋い人気があった。既に大勢の活躍力士を出した黄金世代、昭和51年生まれの力士を追って平成14年の暮れ敢闘賞で幕内デビュー。翌年は技能賞の活躍で新三役となった。ひときわ目を引く大きな額でぶちかまし、突き押しか左差しがぶり寄りで前進する馬力の相撲で実力者としてならす。体重は180キロに迫り、幕内最重量を雅山と「譲り」合った。16年には朝青龍を突っ張りで正面から攻め立て初金星を得た。デビューが遅かっただけに大器晩成と行きたかったが、首を痛めて頭で当たれなくなり、早くも衰えが見え始める。それでも時には内無双や外掛けといった小技も披露するなど懸命に土俵を努め、復調した。ところが、前頭5で迎えた22年夏場所。小脳梗塞の跡が見つかる。3場所全休ののち現役続行を断念、無念の幕引き。真っ向勝負が身上で、一度も変化しなかったのが自慢だった。新興の境川部屋の隆盛を支えたのも功績。

 

 


小結 海鵬

小兵ながら技能相撲で長く土俵を沸かせたいぶし銀。ハイライトは新三役を決めた平成13年9月。巨漢横綱武蔵丸相手に食い下がり、十八番の左内掛けで仰向けに倒す初金星。さらに大関の武双山、雅山と連破した(雅山はこの一番で負傷し休場、大関陥落)。10勝5敗で技能賞。17年にも2度目の技能賞を獲得している。上位初挑戦で当時大関の武蔵丸に俵伝いに左下手投げ、初日から9連勝の千代大海を驚異的な粘りでの突き落とし、横綱昇進を決めた朝青龍に唯一の黒星をつけた内掛け。印象的な銀星でいぶし「銀」の面目躍如。下半身に故障を抱えて晩年は十両生活が長くなったが、それでも37歳まで取った。これが災い、引退後年寄熊谷となったが、直後に八百長事件で名前が挙がり、引退勧告を拒否して解雇された。類いまれな技能を継承して欲しかった。


小結 垣添

 スピード感溢れる突き押し相撲で上位を苦しめた武蔵川部屋後期の力士。幕下付出ながら入門前の怪我で出遅れたが、2年で入幕。3場所目となる平成16年初場所で11勝、技能賞の活躍で春場所新小結に昇進した。三賞、三役はこの1回だけに留まったのは意外。3年程上位に定着、大関千代大海や昇進前の琴光喜、琴欧州とは互角に戦うなど、朝青龍時代の土俵を彩った。右膝を痛めてからは幕内下位で推移。一度上位復帰を果たすも、直後に急激に番付を落として初の陥落。十両、幕下でも負越しが続き、引退となった。常に先に両手を付いて待つ立合いから、懐に入ってのハズ押しが武器。大勝ち、大負けが少なかった。

 


小結 霜鳥(霜鳳)

 懐の深さを生かした右四つがっぷりの相撲。突っ張りから右四ツに持ち込んでの寄り身という型があった。新潟出身、東農大から時津風部屋という典型的なコースで一時豊山襲名の噂も出たが、本名からのち霜鳳(しもおおとり→しもとりと読みも変化)と改名した。幕下付出から順調に出世し、14年入幕。休場力士続出で入幕3場所目には8枚目ながら横綱戦が組まれ、見事武蔵丸を寄り切った。翌日は優勝した千代大海に敗れたが敢闘賞に輝いた。その後故障で十両に落ちたものの、16年1月11勝して三役の座を射止めた。しかし上位定着は数場所に終わり、腰痛の慢性化で長く十両暮らし。7度目の入幕となった21年以降ようやく幕内に定着、ベテランらしい渋みのある四ツ相撲を見せていたが、八百長事件で引退に追い込まれた。

 

 


小結 普天王

 ブログで有名になったIT力士。高校時代にはのちの朝青龍を下し、日大でもアマチュア横綱に輝いた実績を引っ提げ、衰退著しい出羽海の期待を背負って15年1月15枚目格付出デビュー。この場所高校中退で入門した朝青龍は早くも横綱に昇進している。2年半後、敢闘賞、技能賞と連続受賞して新三役となった17年9月場所初日、朝青龍を左四つ右上手を引きつけて寄り倒す。この年完全制覇を成し遂げたかつてのライバルが、初日に敗れる大波乱だった。前の場所も2大関を破っており一躍上位キラーとして名を挙げたが、その後は平幕上位から中位で平凡な成績が続く。前頭二桁に落ちては二桁勝つ地力を見せていたが、21年から急に勝ち越せなくなり、ズルズルと番付を落として幕下落ち。さらに野球賭博で謹慎、実に12場所連続負け越し。幕下下位でも星が上がらず、さらに八百長騒動に伴う本場所中止で気力も限界、引退した。霜鳥とは反対の左四つで胸を合わせる形を得意とし、ワキの甘さや腰の高さも共通だったが、あんこ型で、馬力を生かした突き押しも併用する点で異なる。

