現役力士データ

2009(平成二一年)


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三 役

上位陣

三 役 ベテラン 中 堅 若 手 十 両 ルーキー

琴奨菊 豊ノ島 稀勢の里 朝赤龍 安美錦 把瑠都

 

パラメータ

 取り口のタイプ/得意な間合い(0〜4、字が大きいほど遠距離)/[得意な形]/まわしの色(長さが使用頻度を表す)

(総合的な重さ)、(総合的な力の強さ)、(総合的なスピード)(総合的な技能)、(体のバランスの良さ)

(寄りのレベル)、(押し、突きのレベル)、(投げ技のレベル)(粘り強さ)、(総合的なスタミナ)、A〜G(15段階)

技リストは、数字がレベル(1<5)英字が頻度(a>e)を表す。

その他の点は、<データについて>を参照

解説 現況 これから/ 十分な形 攻略法 /その他(まわし・四股名)

 


 

  琴奨菊  関脇      福岡 佐渡ヶ嶽 25  179/160
  疾風型 間合1〜2 [左差し右上手/右おっつけ]     
C11 B13
がぶり寄り5b
右おっつけ3c
右上手投げ2c
はねあげ 3b
左腕返し 2b
突っ張り  2b
ハズ押し   2b
掬い投げ   2d
突き落とし 2c
巻き落とし1e
モロ差寄り2d
巻き替え  1d
肩透かし  2d
渡し込み   1c
波離間投げ1e
廻し切り 2c
のどわ  2c
はたき  2d
<立合>
ぶちかまし2a
左差し  2c
右おっつけ2b
張差し 1d
いなし  2c
右差し 1d 
頭b肩b胸e
手c変化d
<心>
尻上がり
ツラ相撲
スロ-スタ-ト
強行
まった 
 
<技>
左堅い
右甘い
受身○

      
<体>
重心低い
アゴ上がり
カタフン
腰痛

        

      
D09 D09
D09 D08
D09 C10
C10 C10

   

 

 高校相撲の頃から期待されていたホープ。順調に出世し17年初場所新入幕。しばらくは苦戦していたが、徐々に地力をつけて18年地元九州、前頭2枚目で二ケタ勝ち、技能賞の活躍。一躍「がぶり寄り」が代名詞になった。翌場所新三役は見送られたが、確かな実力を示して勝ち越し、一気に関脇の座を捉えた。この年の九州も初めての三役での勝ち越しとなる技能賞の活躍。三役常連となった。20年1月も好調を維持したが、ヒザを故障。再出場して9勝を挙げる気迫を見せた。春場所では高校の先輩朝青龍から初勝利、殊勲賞。しかし大関への足掛かりは掴めないまま、平幕に転落してしまった。立合いの厳格化後、やり直しを命じられることが多く、このあたりも不調の原因か。

 いよいよ体重も160キロ台へ突入し、重量感のある四ツ相撲が完成されてきた。威力は角界有数。なかなか横綱戦で勝てなかったが、両横綱から勝利を挙げてその課題は克服。安馬を得意とする希少な力士でもあるが、大関争いで先を越され奮起が期待される。

 根は左四つ。右上手を浅く取れば自慢のがぶり寄りが威力を発揮。左差し右おっつけの形を中心とした押し相撲だったが、ガブリ寄りを磨いてからは右四つでも構わずに前へ出る馬力を見せ、幅が広がった。相手の意表を突いて右差しから入る作戦もある。まわしを取れなくてもがぶっているうちに腰が下りて、いい位置の上手に手が掛かることが多い。重心の低さをうまく武器にしている。

 胸を合わすと腹を使ったがぶり寄りを浴びるので、出来れば横につくなりして半身にさせたい。一気の攻めを防げば楽になる。または右を差し勝てば左は甘いのでモロ差しを狙える。離れて取ってもそれなりに対抗してくる上、叩きもうまいので安全とは言えない。

 関取になるまでは琴菊次の四股名。本名から一時取って現在の四股名に改めた。青い廻しがトレードマーク。それ以外は見た記憶がないが、微妙に濃淡が違うことがある。固めに廻しを締めているため、水を拭きかけるせいだろうか。体型、額など力士らしい風貌。

