現役力士データ

2010(平成二三年)


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上位陣

上位陣

三 役 ベテラン 中 堅 若 手 十 両 ルーキー

白鵬 魁皇 琴欧洲 日馬富士 把瑠都

 

パラメータ

技リスト

スキルリスト

 取り口のタイプ/[得意な形]/まわしの色(長さが使用頻度を表す)

(総合的な重さ)、(総合的な力の強さ)、(総合的なスピード)(総合的な技能)、(身体バランスの良さ)
(寄りのレベル)、(突き・押しのレベル)、(投げ技のレベル)(粘り強さ)、(総合的なスタミナ)、以上A〜G(15段階)

技リストは、数字がレベル(低1<5高)英字が頻度(多a>e少)を表す。
(技名の前に左右がついていない場合は、どちらからでもできるか、どちらも差はない場合。)

その他の点は、<データについて>を参照

サブチャート 間合い:(密着した状態。がっぷり)
      (廻しには手がかかるが、胸は合わせていない状態。食い下がり、半身など)
    (体は接しているが廻しには掛からない距離。おっつけ、ハズなど前捌きの応酬が見られる)
    (離れて突っ張りに適した距離。)、
    (遠距離。リーチを生かした突きがあれば一方的に攻められる間合)

その他各パターン・傾向の得意不得意、傾向の強さ。☆>◎>○>△>×

安定・大勝・キラーは主に上位陣以外が対象で、成績の残し方を示す。○か無印か×で傾向を示す。(上位陣も一応表示する)

解説 現況(23年1月) / 得意技・パラメータなどの解説 /注目ポイント

  白 鵬  横綱  モンゴル 宮城野   26   192/150
     本格型   [右差し左上手]          
B13 A14
左上手投げ5a
左上手出投4c
右四つ寄り5a
小手投げ 4c
はたき   3c
モロ手突き2c
モロ差寄り3c
上突っ張り3b
右腕返し 3c
掛け投げ2c
引きつけ4b
張り手 3b
巻き替え 3c
内掛け  2d
はねあげ 2b
廻し切り 4c
とったり  3c
吊り落とし2e
<立合>
張差し  3b
右カチ上げ3b
モロ差し 2d
モロ手突き2d
左前褌  2d
左上手  1e
頭d肩b胸c
手b変化e 
<心>
安定感
勝負強い
決定戦×
じらし
尻上がり
まった
投げ多用
早熟型 
<技>
前捌き
まわりこみ
膝払い
チョン立ち
受身○
摺足○
足技
外四つ
<体>
懐深い
足腰柔軟
体質柔軟
粘り腰○
腰痛
左足首
左ひじ
B13 C11
C11 A15
B13 B13
B13 B12

間合い

速攻 遅攻 猛攻 堅守 対応 パワー テク 闘志 沈着 安定 大勝 キラー
   
 黄金時代続く 昇進4年目は角界の大黒柱として存在感を示した。21年に続く年間86勝4敗、さらに伝説を作った。朝青龍電撃引退で3月からは一人横綱となったが、重圧も何のその。賭博事件では自身も軽微な賭博を申告、賜杯辞退には心を痛めたが、直後の名古屋場所で史上初の3場所連続15戦全勝優勝。そして初場所14日目から始まった連勝は、名古屋で自己最長34、朝青龍を超える平成1位の36、大鵬の45もクリアした。秋場所では戦後、年6場所制下で1位である千代の富士の53を凌駕し4場所連続の全勝。九州場所は7日目に69連勝に到達するはずだったが、2日目稀勢の里の寄りに屈して双葉超えはならず。負ける姿が想像できなかった横綱の不覚に誰もが驚いた。

 他の力士との差は開く一方。大きな故障もなく死角なし。夏場所では、優勝回数で輪島に並んだ記念に2日だけ黄金廻しを披露するサービスも。

 右四つ、右差し手を返しての寄り、切れ味鋭い強烈な左上手投げ。本格的な横綱相撲の型を築いている。巻き替え、相手の廻しを切る技術といった四つ相撲の細かなテクニックも磨かれていて、時間さえかければ無敵。得意な形を嫌われると焦れて張り手や叩きで呼び込むのが玉に瑕。