 

 


小結 白馬

 軽量のハンデとヒザの故障で出世は遅れたが、右で廻しを取ってのしぶとい相撲で遅咲きの三役昇進を果たし、名脇役として活躍が期待されたモンゴル人力士。残念ながら八百長事件で絶頂期に引退を余儀なくされた。20年5月の新入幕では跳ね返されてしばらく低迷したが、22年1月再入幕を果たすと今度は通用。自己最高位の5枚目でも好調で、大関日馬富士、琴欧洲も破って10勝し三役昇進を果たす。引退時28歳だったが、これから上位で曲者ぶりを発揮するかという時だった。

 


小結 黒海

 東欧出身力士の先駆けとなったパワー型力士。破壊力のある突き押しで上位を恐れさせた。入門から2年で欧州出身初の関取、16年には幕内力士に昇進すると、順調に上位に進出。武双山には4戦4勝で引導を渡した。大関をものともせず、最強を誇った朝青龍からも2度金星を奪う。三役にはなかなか手が届かなかったが、18年9月に新三役となり、3大関を破って勝ち越した。しかし衰えは意外に早く、その後は肘の故障から突き押しの威力が落ちて下位が主戦場となる。20年3月、12勝で2度目の敢闘賞を受賞したのが最後の活躍で、両膝が慢性的に悪化して体も痩せ、左四つの相撲に活路を見出して粘ったものの24年9月を最後に引退。初土俵から連続出場を続け、最晩年に途中休場したが2日で再出場して最後の勝ち越し。満身創痍でも闘志を失わなかった。


小結 豊真将

 「馬のような」評された下半身の強さで踏ん張り、前褌を引くかおっつけて出る相撲ぶり。浅く黒い筋肉質の体躯、際立って土俵所作が美しい個性派力士だった。
 日大相撲部に進むも退部ののち入門という異色の経歴だが、負け越しなしで所要2年、錣山部屋初の関取となった。十両も2場所突破、18年11月には12勝の好成績で敢闘・技能をダブル受賞。その後相次ぐケガや病気で停滞。三賞を得る活躍はするが、斑の激しさが目立った。22年後半からようやく上位に定着しはじめ、23年11月念願の新三役。通算3場所在位したが、25年から不運が続く。左肩の重傷で十両最下位まで転落。執念で年内に幕内上位まで戻ったが、翌年は虫垂炎で全休し十両転落。さらに26年7月、横綱日馬富士戦で右ひざに重傷を負い、またしても長期離脱を余儀なくされた。27年1月には幕下に落ち、土俵に復帰できないまま引退となったが、敢闘賞5回、技能賞2回は「最強小結」の一人。


小結 若荒雄

 益荒雄の阿武松部屋から出た初の役力士。全盛期は短かったが、闘志あふれる突っ張りが印象に残る。早くから幕下で期待されながら停滞し、平成21年、苦節11年目にしてようやく新入幕。23年に入り定着すると九州場所で12勝して敢闘賞。翌24年初場所に小結昇進。初日は白鵬に真っ向突っ張りを繰り出して闘志を見せた。上位での活躍を期待されたが、腰痛に苦しみ急降下。若くして引退となった。

 


小結 時天空

 多彩な足技や張り手、変化と自在な相撲で沸かせた。モンゴル出身だが大学相撲を経て入門。記録的なスピード出世で2年で入幕を果たした。17年九州では10勝を挙げ、突っ張りの進境を評価されて生涯唯一の三賞となる技能賞。初めて上位に進出すると、曲者ぶりを発揮。18年から20年にかけては小結2場所など上位に定着し、朝青龍を破っている。上位には長く定着できなかったが、立合いのけたぐりも武器にして息の長い活躍を見せ、25年には6年ぶりの三役復帰も果たした。幕内を通算63場所を務めたが、27年に悪性リンパ腫が見つかり長期休場、37歳を目前に丸刈り姿で無念の引退となった。日本国籍を取得しており間垣を襲名したが、程なく再発し早逝した。懐深く柔らかい体躯で、正攻法を磨いて強くなりそうだったが、柔道仕込みの足癖や、ケレン相撲が目立った。


