現役力士データ

2011(平成二三年)


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三 役

上位陣

三 役 ベテラン 中 堅 若 手 十 両 ルーキー

稀勢の里 鶴竜 安美錦 琴奨菊 栃煌山

三役での活躍が期待される常連力士

パラメータ

技リスト

スキルリスト

 取り口のタイプ/得意な間合い(近い←密‐接‐近‐離‐遠→遠い)/[得意な形]/まわしの色(長さが使用頻度を表す)

(総合的な重さ)、(総合的な力の強さ)、(総合的なスピード)(総合的な技能)、(体のバランスの良さ)

(寄りのレベル)、(突き・押しのレベル)、(投げ技のレベル)(粘り強さ)、(総合的なスタミナ)、以上A〜G(15段階)

技リストは、数字がレベル(1<5)英字が頻度(a>e)を表す。

(技名の前に左右がついていない場合は、どちらからでもできるか、どちらも差はない場合。)

その他の点は、<データについて>を参照

サブチャート 間合い:(密着した状態。がっぷり)、(廻しには手がかかるが、胸は合わせていない状態。食い下がり、半身など)

 (体は接しているが廻しには掛からない距離。おっつけ、ハズなど前捌きの応酬が見られる)、(離れて突っ張りに適した距離。)、

 (遠距離。リーチを生かした突きがあれば一方的に攻められる間合)

その他各パターン・傾向の得意不得意、傾向の強さ。☆>◎>○>△>×

安定・大勝・キラーは主に上位陣以外が対象で、活躍の仕方を示す。○か無印か×で傾向を示す。(上位陣も一応表示する)

解説 現況 / 得意技など /注目ポイント

  稀勢の里   関脇  茨城 鳴戸  25  187/170
     前進・疾風型 [左差し右上手/おっつけ・両おっつけ]     
C11 C11
左おっつけ3b
左四つ寄り4a
右おっつけ3a
右上手投げ2c
がぶり寄り3c
左腕返し 3b
上突っ張り 2c
ハズ押し 3b
右のどわ  3b
右のどわ 3b
突き落とし4c
突き付け 2c
モロ手突き2b
モロハズ  2b
首捻り    2d
まわし切り3c
引きつけ  3b
渡し込み 2d
<立合>
ぶちかまし3c
左差し 2b
体当たり3c
張差し 2c
おっつけ3b
右突放し3c
頭c肩a胸c
手c変化e
<心>
気迫
突っかけ
土俵際
ツラ相撲
早熟型
<技>
ワキ甘い
出足
挟みつけ
波状攻撃
引張込み
詰め×
                               
      
<体>
腰高
足腰柔軟
ケガ○
 
C11 C11
09 D08
D08 D09
D08 C10

間合い

速攻 遅攻 猛攻 堅守 対応 パワー テク 闘志 沈着 安定 大勝 キラー
× ×
 22年も三役4場所を務めるが、大関取りにつながる二桁勝利はなく停滞した。しかし平幕に転落した九州場所2日目、横綱白鵬の連勝を63でストップする世紀の大金星。1年半ぶりに二桁の勝ち星を挙げて殊勲賞、関脇に復帰する新年には大きな期待がかかる。白鵬の連勝中には毎場所熱戦を展開するも及ばず、秋場所には千代の富士を超える54連勝目を献上した悔しさを晴らした。入幕から6年経過、上を目指すには正念場。
 左右のおっつけから前へ出ながら左四つ右上手の形を作るのが万全。大きな体を密着させて両まわし引き付けての寄りに迫力。白鵬戦も右上手を離さず体勢挽回を許さなかった。左のおっつけ右のどわで押して出て行く突き押しの勢いが出世の原動力だったが、幕内では左四つの相撲を磨いた。組んで良し離れて良しのふてぶてしい姿は北の湖を彷彿とさせる。立合いで制止せず腰と手を揺らす特徴的な動きがあったが、真正面を向いて静止して仕切る立合いに変化。左半身になる癖がなくなってきた。

 怒涛の攻めの迫力に魅力。止まらず突き押しから左四つ寄りと波状攻撃を仕掛ける。故障に強く休場無しの頼もしいタフネス。体型的にワキが堅いとは言えず、腰も高くなりがち。相変わらず連勝連敗が多く、好調が一気にしぼんで期待を裏切ることが目立つ。初場所は5連勝スタートから5連敗だった。

「苦手のライバル克服」 白鵬には闘志むき出しで向かっていく。大関時代には突き落としで3連勝したこともあったが、その後は毎場所対戦しながらカモにされていた。九州では12場所ぶりに金星。琴欧洲とは新十両、新入幕とも同時、出世で先行した琴欧洲に4連勝したが、その後は合口が悪かった。九州では10連敗でストップ。日馬富士とも新入幕同時、4連勝スタートだったが大関昇進後は差をつけられ10連敗、やはり九州場所でストップした。入幕までは出世争いを繰り広げたライバルたち、初めは相性が良かったはずだが、次第に名実ともに水を開けられていた。10連敗以上している天敵が3人もいては成績が上がらないのは当然。それを一場所で打ち破った勢いで大暴れしたい。