 最強変わらず。腕力はそれほどでもないとは言われるが、見ている限りかなり力技も利く。立合いは踏み込みで圧倒するより、張り差しなどで出足を止めることが多い。年間最多勝、連勝記録と負けられない土俵が続いた影響か。差し身は厳しいというほどではないが、巻き替えは速く不利にはならない。

「最強」 大記録を打ち立てて名実ともに大横綱に。年間86勝、連勝63は年6場所制最強。まさに平成の角聖。優勝回数でも6位。与えた金星は3年半でわずか5。

 


  魁 皇  大関  福岡  友綱   39   184/175
       怪力型  [左差し・右上手/右おっつけ]     
C11 C11
右上手投げ4c
右小手投げ4b
右おっつけ4a
左腕返し  3b
左前褌寄り3d
のどわ  3b
とったり  3c
はたき   4b
左掬い投げ3c
しぼり  4b
引っ掛け3c
引きつけ  3b
巻き替え  1d
投げ寄り  3c
モロ手突き2c
ハズ押し 2c
肩透かし  3c
外掛け  1d
<立合>
カチ上げ2b
左差し   3b
モロ差し2d
張差し   2c
とったり 3d
右上手 2c 
頭d肩a胸b
手d変化d 
<心>
安定感
息切れ
まった
逆境○
円熟
人気
晩成型
<技>
左堅い
連発
逆四つ×
引き癖
 

 

<体>
アゴ上がり
立ち腰
粘り腰×
調整×
腰爆弾
左太腿
左上腕
C11 D08
F05 C11
C11 E06
E06 E06

 

間合い

× ×
速攻 遅攻 猛攻 堅守 対応 パワー テク 闘志 沈着 安定 大勝 キラー
× ×      
 戦後最古参大関が通算記録を塗り替えた一年。初場所3日目、大横綱を抜いて幕内通算最多勝利を記録。記録保持者・千代の富士の弟子にして盟友・千代大海に引導を渡すドラマチックな一番だった。さらに通算勝星も史上二人目、1000勝の大台をクリアした。名古屋では給金目前で休場、久しぶりのカド番で迎えた秋場所は肩も悪く苦しんだが、14日目稀勢の里に力勝ちして何とか脱出。地元福岡に凱旋した。限界は近く最後の晴れ姿かという大方の予想を覆し、初日黒星の後11連勝。1敗で並走した白鵬、豊ノ島との直接対決には敗れたが、千秋楽大関把瑠都を破って6年ぶりの12勝。3年も二桁勝利から遠ざかっていた38歳が優勝争いを盛り上げる力が残っていることを示した。40歳大関も夢ではない。
 左四つに組めば安定感があり、上手に届けば盤石。上手から差し手の側へ、腰をぶつけていく寄りは未だ一流。横綱相手でもこの形なら善戦する。最大の武器である右からの投げは、腕や腰への負担もあり封印しているが、たまに禁を解けば伝家の宝刀が錆付いていないことを証明してくれる。左四つを警戒する相手に対しては叩きも良く決まる。

 左右の動きへの対応は苦しい。足を痛めたことで、さらに顕著になったが、あえて変な動きはやめて正面に相手を置くことに専念。腰は重いが、動かされると起きやすいので、抱え込んででも動きを止めたい。投げ技もめっきり少なくなってしまったが、踏ん張る足や腰、引き付ける腕に負担をかけないため。左四つでは職人的な巧さを披露する。序盤は相変わらず切れがないが、中盤は安定して星を稼ぐ。さすがに上位相手には苦しく、奇襲を交えて星を拾う。

「通算記録」 勝利数は幕内1位。通算でも遂に一千勝に達し、今年は千代の富士の1045を窺う。大関在位場所数でも千代大海に肉薄。

 


 