 

 

  豊 ノ 島    小結     高知 時津風   26   170/145
 技能・押し相撲型 間合1/2 [モロ差し/左差し]       
D09 D09
左下手投げ4b
モロ差寄り3b
内掛け   3d
肩透かし  4b
外掛け  2b
掬い投げ  3c
ハズ押し  2b
吊り寄り   2c
巻き替え  4b
切り返し  2d
左腕返し  2c
渡し込み  2d
まわし切り2c
かわず掛け2d
はたき  3c
下手出投げ2e
上突っ張り 2d
首投げ  2d
<立合>
モロ差し3b
かちあげ2b
左差し 4b
張差し  1d
いなし  2d
のどわ 2e
頭c肩a胸b
手c変化d 
<心>
対小兵×
強行
土俵際
<技>

足癖

差し身

頭四つ

粘り腰

足跳上げ

まわりこみ

腹相撲

<体>
立ち腰
体質柔軟
重心低い
アゴ上り
右膝
 

      
D08 D08
C10 B12
B12 B12
C10 C10

    

 

 やはり高校相撲で活躍、身長不足のため第二検査から初土俵を踏んだが、ライバル琴奨菊に先んじて関取に。同時に新十両となった琴欧洲とは新入幕も同時。30センチ以上の身長差が話題となった。しかし、その後一年で大関昇進した琴欧洲に対し、豊ノ島は大きく遅れを取った。なかなか幕内で勝ち越せず、2度も陥落。十両では14勝1敗で優勝するなど実力は確かだが、幕内ではあと6,7勝が続いた。ところが、19年に入り大変身。12勝の活躍で優勝争いにも加わり初の三賞。翌場所初めての上位挑戦ながら、かつてのライバル琴欧洲を見事に投げ飛ばすなど勝ち越して新三役となる。朝青龍に稽古場で右膝を潰されて大負けしたが、怪我の回復と共に力を発揮、白鵬から金星を挙げるなど上位に欠かせない存在となった。20年も夏場所の11勝で三役復帰すると、小結でも因縁の朝青龍を破るなど10勝。大関への足固めと臨んだ新関脇の秋は、朝青龍に連勝しながら負け越したが、今後も成長が見込まれる。

 小兵のイメージが強いが、体重も重くなって地力アップ。まともに組むと不利という印象だったが、いまやどちらかと言えば腰が重い力士。粘りも相当で、逆転もある。差し身のテクニックも見事で、巻き替えてモロ差しになればせり出した腹も生きる。

 左下手からの投げ、内掛けが有名な海鵬タイプだったが、体も大きくなって内掛けより外掛けが多くなった。立合いはワキを窄めて肩で当たる左差し狙いか、両腕クロスでモロ差し狙いか、いずれにしても低くは当たらない。上手を取られても慌てず、差し身の良さでモロになって有利に運ぶ天性の技能派。巻き替えるタイミングを狙って出てきたところを肩透かしを引くパターンも、変わり身の速さで綺麗に決まる。土俵際の魔術を持つ。一気に出るタイプではないが、機を見て押し相撲に切り替えての速攻もあり、白鵬をも苦しめる。まさに第二検査の星。

 突き押しで何もさせずに圧倒できればそれに越したことはない。ただ、千代大海が大の苦手にしているように、的が小さい上にモチャモチャした体で押しにくい。変わり身も早い。大きな相撲で圧倒したいところだが、上手投げを下手から返す力があるので、強引にいくと思う壺。面倒だが、しつこく差し手をおっつけてから浅い廻しを引きつけたり、深く差し込んだりと小さい相撲を取るのが攻略法。

 ライバルの琴奨菊には合口が悪いが、琴欧洲には天敵となっている。胸を出す割に大型力士も苦にしないが、安馬・豪風となぜか小兵にはひどく合口が悪い。黒廻しから、高知の海をイメージしたブルーに。ただ、黒潮の海ならもうちょっと濃いブルーだと思うが、色黒の体に鮮やかなブルーが映えている。

 

