現役力士データ

2009(平成二一年)


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上位陣

上位陣

三 役 ベテラン 中 堅 若 手 十 両 ルーキー

朝青龍 白鵬 千代大海 魁皇 琴欧洲 琴光喜 日馬富士

 

パラメータ

 取り口のタイプ/得意な間合い(0〜4、字が大きいほど遠距離)/[得意な形]/まわしの色(長さが使用頻度を表す)

(総合的な重さ)、(総合的な力の強さ)、(総合的なスピード)(総合的な技能)、(体のバランスの良さ)

(寄りのレベル)、(押し、突きのレベル)、(投げ技のレベル)(粘り強さ)、(総合的なスタミナ)、A〜G(15段階)

技リストは、数字がレベル(1<5)英字が頻度(a>e)を表す。

その他の点は、<データについて>を参照

解説 現況 これから/ 十分な形 攻略法 /その他(まわし・四股名)

 


 

  朝青龍  横綱  モンゴル 高砂  29   185/145
 スピード・正攻法型 間合1/3 [左差右前褌・右廻し・両差し・左右突放し]     
C10 B12
上手投げ  4b
下手投げ  4b
掬い投げ 4b
右前褌寄り4b
モロ差寄り3b
モロ手突き3c
外掛け   3d
突っ張り 4b
吊り落とし3e
おっつけ3b
小手投げ3c
張り手 3c
内無双 2c
下手出投げ3c
切り返し 2d
足取り  2d
掛け投げ2d
たぐり  3b
<立合>
左差し   3b
張差し  4b
右前褌   2d
張り上手 3c
カチ上げ 3c
のどわ  3d
けたぐり 2e
頭d肩b胸a手a
<心>
威圧感
勝負強い
スロ-スタ-ト
短気
初顔○
調整×
息切れ
早熟型
<技> 
相撲勘
差し身
まわりこみ
逆四つ○
速攻
足癖
多彩
チョン立ち
<体> 
前傾○
敏捷
首筋
左肘 

      
C11 B12
B13 B13
B13 B12
B12 D08

  

 平成15年、貴乃花と入れ替わりに頂点を極めた2代目平成の大横綱。長い独走時代には、誰もなしえなかった年6場所完全制覇や7連覇などの偉業を達成、すでに優勝回数は「初代」を捕らえた。しかし、19年には白鵬が横綱に昇進して独裁政権は幕を閉じた。故障、巡業休場中サッカー事件による前代未聞の出場停止もあって、連続年間最多勝もストップ。優勝は2度に止まった。解離性障害、満身創痍で稽古不足の悪循環、心身ともにスランプに。復活を賭けた20年、初春と白鵬との相星決戦に持ち込んだものの、以後故障がちで崩れる。悲願のモンゴル巡業では自作自演の活躍だったが、名古屋、秋と終盤まで持たず連続途中休場。引退も、と騒がれた。

 確実と思われた大鵬のV32更新は難しい状況になってきた。白鵬に王座を奪われる格好になっているが、フル出場した場所ではまだ互角の成績。まだ対抗できる力士は他にいない。限界説に打ち克て。

 データ上でも、身体能力系の項目を中心に全盛期よりかなりポイントダウン。毎場所優勝をさらった頃の「安定感」がなくなり、「柔軟性」も落ちてきた。全盛期には見られなかった序盤のもたつき、場所終盤の息切れも発生。

 左差し、右前褌の形が一番安定感がある。不調時には特にこの形を作って、なりふり構わず頭を付けに行く。本人も最も自信のある型なのだろう。右四つも同じくらい十分に取れる。突き押しで圧倒することは最近めっきり減っている。立合いは張って相手の出足を止めることが多い。一気の速攻さえ防げば、あとはスピードと勘で自分の形を作れるという計算があるのだろう。

 とにかく焦らせる展開に持ち込みたい。一つは立合いで先制しての速攻。張り手やカチ上げを怖がらずに圧力を伝えれば、全盛期ほどの反応の速さはないので、一気に押し込める。もしくは十分に差させず、前褌も許さずに我慢比べに持ち込むこと。焦れると時に強引な技に出て、隙が生まれる。7月の栃乃洋戦などは、半身で堪える相手に内無双を失敗して呼び込み自滅した。

