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二所一門 出羽一門 立浪一門
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元関脇玉乃海が二所ノ関部屋から独立、以来安定して関取を出す中堅部屋として三代続いている。 ■主な力士 （赤は現役。優は優勝、三は三賞、金は金星） 横綱 玉の海（優６） ■四股名の特徴・その他 創立以来、ほぼ100%の力士に「玉」の冠がついている。玉錦、先代玉ノ海と事実上の師から引き継いだ大事な一字。 初代、二代とも軍や自衛隊に縁がある不思議な巡りあわせ。名関脇の系譜が続いている。 ■歴史 荒法師玉乃海 数奇な運命を辿った名関脇。酒豪伝説と武勇伝は数知れず。憲兵と大げんかして破門となり、戦地で何度も死にかけていたが奇跡的に生還、昭和25年、先代玉ノ海の二所ノ関に声を掛けられ10年ぶりに現役復帰した。現在と比較しようのないエピソードである。年齢的なハンデを取り返すべく一気に出世し、大関直前まで行きながら病気で頓挫。晩年、当時としては異様とも言える黄金の締め込みで最後と決めた場所に臨んだが、あれよあれよと勝ち進んで全勝優勝してしまった。 大荒れの独立紛争 引退後間もなく独立したが、十両玉嵐ら内弟子の移籍について当時の二所（元大関佐賀ノ花）が難色を示し、強引に移籍を届けて連れて出たことで紛争となる。二所ノ関に移籍力士の廃業届を出されるなど対立が深まり、先代二所の玉ノ海の調停でようやく収拾がついた。 横綱玉の海 苦労して移籍させた力士の中に、玉乃島、のちの横綱玉の海がいた。順調に出世していったが、40年からは部屋別総当り制となって古巣の二所ノ関とも対戦が始まり、大鵬が壁となって立ちはだかった。それでも45年にはついに横綱に昇進、北の富士とともに柏鵬時代の後を期待された。二人とも紛争の末に独立した小部屋の米櫃とよく似た境遇だった。横綱昇進時には同時昇進の北の富士に対して成績で劣っていたが、昇進後は毎場所ストレートに勝ち越して稀に見る安定した成績を残していた。ところが、無理をして土俵を務めたことが災いし、46年10月虫垂炎の手術後に急死した。青年横綱に依存していた部屋も一気にピンチを迎えた。 三役力士が続く 昭和50年代に入ってようやく生え抜きに力士たちが伸びてきて、三役力士２人が育つ。特に玉ノ富士は割り出しを得意とする荒法師の弟子らしい力士で、一時三役に定着して大関候補に名前が挙がった。60年代には遅咲きの玉龍が頑張り、30歳を過ぎてから千代の富士から金星、33歳で新三役とスロー記録を残した。 大卒力士の台頭 62年に玉ノ海が亡くなり、引退して部屋付きとなっていた玉ノ富士が２代目師匠となった。平成３年に怪力・玉海力が出て幕内力士が復活するが定着できず、平成初期にかけて人材難だった。窮地を救ったのが大卒・幕下付出の玉春日。同世代の土佐ノ海や武双山の影に隠れた存在だったが、最後まで諦めない真摯な姿勢とブルドッグのような風貌でしぶい人気を得た。実力も確かで再三上位を倒して金星７つ。８年の入幕から息の長い活躍で、18年には９年ぶりという最長間隔で三賞を受賞している。さらに東洋大から入門した兄弟力士も共に関取に。弟玉ノ洋は、「玉乃島」を名乗って敢闘賞５回の活躍。強烈なおっつけを武器にこちらも10年ほど幕内で活躍した。 優勝力士誕生 22年から元玉春日が継承。玉飛鳥、玉鷲を擁したがいずれも伸び悩んだ。ところが玉鷲は30歳を過ぎてから活躍しはじめ、三役常連に。31年初場所では34歳にして初優勝を果たした。玉の海以来48年ぶりの優勝となる。
■現状・展望 いずれは志半ばで逝った「玉の海」の四股名を継ぐ強豪が出て欲しいが、気が付けば弟子はわずか2人。玉鷲を擁しているとはいえ、30代半ば。優勝力士の復活に沸くが、部屋消滅の危機が迫っている。
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