 


 

  稀勢の里   小結  茨城 鳴戸  23  187/165
 前進・疾風型 間合0〜2 [左差し右上手/おっつけ・両おっつけ]     
C11 C11
左おっつけ3a
左四つ寄り4a
右おっつけ3b
右上手投げ2c
がぶり寄り3c
左腕返し 3b
突っ張り   2c
ハズ押し 3b
掬い投げ  2c
のどわ  2c
突き落とし3c
モロ差寄り1c
モロ手突き2b
モロハズ  2b
首捻り    2d
まわし切り3c
引きつけ  3b
渡し込み 2d
<立合>
ぶちかまし3b
左差し 2b
体当たり3b
張差し 2c
おっつけ3b
右突き放し2c
頭b肩b胸d
手d変化e
<心>
気迫
突っかけ
ライバル意識
土俵際
ツラ相撲
番付運×
ムラッ気
早熟型
<技>
ワキ甘い
出足
挟みつけ
詰め×
      
      
<体>
腰高
足腰柔軟
ケガ○
 
C11 C10
08 D08
D08 D09
D08 C10

  

 貴乃花の年少記録に迫る勢いでスピード出世を果たした未完の大器。平成16年の初場所で幕下優勝したのが史上2位の年少記録で、注目が集まる。そして年内には17歳で十両、幕内にまで昇進。四股名どおりの勢いは止まったが、入幕1年目の17年9月に12勝の活躍で実力を発揮すると、18年には年6場所全て勝ち越し、後半は小結を維持した。朝青龍にも初勝利を挙げて大関候補に名乗り。19年は4場所負け越しと苦戦、20年も安定感がなく一進一退。だが初めて三役で二ケタの勝利を挙げるなど、二ケタ勝利3回と8勝止まりが多かった以前よりも期待を持たせる。

 重さ、力強さは大関級。体は順調に大きくなっているが、そろそろ止まらないと動きが悪くなる。技能面も悪くないが、大関を狙うため馬力だけでない安定した取り口を完成させるには、さらに細かい技の習熟が求められる。小結で5場所勝ち越しているが、いまだ関脇に上がれない不運も出世の勢いがつかない原因の一つか。

 左右のおっつけで前へ出ながら左四つ右上手の形を作るのが万全。大きな体を密着させて両まわし引き付けての寄りに迫力がある。左のおっつけ右のどわで押して出て行く勢いが出世の原動力だったが、安定感を持たせるために左四つの相撲への以降を図っている。立合いでは基本的に左肩から体をぶつけて左を差しに行くが、張差しを狙うことも多い。左四つになれば、相手の廻しを切るのもうまく、出足もあるのでかなりの戦闘力。

 ワキの甘さを突いてモロ差しになりたい。比較的左は差しやすいが、問題は右を如何に差し勝つか。あっさり二本差せれば良いが、必ずしも最初から左を差しに来る相手ではないので、無理矢理に右を差そうとすれば、左おっつけの餌食になる危険がある。逆に右の浅い上手を取って半身にさせて、左四つで勝負したいところ。苦し紛れに左を抜かせられれば狙い通りのモロ差しとなる。ただし、腰が重いうえに土俵際での首捻り、突き落としも強いので逆転に注意。

 闘志をみなぎらせる赤い締め込みが定着。横綱相手には特に気迫がこもり、頬が紅潮する。「萩原」の四股名で十両までは通したが、入幕時に現在の四股名。出世の早さに因み「稀なる勢い」と、親方の「隆の里」から命名。いかにも過渡期の四股名という感じであり、二代目隆の里を襲名させたい意図も窺がえるが、肝心の勢いが普通になってしまい今の四股名がすっかり定着。

 

 


 