 入幕当所は四股名の通り青い廻し(やや水色に近い浅い青)だったが、タイプの近い千代の富士の全盛期を意識してか、大関を狙うころには黒廻し。その後17年3月の13日間を除いてずっと黒い締め込みで通している。派手好きそうだが、意外にもシンプル。貴重な一場所は、大阪城は秀吉の茶室のごとく、黄金の締め込み。ちょうど連勝も続けていたこともあり、その存在感は凄まじかったが、27連勝を止められると、あっけなくお蔵入り。黒廻しで登場した翌日、気を取り直して優勝を決めた。いまだ謎の黄金週間である。

 


  白 鵬  横綱  モンゴル 宮城野   24   192/155
 本格・スケール型 間合0〜1 [右差し左前褌/左上手・上突っ張り]           
B13 B13
左上手投げ5a
左上手出投4b
右四つ寄り4a
小手投げ 3c
はたき   3c
モロ手突き2c
モロ差寄り3c
上突っ張り3b
右腕返し 2c
巻き落とし2c
引きつけ4b
張り手 3b
巻き替え 3c
引き落とし3d
はねあげ 2b
廻し切り 3c
とったり  3c
吊り落とし2e
<立合>
張差し  3a
右カチ上げ3a
モロ差し 2d
モロ手突き2d
左前褌  2d
左上手  1e
頭d肩b胸c
手b変化e 
<心>
勝負強い
じらし
尻上がり
まった
投げ多用
早熟型 
<技>
前捌き
まわりこみ
膝払い
チョン立ち
受身○
摺足○
<体>
懐深い
足腰柔軟
体質柔軟
粘り腰○
腰痛
左足首
左足親指
B12 C11
C11 A14
B12 B12
B12 C11

 

 モンゴルからは2人目、本格派の横綱が誕生したのは19年7月。長く一人横綱を務めてきた朝青龍を破って連覇を全勝で飾り、待望の新横綱となった。入幕から3年、史上3位の若さだが、期待の大きさからすればこれでも遅いくらい。途中足首の故障や睡眠時無呼吸症候群、大関時代も不運な綱取り見送り、腰痛、骨折もあって色々遠回りした。その分、地力も十分備わっての昇進。この年、朝青龍の不在もあったが4回優勝して年間最多勝、20年も朝青龍を凌いで名実共に第一人者になりつつある。

 充実した成績で「白鵬時代」到来との声は強い。可能性は高いが、その未来はまだ盤石ではない。5月、朝青龍との一触即発睨み合いをはじめ、ライバル視して向かってくる相手に駄目押しに近い突きを食らわすことも目に付く。期待される「木鶏型」の大横綱の品格にはまだまだ。体調面でも、腰痛などを抱え、見た目以上にギリギリの調整が続いているようだ。

 立合い、大関時代は左前褌を取る型を磨いていたが、対策を練られて綱取り失敗。より幅を持たせるため、張差しやモロ差し狙いも見せるようになった。20年に入り右カチ上げの質が上がり、以前よりさらに右が硬くなった。腰の重さも増して、寄り・投げの威力も磨きがかかった。

 応用自在の取り口が身についてきた。もちろん右四つ左上手、右を返しての寄り、強烈な左上手投げ。本格的な横綱相撲の型も磨かれている。突き押しにバタつくこともめったになくなり、余裕を持って捕まえる。上手を切る技術も高く、盤石の相撲。やや簡単に勝とうと叩いたり手繰ったりする技は、綺麗に決まるものの、期待されるものではない。

 攻略が年々難しくなった来た。落ち着かれては苦しいので、先に廻しを取って横へ回るか、左を差し勝ち、強引に体勢を作ろうとするところを突きたい。呼び込み気味な引き技を誘うのも手。

 20年から茶色の締め込み。比較的珍しい色である。歴代横綱でも、茶系は曙が一時使用したくらいで、あまり記憶がない。カラー放送開始前なら珍しくはなかっただろうが。肌の色とも合い、なかなかの風格で、目から鱗の選択だった。十両から赤系の廻しでセンセーショナルな上位進出。三役時代は緑と併用し、大関として緑の締め込みが定着。これもなかなか似合っていて、定着するかと思いきや、綱取りに向けてナス紺の廻しに。言わずもがな貴乃花に倣ったセレクトだったが、個人的にはコピーに終わって欲しくなかったため、今回のイメージチェンジ、「独自色」は大歓迎である。4回の優勝を果たして強い白鵬のイメージを定着させた。

 


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朝青龍 白鵬 千代大海 魁皇 琴欧洲 琴光喜 日馬富士


 