  琴欧洲  大関  ブルガリア 佐渡ヶ嶽   27   204/155
   正攻法・スケール型  [右四つ両廻し・上手廻し]          
C10 B12
左上手投げ4a
前褌寄り 3c
右四つ寄り4b
下手投げ 3c
吊り寄り 2d
右腕返し 3b
モロ差寄り3c
渡し込み  3b
突っ張り  2d
はたき   2c
足取り  2c
掬い投げ 3c
引きつけ  4b
巻き替え  2d
浴びせ倒し3c
かわず掛け1e
突き落とし 2c
小股  2d
<立合>
右差し  3a
左上手 3c
張差し   2c
前褌   2c
モロ手突き2d
モロ差し 2c
頭c肩b胸c
手c変化d
<心>
勝負弱い
まった
取りこぼし
連敗癖
対小兵×
<技>
がっぷり○
外四つ○
ヒザ払い
足踏み込み
被さり
足跳ね上げ
<体>
懐深い
腰高
前がかり
リーチ長
内股
立ち腰
バタ足
右膝爆弾
B13 D09
D09 B12
C10 D09
D08 C10

 

間合い

×
速攻 遅攻 猛攻 堅守 対応 パワー テク 闘志 沈着 安定 大勝 キラー
×  
 大関昇進から丸5年が経過。油の乗り切る年代だが、相変わらず停滞状態。序盤の取りこぼしは減ってきたが、後半戦でのため息を誘う脱落が目立つ。昇進後30場所の成績は可もなく不可もなく。11勝以上は20年夏の初優勝と21年名古屋の13勝の2場所だけ。カド番は途中休場後の2場所だけ。22年も9勝と10勝の繰り返しに終わった。
 長身を生かした大きな相撲が魅力。上手を取るか、下手を深く差せば体が生きる。強烈に引き付けての寄りと相手を裏返す豪快な投げ。引き技が出ると途端にバタバタとリズムを崩すが、離れても突き放して一方的に攻めるだけのリーチがある。

 外四つでも十分取れるスケールを生かせず小さな相撲に走って迷った時期もあったが、ここ2,3年の取り口は安定。四つ身に組み止めて腰を割って出る必勝の型の向上は、かつての苦手稀勢の里戦10連勝でもわかる。しかし中に入るのが巧く、下手からの芸がある相手にはコロリとひっくり返されることも。安美錦、豊ノ島など克服できない苦手は多い。立ち上がりの悪さは克服。

「立合い」 良い角度でぶつかった時には威力は強い。差すのも廻しを引くのも自在になる。稀勢の里など特定の相手には自信を持ってぶつかれる一方、苦手に対しては中途半端になったり、変わり身についていけなかったり。 困ったときは、左に動いて上手を先に取る。白鵬の33連勝を止めたのもこの作戦。

 


  日馬富士   大関   モンゴル 伊勢ヶ濱 26 185/125
      スピード型  [右下手・左右前褌・突き押し]          
E07 D09
左前褌寄り3b
左上手投げ3b
右のどわ  4b
上突っ張り3b
右下手投げ3b
モロ差寄り3c
とったり  3c
外掛け   2d
首投げ  3d
足取り   3d
吊り落とし 2e
うっちゃり 2d
小手投げ3c
上手出投げ3c
腕ひねり 1d
小股掬い 2d
裾取り  2e
小褄取り 2e
<立合>
ぶちかまし4a
右のどわ 3b
張差し 2c
前褌  2d
上手    3c
とったり 2e 
頭a肩e胸e
手c変化d
<心>
気迫
ムラっ気
スロ-スタ-ト
策士
人気
連敗癖
対小兵○
<技>

多彩

まわりこみ

手取り

大技

速攻

差し身

<体>
敏捷
前掛り
右ひざ
左肩
バッタリ
C10 C10
B12 C11
C11 B12
C10 D09
  

間合い

速攻 遅攻 猛攻 堅守 対応 パワー テク 闘志 沈着 安定 大勝 キラー
   
 大関昇進から初優勝までの1年ほどの旋風は見事だったが、以後11勝以上がなくパッとしない。22年は綱取りどころか下降線。1月と3月は好スタートを切り、何とか後半まで興味を引きつけたが、5月は連敗スタートと立ち上がりの悪さが再発。9月には大関昇進後最低の8勝に終わり、場所前に肩を痛めた11月は3連敗で途中休場となった。初のカド番で23年を迎えるが、失いつつある存在感を取り戻せるか。
 右差し十分、深く懐に入って左で前褌を取れば体格の不利もなくなり相手を翻弄する。大関らしくがっちりと胸を合わせることも増えているが、巨漢ぞろいの上位では負担も大きい。離れて勝負をつける相撲を多用していきたい。