  朝赤龍     関脇   モンゴル 高砂   28   184/140
 業師・押し相撲型 間合1〜2 [左差し右前褌・左/右おっつけ]           
D08 D08
上手出投げ4b
右上手投げ3b
下手投げ  3c
左前褌寄り2d
はたき     3b
突き落とし 3b
右おっつけ2d
引き落とし 3c
かわず掛け2d
内無双    2d
はねあげ 2b
小手投げ 2d
巻き替え  2d
下手出投げ3c
いなし  3b
たぐり  2c
突っ張り  2c
ひねり  2d
<立合>
モロ手突き2b
左差し   2b
張差し  2d
右おっつけ2b
足取り  2e
突き落とし2d
頭c肩c胸d
手b変化d 
<心>
慎重
ムラッ気
ツラ相撲
上位キラ-
 
<技>
まわりこみ
逆四つ○
変化技○
受身○
もぐり

        

 

<体>
重心低い
体質柔軟
両膝
怪我×

        

        

      
D08 D09
C10 C11
C10 B12
D08 D09

  

 朝青龍の一年後輩。同じ経歴で初土俵を踏み、先輩に劣らず2年半で新十両と順調な出世。十両も4場所で突破し、15年3月新入幕。この場所は朝青龍は新横綱。16年3月、突然大爆発して初日から連勝街道。大関魁皇との全勝対決も制して12連勝。翌日もやはり全勝の千代大海と当てられ大熱戦の末敗れたが、この場所13勝2敗で朝青龍の後を追うような出世が期待された。しかし、その後は伸び悩み、たまに上位を食ったり大勝したりするものの好成績が続かない。ヒザを故障したことも響いた。19年には関脇にも昇進。20年は2度小結に昇進している。

 入幕当初から、連勝連敗が多い力士。20年7月は4連敗8連勝3連敗という極端な成績。体重は140キロに乗るくらいだが、体が柔かい分腰が重い。動きも良く、守りに関してはかなり強い力士。課題の勝ち味の遅さも改善されつつある。攻めては出し投げの名手。しかし悪い時は防戦一方で粘りもなくなる。

 低い姿勢でおっつけながら横から攻める技能派。離れてもしぶといが、前褌を取るとさらに持ち味を発揮し、出し投げの妙技を発揮する。上手からも下手からも投げが強く、最近では把瑠都を豪快に投げ飛ばした相撲が印象的。腰も重いほうであるが、体は大きくはないので四つ相撲の相手にまともに組むと苦戦する。器用さゆえに案外簡単に相手十分に合わせてしまう傾向がある。
 締め込みは四股名どおりの鮮やかな「赤」の他、黒まわしもあり、紺廻しも披露。四股名は朝青龍がいるから、では赤にしようというものらしい。

 

 

 

  安美錦       関脇       青森  伊勢ヶ濱   31    185/140
 業師・スピード型 間合1 [右下手・左/右前褌・ハズ押し]     
E07 D09
右下手出投4c
ハズ押し  3b
前褌寄り  2c
引き落とし3c
外掛け   3c
上手投げ 3b
掬い投げ 3c
のどわ   2c
うっちゃり 2d
ひねり   3c
大逆手   2e
いなし    3b
裾払い  2c
肩透かし 3c
モロ差寄り3c
切り返し 2d
引っ掛け2c
下手投げ 3c
<立合>
モロ手突き3c
右差し  3b
前褌     2c
左上手  2c
張差し 2e
いなし   3c 
頭a肩d胸e
手b変化c 
<心>
上位キラ-
策士
横攻め
冷静
速攻
スタート○
晩成型 
 
<技>
相撲勘
土俵際
前捌き
足癖
まわりこみ
食下がり
対押し×
 
<体>
前傾○
敏捷
体質柔軟
肘柔軟
右膝爆弾
腰痛
      
      
E07 D09
B13 C11
B13 C10
D09 E07

 

 19年の活躍に続き、20年も力を発揮。三役に定着とはいかないが、度々大物食いで存在感を発揮。若いときから幕内にいるが、ここ数年で本格化した晩成の力士だ。
 テクニシャン。最近は右下手を取っての出し投げでの逆転や足技の妙技は温存し、モロ手突きからスピードに乗った速攻で勝負する。立合いに前へ出られることで、差し身の良さも一層引き立つ。九州場所の白鵬戦などは典型で、当たり勝ってモロ差しになったのが勝因。かと思えば、サッと身をかわす変化も見せる策士。打っ棄りなど土俵際の魔術も健在。