  千代大海 大関   大分   九重    33   181/155
 突押・撹乱型 間合3 [上突っ張り・左のどわ右おっつけ・右突放し]      
D08 E07
突っ張り 4b
のど輪  4b
おっつけ 3c
上突っ張り4a
はたき    5b
がぶり寄り2d
ハズ押し 3c
引き落とし3b
突き落とし4c
いなし 3c
小手投げ2d
張り手  2d
廻し切り  2c
左掬い投げ2e
左腕返し  2d
掛け投げ  2e
右上手投げ2d
浴びせ倒し2d
<立合>
モロ手突き3a
ぶちかまし3b
いなし   3d
おっつけ  2d
右突き放し3c
かちあげ 2e
頭b肩d胸d
手b変化d 
<心>
ツラ相撲
勝負弱い
突押徹底
逆境○
つっかけ
引き癖
息切れ
<技>
土俵際
まわりこみ
変化技○
速攻
引き足○
俵伝い
出足
回転○ 
<体>
浮き足
怪我×
足腰硬い
バッタリ
粘り腰×
左膝・首
右肘
足首
B12 B13
C11 D08
C10 C10
D08 E07

  

 大関在位史上1位。平成11年、大逆転初優勝を果たし、幕内わずか9場所で掴んだ大関の座。新大関場所で負け越すなどカド番は史上最多を記録しているが、一度も陥落せずに守り続け、初代貴ノ花の50場所を更新。21年には在位10年を記録する。14年から15年には2度の優勝を記録するなど、横綱も窺がえる活躍だったが、ここ5年ほどは満身創痍の状態。本人が引退を口にして久しいが、稽古不十分でも一番相撲の天才ぶりを発揮して何度も危機を脱出。体調が良ければ優勝争いに絡んだり、横綱を食ったりする活躍も見せる。19年は地元九州で白鵬に相星決戦を挑む復活だった。しかし、その一番で負った肘の怪我が響いて、初場所では大関ワーストの初日から8連敗を記録するなど20年は不調に終わった。

 若手も台頭してきているが、引き摺り下ろされるほど衰えてはいない。ハマれば一気の突進も見せる。20年は一度も二ケタに乗らず、年間成績負け越しと優勝争いは期待しづらくなったが、押し相撲特有の大爆発もあり得る。何とかもう一花。陥落するようなことがあれば引退する模様。勇姿を目に焼き付けておきたい。

 突き押し一筋。左四つでも腕力を生かして力強い寄り、投げもあるのだが、遂に四つ身に流れることなくここまで取り続けた。大きく突き放すことは減り、細かく突っ張るか、ハズやのどわで押して出るか。そしてハラリとかわしての叩き込みも十八番。

 下手に捕まえようとすると、のど元を攻められたり、引き技を食う危険性大。怖がらずに手数を出して突き合いに応じ、引き技を誘うのが有効。立合いに当たりをかわしてリズムを狂わすのも策。スピードで上回って中に入りたいところ。

 「大海」を連想させる青、紺碧。座右の銘である「闘魂」の赤(あずき色)。師匠譲りの黒。大体この4色のまわしを締める。何度も使い回している。気分で変えているのだろうか。幻の緑廻しはどこへ。珍しい漢字4文字の四股名だが、既にまったく違和感なし。それもそのはず、大関10年60場所だ。

 

  魁 皇  大関   福岡  友綱   37   184/170
 怪力型 間合1 [左差し・右上手・右おっつけ]    
C11 C11
右上手投げ4b
右小手投げ4b
右おっつけ3a
左腕返し  3b
左前褌寄り3d
のどわ  3b
とったり  3c
はたき   3b
左掬い投げ3c
しぼり  3c
極め  2c
引きつけ  3b
巻き替え  1d
投げ寄り  4c
モロ手突き2c
ハズ押し 2c
肩透かし  3c
外掛け  1d
<立合>
カチ上げ2b
左差し   3b
モロ差し2d
張差し   2c
とったり 2d
右上手 2c 
頭d肩a胸b
手d変化e 
<心>
勝負弱い
スロ-スタ-ト
尻上がり
まった
逆境○
円熟
人気
晩成型
<技>
左堅い
連発
逆四つ×
引き癖
 

 

<体>
上体柔軟
アゴ上がり
立ち腰
粘り腰×
調整×
腰爆弾
左太腿
左上腕
B12 D08
E06 B13
C10 E06
E06 E07

 

