大相撲解体新書

競技徹底分析

今度はまた「力士」を解体。

2日目-「取り口」では「技」に着目して分析したが、今回は「体」についての分析。

身長・体重という数値はあるが、やはり分類することでより特徴がつかめる。

分類により、取り口との関連や、古今東西の体型の移り変わりも明らかにしていきたいと思う。

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日目 体型


一. 体型とは

力士の資本は体。

まず鍛え上げた体があり、その体に基づいて自分に適した取り口を磨き、技を身につけていく。

必要とされるメンタリティも、体格によって変わってくるだろう。

ここでは、様々な力士の体格を分類して特徴を捉えてみる。

身長体重は客観的なデータだが、同じ数字でも骨格や肉付きには差がある。

何種類かに分類し、力士を当てはめることで比較対象してみる。


二.体型分類

@体型

↑身長          →体重

超ソップ

/ソップ

長身/超長身

巨 人

超巨漢

大型

軽量

 均整  中型 巨漢

平均

小 兵

重 量

超小兵

短 躯

肥満

超肥満

中央の長い縦のラインが体重の平均ライン
「均整」と「平均」の間の横のラインが身長の平均ライン

時代と共に平均は変わるので、目盛は振っていない。
昔の重量級が今の平均クラスだったりするからだ。
あくまで体格とは相対的なものである

現在に置き換えれば、身長183〜184、体重150が、真ん中のラインか。
一部規格外の力士がいると平均が左右されるので、必ずしも幕内平均とは一致しない。
実際の適用に当たっては、一時的に痩せている場合も考慮するので、上の表はあくまで目安。

体型

身長目安 体重目安 主な取り口 主な得意技 得意間合 代表力士(過去/現役)

ソップ

185以上 120以下 撹乱、業師、荒業 突張り、蹴手繰、掛投、打棄 1/4 明武谷、

力士らしからぬスマートさに長い手足。動きながら絡んで派手な技を繰り出す。特に軽量なら「超ソップ」

隆の山

軽量型

178〜185 130以下 スピード、業師、撹乱 前褌寄、出投、いなし、外掛 1〜3 千代富士、若島津、貴ノ花

筋肉質の体から繰り出すキレのある技とスピードを武器に速攻を繰り出す。

日馬富士

小兵型

173〜178 135以下 業師、撹乱、正攻法、突貫 両差寄り、ハズ押、内掛 1、2 栃ノ海、北葉山、琴錦

的の小さな体を活かして素早く懐に入り、下から押し上げる。飛び抜けた技かスピードは必須。

嘉風、土佐豊、松鳳山

超小兵型

175以下 120以下 業師、食下り、 下手投、内掛、無双、足取 1、2 北瀬海、鷲羽山、舞の海、

身長、体重共にかなりのスモール。まともに当たらず、動きの良さを活かして飛んだり、潜ったりと撹乱する。

里山

短躯

174以下 120〜140 突貫、技能、押し、業師 両ハズ、両差寄、おっつけ 1〜3  

重心の体を低い体を生かした押し相撲など、懐に入って激しい動き。前に出る力もあるが、奇手も隠し持つ。

豪風、磋牙司、

平均

178〜184 130〜145 技能、正攻法、荒業、スピード 前褌寄、両差寄、投げ 1、2 北勝海、北天佑、栃東

それほど大きな体ではないが、運動神経を活かして華のある相撲を取る。

豪栄道、千代の国

均整

184〜188 130〜150 本格、正攻法、突押、スピード 寄り、投げ、突張り、外掛 1、3 北の富士、若乃花A、輪島

そこそこ上背はあるが、動きも悪くない。攻守に弱点のない万能型の体格。

鶴竜、豊真将

長身

188以上 120〜160 スケール、本格、疾風、突押 寄り、投げ、吊り、モロ手突 0、1、4 大鵬、柏戸、双羽黒

背が高く懐の深さ、リーチの長さが武器。体重はそこまでない。2メートル級は「超長身」。

白鵬、琴欧洲、旭天鵬

肥満

175以下 150〜175 押し、突押、突貫、技能 おっつけ、ハズ、出足 1〜3   若羽黒、朝登、安芸乃島

身長は低いがずっしりとした体を持つアンコ型。腰が重く低いので厄介。小兵ならではの動きの速さは微妙。

豊ノ島、鳰の湖

重量

175〜182 155〜175 疾風、堅牢、前進、本格 ガブリ、吊り、押し、出足 0〜2 北の湖、隆の里、出島

重心が低く、どっしりと重みのある重戦車型。四ツ、押しどちらでも相手が取りづらい体型。

琴奨菊、

中型

183〜187 145〜165 本格、押し、堅牢、怪力 おっつけ、寄り、投げ、のどわ 1、2 貴乃花、琴櫻、三杉里

平均よりもやや大きめの体。安定感に優れるが、何か技で特徴が欲しい。

若の里、栃乃洋

巨漢

183〜188 165〜190 スケール、パワー、本格、怪力 モロ手突、寄り、極め 1〜3 琴風、両国

横に大きな体。速い動きは難しいが、重みのある攻め、腰の重さを発揮する。

雅山、

大型

188〜193 170〜185 パワー、前進、怪力 モロ手突、寄り、極め 2,3 義ノ花、水戸泉、闘牙

タテヨコ共に大きな体。ぶつけて激しい馬力で持っていくが、ややバランスに欠き腰高に注意。

魁聖、佐田の富士

巨人

192以上 160〜190 スケール、怪力、堅牢 上突っ張、吊り、鯖折り 0、4 曙、貴ノ浪、琴ノ若

見上げるほどの長身に大きな体。形に入れば無敵。セオリーも関係なくなるパワーを持つ。

把瑠都、栃乃若、芳東

超肥満

178以下 175以上 押し、前進、 おっつけ、がぶり、吊り 2、3   二代梅ヶ谷

身長は低いが、かなりの巨漢で風船のように丸く膨らんだ力士。

 

超巨漢

178以上 190以上 突押、前進、スケール 突っ張り、体当、外四寄 大乃国、武蔵丸、曙(後期)

飛び抜けて大きな体重を持った力士。土俵上に山があるかの如き存在感で相手を飲み込む。

臥牙丸

体型

身長目安 体重目安 主な取り口 主な得意技 得意間合 代表力士

規格外:超長身巨漢 曙(204センチ228キロ)、

エレファント級 小錦(185センチ285キロ)、山本山(191センチ277キロ)大露羅(193センチ273キロ)...

古今の力士を同じ枠組みで分類するとどうしても無理が出る。

横綱大関級でも小兵や軽量クラスばかりだし、巨漢、長身と言われた力士や今の中型程度と同じ体格。

身長の低い力士は第二検査が開始された現代が全盛。身体検査があったため、意外と175センチ以下の力士は過去少ない。

A肉付き

上記の体型分類に加えて、肉の付き方を併記(筋肉→筋肉質、中肉→筋肉を脂肪が覆った体質、肉厚→はち切れそうに肉の巻いた体)。

 

@Aの基準で身長体重の数字だけではわかりにくい力士の体格を表現。24年から力士データに採用した。
この区分では表しにくい面がでてくれば、さらに細分化したり、表現や目安を改めたりする必要は出てくるだろう。
しばらく試行錯誤しながら時代に合わせた分類をしていくつもりである。

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