 案外変な苦手が多い。押し相撲には苦戦する傾向があり、千代大海には初顔から14戦勝てなかった。この苦手意識は払拭しているが、北勝力にはまだ苦戦続き。前傾姿勢で取るので、起こしながら前褌狙ってくるところを叩くのもよく決まる。やはり突き押しで、それも距離を取れる突きが有効。ただし読まれると腕を引っ掛けられるので、タイミングも大事。体重は増えてきたが、ヒザが悪いこともあり腰の重さはないので、がっぷり組んで両まわし引き付けて慎重に寄り切りたい。

 飄々とした雰囲気を持つが、かなりの勝負師。立合い、土俵際での体のかわしが見事。締め込みはあまり変えない方であり、貴乃花に引導を渡した頃の水色、近年の黒、その2種くらい。師匠の名跡変更で若い衆の「安」の字は改められているが、すでに関取で四股名が定着していたこともあり、兄の安壮富士とともにその名残を残している。

 


  把瑠都 前頭   エストニア 尾上   25  197/170
 スケール・正攻法型 間合0 [右四つ左上手・両廻し・上手廻し]    
C11 C11
上手投げ  3b
上突っ張り2b
吊り  3b
はたき  3b
上手ひねり2c
小手投げ 3c
吊り寄り 3d
右四つ寄り2b
跳ね上げ2b
引きつけ  3b
波離間投げ3d
引き落とし3c
投げ寄り  2d
打っ棄り  2d
内無双  1e
のどわ  2c
上手透かし2b
蹴返し  1d
<立合>
張差し 1c
モロ差し  2c
モロ手突き2c
はたき 2d
左前褌 2c
上手  3d 
頭d肩b胸b
手b変化c
<心>
引き癖
投げ癖
強引
慎重
 
<技>
ワキ甘い
上手相撲
肩腰上手
外四つ○
体入れ替え
引っ張り込み
呼び込み
対押し× 
<体>
腰高
懐深い◎
リーチ○
上体柔軟
引き足×
左足首
右膝爆弾
A14 E07
E07 B12
E07 E07
E07 E07

 

 怪物到来と怖れられた18年。十両では虫垂炎で休場してスピード記録に邪魔が入ったものの、幕下から復帰すると十両全勝優勝の快挙。新入幕の5月場所も驚異的なスケールを発揮して、優勝争いを展開。大関白鵬と関脇雅山に敗れて両国以来の新入幕Vは逃したが、大物ぶりをいかんなく発揮した。三役や大関は時間の問題と期待は膨らんだが、その後強引な引き技で自滅し何度も膝を故障。2度も十両にも陥落したが、いずれも圧倒的な成績で優勝した(計3回優勝)。正攻法に取り組んでようやく相撲が安定、膝に気を使いながら、取り口も矯正中であり波はあったが、20年9月にやっと三役に昇進。

 11月には新関脇で中盤8連勝するなど三役に定着しかけている。勢いに乗れば一気に大関に届きそう。

 上手を取れば振り回したり引き回したりとパワーが発揮される大きな相撲。だが、それでは怪我が再発するからと、上手を取り急がない相撲に変えつつある。左右から挟みつけるように下からおっつけながら前に出て、浅い位置の上手まわしや下手を狙う。この形だと胸が合いやすく、腰高にもなりにくい。右四つがっぷりになるのが理想だが、白鵬などには四つ身の完成度の差が大きく通用していない。どこで覚えたか、内無双も披露。なかなかの研究熱心。今年も技の進化は急激に進むだろう。

 捕まるといい体勢を作っても根こそぎ持っていかれる危険がある。横から横から食いついては動かすか、徹底して離れて引き技を待つのが有効。リーチがあるものの、めったに突き放してはこないので、思い切り突っ込んで圧力をかけておくと焦らせられるだろう。起こしてしまえば、下がり方は下手なので一気に持っていけるだろう。

 ブルー廻しでバルト海を表現。エストニアからきた相棒は早々と帰国してしまったが、適応能力があって一人でも頑張っている。吊りを得意とする希少な力士。

 

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