 戦後最年長大関。平成5年の入幕後上位キラーとして三役定着した頃から豪快な相撲で人気を得る。殊勲賞も史上最多。大仕事はするがプレッシャーに弱く、大関取りを逃し続けて関脇連続13場所の記録を持つ。2度の決定戦出場など、大関クラスの地力を持っていたが、9年から10年ごろは低迷。11年半ばからは復調して三役に再び定着。相変わらず勝負弱く、千代大海ら新興勢力に大関に先着されていたが、12年1月長く大関を競ったライバル武双山に完敗して優勝を決められたのが刺激となり、5月場所で自らも初優勝。翌場所ようやく大関に昇進。翌年にかけてが全盛期とも言える時期。13年には1場所おきに2度賜杯を抱いたが、腰痛も悪化しており、綱取り場所はいずれも休場してしまった。以後故障との戦いとなったが、体調次第で強みも発揮し15年と16年にも1度ずつ優勝を飾って大関力士としては最多V5をマーク。16年11月は最も横綱に接近。13勝が昇進ラインと見られ、中盤で3敗したが千秋楽、地元観衆の大声援の中で優勝した朝青龍を破って1差の準優勝。結果見送りとなったが、場内は横綱昇進を決めたかのような熱狂に包まれた。これで力尽きたか、17年以降は休場が続き、カド番の連続。何度も引退危機があったが、驚異的な粘りで乗り切った。最近は二ケタにもめったに届かないが、力強い取り口は健在で、一時よりも安定している。

 大歓声に迎えられて戻ってきた九州場所だが、場所前に負った足のけがを抱えたまま出場し、3日目立ち合いから叩こうとして左上腕の筋肉まで痛め、無惨にも土俵下へ転げ落ちた。21年はいきなり力士生命のピンチ。

 左四つに組めば安定感があり、上手に届けば盤石。腰をぶつけるような寄りは未だ一流。横綱相手でもこの形なら善戦する。最大の武器である右からの投げは、腕や腰への負担もあり封印しているが、たまに禁を解けば伝家の宝刀が錆付いていないことを証明してくれる。左四つを警戒する相手に対しては叩きも良く決まる。

 左四つを封じたいが、左はなかなか差し勝てない。むしろやや左半身になるのを見越して右から攻めて前後左右に撹乱し、腰を起こしてしまうのが近道か。突き押しなども腰を起こすには効果的。止まらず速攻が基本。

 若い頃は赤い廻しで金星を挙げる姿が目に焼きついているが、大関時代を通じて青いまわしで通している。やや紫がかった薄めの青。四股名は、師匠魁輝から一字。人気は抜群、九州では毎日手拍子、全国はもちろん、モンゴルなど海外でも大人気。

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  琴欧洲  大関  ブルガリア 佐渡ヶ嶽   26   204/155
 正攻法・スケール型 間合0〜1 [右四つ両廻し・上手廻し]          
C10 11
左上手投げ4a
前褌寄り 3b
右四つ寄り4b
下手投げ 3c
吊り寄り 2d
右腕返し 3b
モロ差寄り3c
渡し込み  3b
突っ張り  2d
はたき   2c
足取り  2c
掬い投げ 3c
引きつけ  4b
巻き替え  2d
浴びせ倒し3c
かわず掛け1e
突き落とし 2c
小股  2d
<立合>
右差し  2a
左上手 3c
張差し   2c
前褌   2c
モロ手突き2d
モロ差し 2c
頭b肩b胸d
手c変化c 
<心>
スロ-スタ-ト
ムラッ気
勝負弱い
強行
まった
取りこぼし
連敗癖
早熟型
<技>
土俵際
がっぷり○
外四つ○
ヒザ払い
足踏み込み
詰め×
被さり
足跳ね上げ
<体>
懐深い
腰高
前がかり
リーチ長
内股
バタ足
右膝爆弾
B12 D09
D09 B12
D09 D08
D08 C10

 

 

 長いスランプに悩む未完の大器。白鵬に先んじて大関へスピード出世。関脇時代は当時無敵の横綱朝青龍への対抗馬一番手だったが、大関2場所目に右膝の古傷を痛めてから精彩を欠き、優勝争いどころか10勝が精一杯という不本意な成績が続いている。なんとか連続勝ち越しだけは続いていたが、それも19年九州の初休場でストップ。20年は、角番からの苦しい船出となった。しかし、夏場所に突然の再ブレイク。腰の据わった落ち着いた大きな四つ相撲が見られ、連勝街道を走る。追う2横綱も立て続けに下し、14勝1敗で初優勝を飾った。体重増加も手伝って「進化」を果たし、綱取りも夢ではないと期待されたが、翌場所から元の木阿弥。再び勝ち越すのがやっとの状態。