 軽量だが、頭から突き刺さる威力は強く、左右へ動きながらの技も多彩。スピードは健在だが、ヒザの故障が慢性化、コンディションの調整に苦しんでいる。強靭な足腰が生命線だけに不振の大きな要因となっている。やや相撲の緻密さが失われ、大型力士に差されしまっている。

「大技」  日馬富士は攻勢に出ている時も清々しいが、劣勢のときに見せる逆転の大技にも魅力がある。白鵬や琴欧洲に深々と差されながら、一瞬のすきを突いて首投げでひっくり返したり、朝青龍の吊りを外掛けで刈り倒したり。今はなき?若ノ鵬を櫓気味に打っ棄ったこともあった。

 

  把瑠都  大関   エストニア 尾上    26   198/185
 スケール型  [右四つ左上手・両廻し・上手廻し]    
B13 C11
上手投げ  3b
上突っ張り3b
吊り   4b
はたき  3b
上手ひねり2c
小手投げ 3c
吊り寄り 3d
右四つ寄り2b
跳ね上げ2b
引きつけ  3b
波離間投げ3d
引き落とし3c
投げ寄り  2d
打っ棄り  2d
内無双  1e
のどわ  2c
上手透かし2b
蹴返し  1d
<立合>
左おっつけ2b
張差し  2b
モロ手突き2c
はたき 2d
左前褌  2e
抱え込み2c 
頭d肩d胸a
手b変化d
<心>
強引
慎重
連敗癖
 
<技>
ワキ甘い
上手相撲
肩腰上手
外四つ○
体入れ替え
引張り込み
呼び込み
対押し× 
<体>
腰高
懐深い◎
リーチ○
上体柔軟
引き足×
左足首
左膝爆弾
A15 C10
D08 B12
D08 D08
D08 D09

 

間合い

速攻 遅攻 猛攻 堅守 対応 パワー テク 闘志 沈着 安定 大勝 キラー
  ×
 21年11月に再関脇12勝、初場所12勝、春は14勝で文句なしの大関昇進。朝青龍の去った場所でのニューヒーロー誕生は、「家貧しくして孝子顕る」と人気沸騰。全勝優勝の白鵬に肉薄、「白把時代」形成を期待されたが、先輩大関同様に昇進した途端急失速。新大関場所こそ7連勝で期待させたが後半崩れ、以後は二桁にも満たない不調に陥る。突き押しを控えた11月は終盤まで1敗で首位を並走していたが、まさかの3連敗。白鵬には初場所以来毎場所力負け。
 両廻しを引き付けて持ち上げるような寄りは重厚。最近は両手突きからの突き押し一気の攻めも絡める。すぐに捕まえられない時にも、慌てず思い突っ張りで起こしてから攻めるなど取り口の幅は広い。はりま投げや大逆手のように後ろへ振り捨てる大技もあり、後ろに回った大きな阿覧を捻り潰したりもした。「掴み投げ」もできそうなパワー。軽々と持ち上げる吊りも魅力だが、強引さが災いして何度も足を痛めた苦い思い出もある。豪快さが魅力だが、研究熱心で蹴返しや無双などの小技も見せる。

 体重も10キロ近く増えて重さが増した。ただし中に入って煽られると意外と脆い。肩越しに持ち上げる異能ぶりは史上稀。四つ身の形など、技能面の成長が見受けられる。

「立合い」  試行錯誤を繰り返し、かなり幅が広がった。以前は上から上手を掴みに行って組み止めていたが、現在は主に左右から挟みつけるようにおっつけ、一方を差すという立合い。圧力をかけてから上手を取るようになって安定感を増した。右四つ狙いが基本だが、敢えて逆から組んで捕まえる策も。張差しで横を向かせて上手を近づけたり、突き押しで一気に前へ出る取り口も見せるなど工夫を重ねている。変に頭から行かないので変化は食わないが、モロ手突きはリスクがある。

 

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