小結 臥牙丸 

 巨体を武器に愛された欧州出身力士。22年入幕。23年秋には2日目から白星街道、11日目大関把瑠都も送り出しに破って10連勝し、敢闘賞獲得。24年初場所も12勝で敢闘賞を得て、春場所は新三役。当時北の湖部屋預かりで、同部屋唯一の役力士となった。その後木瀬部屋の再興と共に部屋頭として健闘するが、ワキの甘さ、脆さを突かれて低迷し、26年には十両転落。27年、再入幕を果たすと11勝。翌場所は日馬富士から初金星を挙げた。しかし上位定着はならず、4度目の陥落以降は幕内に戻れず。令和2年は膝の状態が悪化、休場続きで最終場所は序二段で引退を発表した。巨体が最大の武器ながらコンプレックスらしく、いつも公称199キロ。相手を正面に置いてのど輪押しが炸裂すれば馬力が活きたが、廻しを引き付けられると重さを発揮できなかった。


小結 千代鳳

 22歳で三役に登った九重部屋新時代の旗手。実兄千代丸と出世を争い、19歳で新十両。約一年で突破し、一度は転落するが十両優勝して再入幕を果たすと、10勝、9勝ながら幸運にも新三役。負越しはしたが、横綱鶴竜と大関琴奨菊を破り、期待が高まった。ところが故障が多く、3度目の転落となった29年3月以降は幕内に戻れなかった。一時三段目まで番付を下げたが、良く立ち直り、2年半ぶりに十両復帰。定着しかけていたが、3年に入って急に崩れ幕下転落。まだ29歳ながら引退となった。
 典型的なあんこ型、前傾姿勢で相手が叩いても決して落ちず、自分から攻める時は前褌を取ったり両差しで吊り気味に寄るのを得意とした。27年春は3敗で千秋楽を迎えたが、逸ノ城に潰されて条件付きの三賞を逃した挙句に故障も負った一番が悔やまれる。

 


小結 松鳳山

 浅黒く眼光鋭い野武士の風貌。張り手も辞さない突っ張りを武器とし、左四つからの右上手投げも強かった。大卒ながら4年かかって関取なった途端、野球賭博事件に関与し幕下下位から出直しを迫られたが、復帰後4場所で新入幕を果たす。入幕から1年後の24年ご当所九州では、3大関破って二桁で敢闘賞、翌場所新小結。小結は通算5場所務めたが、勝越しはならず。27年には突然調子を崩して一時十両に低迷も、優勝して幕内復帰した九州では自己最高の12勝を挙げ3度目の敢闘賞。千秋楽まで1差につけた。上位に復帰すると30歳を過ぎても度々大物食いを果たし、30年5月には鶴竜に唯一の土をつけ殊勲賞。4年ぶりに三役へ復帰。38歳まで関取を維持した。
 力が強く体格の割にまともな相撲だったが、後年は綱取り稀勢の里を嵌めた変化など老獪な技も見せるようになり、30歳を過ぎてから4金星を稼いだ。


小結 常幸龍

 デビュー27連勝の新記録でスピード出世した学生相撲出身力士。23年技量審査場所でデビュー。三段目まで本割全勝(序二段決定戦は敗退)、幕下で無敗記録は止まったが、8人の決定戦を制した。十両へは最速タイの6場所、幕内には最速記録の9場所で到達した。ここから伸び悩み定着できなかったが、3度目の入幕後は3場所連続で勝越すと幸運にも新小結に昇進した。その後日馬富士から金星を挙げたが、右膝の重傷に苦しんで三段目まで転落。幕下生活が長くなっても腐らず2度十両復帰したが、34歳で引退した。
  突き押しからの右四つを得意とし、上手投げ、小手投げと大きな相撲も取ったが、後年はどちらかでも差して腰の重さを発揮し、技能的な取り口を見せた。照ノ富士を丁斧掛けで破った器用さも。

 


小結 千代大龍

 九重部屋には珍しい大卒力士で、タイトルを取って幕下15枚目格付出デビュー予定も八百長騒動で待たされ、デビュー場所では途中休場と多難なスタートだったが、すぐに立ち直って所要1年で入幕した。連続二桁で上位に進出した平成25年春では1横綱2大関を3連破。名古屋では再び日馬富士から金星。九州では技能賞を獲り、26年には新三役と順調だった。しかし相次ぐケガや糖尿病に苦しみ、三度十両に落ちるなど低迷。ようやく29年後半から巻き返し、30年には三役復帰。5年ぶりに金星を挙げるなど2年ほどは上位に定着したが、令和に入ると前頭二桁が主戦場となった。それでも幕内は余裕で維持し、幕内在位60場所も目前だったが、4年11月場所中に突然引退した。
  左カチ上げ気味の体当たりの威力が非常に強く、上段からの叩きとのコンビネーションは脅威だった。

 

 

遠藤 北勝富士

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