 まだ若い大関。昨年、10キロほどスケールを増した体をうまく使えれば去年夏のような活躍が見られるはず。苦手力士の克服、土俵際のツメを磨くことが喫緊の課題。大関として安定した成績を残すよりも、突然の爆発に期待したい。きっかけさえ掴めば長いリーチですぐに綱に届く。

 右ヒザの古傷が完治せず、長身だけに泣き所。好不調は、右足の具合によるところが大きい。前半戦をいかにいい流れで乗り切るかがポイント。足の運びの質が低く、そこを突かれて曲者にカモられているが、懐の深さを生かした大きな相撲で何もさせないこともある。先制の突っ張りなど、技の引き出しは増えている。

 上手相撲が取れる力士。左でも右でも上手を取れば引き付けが効き、相手を封じられる。立合いから変わり気味に上手を狙うこともある。ただ、下手からの投げに弱く、それを警戒してか、あまり大胆には攻めず差し手にこだわることが多い。右四つなら万全で、左四つやモロ差しでも取れる。寄り、投げの威力は強烈だが、精度に改善の余地あり。

 できれば廻しはやりたくない。押し相撲なら、のどわやハズで起こして一気に攻めたい。小兵や四つ相撲の力士なら、長い手で廻しを取られるのは仕方ないと割り切り、飛び込んで差し手からかき回す戦法が有効だろう。立合いで駆け引きを仕掛けて慌てさせるのも手。まともに組み合えば体格で絶対不利を強いられる。

 最近は黒。深緑の廻しも見受けられるが、黒と区別がつきにくく、現段階で別の色であるとは判別できていない。出世街道を歩む頃は空色の廻しで爽やかだった。緑もブルガリアの国旗を連想させ、違和感ない。21年はブルーの廻しを新調して心機一転。四股名は一昨年、「州」の字にさんずいを付けた。ゆくゆくは先代親方の四股名を取って琴「櫻」州、などという噂も耳にした。

 

 


 

  琴光喜  大関   愛知 佐渡ヶ嶽   32   182/155
 スピード・技能型 間合1 [両差し・右下手・右差し左上手]       
C11 C10
右下手投げ4b
上手投げ  3b
掬い投げ 4c
下手出投げ3d
モロ差寄り 3c
モロ手突き2c
上手出投げ2c
ハズ押し 3b
右差し寄り 3d
内無双  4c
とったり  3c
肩透かし  3d
切り返し  2e
突き落とし2d
吊り     1e
廻し切り   2c
はたき    3c
はね上げ 2b
<立合>
体当たり  4a
カチ上げ 3c
右差し   2b
ぶちかまし2d
右上手   2d
モロ差し 3c
頭d肩c胸a
手d変化d
<心>
チャンス×
ツラ相撲
まった
スタート○
息切れ
取りこぼし
慎重
<技>
前捌き
まわりこみ
速攻
出足
助走
 

        

      
<体>
体質柔軟
アゴ上がり
バッタリ
右ひじ
右足首

      
C10 C10
C10 B12
B13 C10
D08 C11

 

 

 横綱大関を次々連破し、優勝まであと一歩と迫った幕内デビューからはや10年目。平幕優勝、史上最長関脇在位を経て、19年にようやく大関となった。朝青龍戦の連敗も27で止めた。上昇気流に乗りたい20年は安定はしていたが、大事な一番を落とすところは相変わらずで、なかなか優勝争いに絡めずに終わった。それでも大関の中では最も期待できる力士。白鵬とも熱戦を繰り広げる。先代譲りの遅咲きの綱取りなるか。

 ベテランと呼ばれる年齢になったが、スピードと重さを併せ持つ身体能力は健在。技の向上も続いている。ただ、負けるときはあっけない。

 右下手からの芸が武器だったが、近年は左上手を取って相手に上手を許さない体勢に持ち込むことが増えた。寄りよりも、出し投げや無双に切れを感じる。左四つは得意ではないが、右上手を取れば技が出る。突き押しもあり、立合いの出足を生かした速攻も見せるが、勢いに足がついていかないリスクもある。

 右四つに持ち込まれると主導権を握られるし、守りも強い。右差しを嫌い、まわしを取らせずに焦らせる作戦が有効。執拗におっつけて雑な攻めを誘う。胸を出す傾向もあり、突き押しで一気に攻めたい。

 「光」る相撲で観客を「喜」ばせるという期待を込めて先代佐渡ヶ嶽が命名。大関昇進の頃から黒い締め込みを青に変えている。一つの色を比較的長く使う。

 

  日馬富士   大関   モンゴル 伊勢ヶ濱 25 185/125
 スピード型 間合1/3 [右差し・突き押し]         
E07 C10
左前褌寄り3b
左上手投げ3b
右のどわ  4b
上突っ張り3b
右下手投げ3b
モロ差寄り3c
とったり  3c
外掛け   2d
首投げ  2d
足取り   3d
吊り落とし 2e
櫓投げ  2e
小手投げ3c
上手出投げ2c
腕ひねり 1d
カチ上げ 2e
内無双 2e
小褄取り 2d
<立合>
ぶちかまし3a
右のどわ 3b
張差し 2c
前褌   2d
左上手   2c
とったり 2e 
頭a肩e胸e
手c変化d
<心>
気迫
上位キラ-
スロ-スタ-ト
策士
人気
土俵際
対小兵○
<技>

多彩

まわりこみ

手取り

大技

速攻

差し身

<体>
敏捷
前掛り
右肘
C10 C11
B13 B12
B12 B12
B12 C11
   

 

 平成16年、十両優勝して11月場所入幕。ライバル視する白鵬より半年遅れである。幕内最軽量であり、技の切れ、スピードで注目されるが当初は成績は平凡だったが、18年1月に朝青龍の8連覇を絶望的にする金星を奪ってから一気に躍進。19年には三役定着を果たし、関脇で連続10勝して迎えた20年1月は初めての大関挑戦。この場所9勝に終わると、年の前半は一桁勝利が続く。平幕相手の取りこぼしが目立ち、変化に頼る場面も見られた。しかし秋場所では大勝できないという評価を覆し自己最高の12勝。続く九州は、プレッシャーに苦しみ序盤で連敗。慎重さが目立ったが何とか勝ち進み、12日目に1差の白鵬をモロ差しからの下手投げで破りトップに並ぶと、そのまま並走し自身初の13勝。決定戦では奮闘及ばず初優勝は逃したものの、場所後満場一致で大関に昇進した。

 大関挑戦を狙った20年は苦しみながらも年間勝利数2位。4大関を抑えて白鵬に次ぐ成績を残し、地力は十分発揮した。今年は一気に横綱を狙う勢いで行きたい。

 一回り体も大きくなって、真っ向勝負でも大型力士に引けを取らない。パラメータも全体に上昇。小技は減ったが、テクニシャンぶりは健在で逆転技も豊富。豊ノ島や豪風など小兵にめっぽう強い。

 右差し十分。立合い鋭い当たりから右のどわで起こし、懐に飛び込んで右差し、左でおっつけながら上手を取り、出し投げも使って横に回りつつ前へ攻める。突き押しの威力も磨かれ、スピードがより発揮される。足取りや小褄取りなど小技も器用だが、白鵬を裏返した首投げ、若ノ鵬を打っ棄った櫓投げ、豊真将に見舞った突っ張り合いの中でのカチ上げ、豪栄道を一蹴した送り吊り落としと荒技・大技も決める。軽量だが上背があるので、上手からの大きな投げがあり、差されても致命傷にならない。

 スピードを封じたい。体格のある力士なら、がっちりと引っ張り込んでしまうのが有効。立合いも多彩なので的を絞りづらいが、低さ負けせず、左を差し勝てれば一気に攻められる可能性も。

 旧名は、安治川部屋の力士の冠だった「安」に、モンゴルのイメージ「馬」。「あま」という読みも「安い馬」と読めてしまう漢字も今ひとつパッとしない印象だったが、これだけ人気実力を兼ね備えて来ると気にならなくなった。部屋の力士は親方の名跡変更に伴って「安」の字を一斉に改めたが、関取衆はそのままだった。大関昇進に伴って、しこ名を変更。「日馬富士」は、日輪の「日」に、安馬から「馬」を残し、師匠旭富士の「富士」をつけた。「はるまふじ」という難解な読みである。「富士」は目標の一人である千代の富士のイメージも重なり、しっくりくる。初期の水色から、黒、現在は黒と銀を併用している。黒は千代の富士、朝青龍の路線。銀ねずも、スピード感が際立っており、新大関はこの色で登場した。趣味の絵画も有名で、増位山以来の絵心のある大関誕生。

 

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三 役 ベテラン 中 堅 若 手 十 両 ルーキー

朝青龍 白鵬 千代大海 魁皇 琴欧洲 琴光喜 日馬富士

 

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