 

  鶴 竜  関脇  モンゴル 井筒  27 185/140
  技能・撹乱型  [突っ張り・モロ差し・右下手]     
D08 D09
突っ張り 3a
モロ差寄り3b
右下手出投3c
突き落とし3c
右下手投げ2c
はたき 3b
引っ掛け2d
上手投げ2c
のどわ 2b
外掛け  2d
とったり 2c
吊り    1d
上手ひねり2d
左前褌寄り1c
いなし  3c
うっちゃり 1e
肩透かし 2c
巻き替え 2d
<立合>
モロ手突き2b
ぶちかまし2b
右差し   1d
張差し   1d
左前褌  2d
いなし  2d
頭a肩c胸e
手b変化d
<心>
番付運○
引き癖
尻上がり
ポ-カ-フェイス
<技>
まわりこみ
差し身
逆四つ○
受身○
変化技○
俵伝い
 
<体>
上体柔軟
前傾○
D09 C10
C10 C10
C11 C10
C10 D09

間合い

速攻 遅攻 猛攻 堅守 対応 パワー テク 闘志 沈着 安定 大勝 キラー
 
 21年には3度も技能賞を受賞して大関候補筆頭と期待されたが、把瑠都に先を越されたばかりか勝越し2場所に留まった。関脇から4場所連続負け越しで6枚目にまで落ちた名古屋場所はさすがに11勝と活躍。初日から格の違いを見せつけて勝ちっぱなし、中日琴欧洲との全勝対決を制し5場所ぶりの勝越。翌日は白鵬への刺客として期待されたが完敗。横綱戦初勝利はいまだ果たせず。5度目の技能賞の勢いで三役でも9勝、関脇に復帰したが、最後まで前年のような進化は見られなかった。巧さは誰もが認めるところだが、決定的な強さを身につけて三役定着を果たしたい。
 右四つ得意だが、左四つもできれば、突っ張りでも勝負できる。師匠譲りの両差しになるのも上手い。器用貧乏でなく、何もさせても形がいい。地力がついて積極的な相撲が取れるようになって躍進。しかし、時折横に逃げたり、後退しながらの消極的な取り口も顔を覗かせる。

 体重は140キロ前後まで増えてきた、柔らかく受け身が強い上、変わり身も速いので攻めにくいが、案外あっさり捕まって出足や体格に圧倒されることもある。突き押しで掻き回し、自分有利にしか組まないというこだわりがほしい。

「ポーカーフェイス」  技の切れの良さが目立つが、色んな動きをしてもほとんど顔が動かないのも長所。重心が安定しているから突っ張りから差し身への移行もスムーズである。さらに言うなら顔の位置だけでなく表情も動かない。勝っても負けても眉ひとつ動かさない。20年九州で怪我をしたときはさすがに痛そうだったが、それくらいしか変化を見たことがない。勝って当たり前の横綱からガッツポーズが飛び出す時代にこのような古風な力士がいるのも安心する。国籍などは関係ないと改めて思わされる。

 


 

  安美錦       関脇       青森  伊勢ヶ濱   33    185/145
     業師・スピード型  [右下手・左/右前褌・右のどわ]     
E07 D08
右下手出投4c
右のどわ 3a
ハズ押し  3b
前褌寄り  3c
引き落とし3c
上手投げ 3b
掬い投げ 3c
右のどわ 3c
うっちゃり 2d
ひねり   3c
大逆手   2e
いなし    3b
裾払い  2c
肩透かし 3c
モロ差寄り3c
切り返し 2d
引っ掛け 2c
下手投げ 3c
<立合>
右のどわ3b
右差し  3b
前褌     2c
左上手  2c
張差し 2d
いなし   3c 
頭a肩d胸e
手c変化c 
<心>
上位キラ-
策士
横攻め
冷静
速攻
勝負強い
晩成型 
 
<技>
相撲勘
土俵際
出足
前捌き
まわりこみ
食下がり
対押し×
<体>
前傾○
バッタリ
体質柔軟
肘柔軟
右膝爆弾
腰痛
E07 C10
C10 C10
B12 D08
D08 E07

間合い

× ×
速攻 遅攻 猛攻 堅守 対応 パワー テク 闘志 沈着 安定 大勝 キラー
 
 すっかり上位に定着したベテランいぶし銀。入幕12年目、在位60場所を超えた。貴乃花に引導を渡したのはもう8年前。新三役は意外と遅く4年前。以後ケガを抱えながらも上位で奮闘、久しぶりに中位前頭6枚目で迎えた22年初場所は、前年名古屋以来の11勝で5回目の技能賞、三役復帰。春も勝ち越して関脇に。以後ヒザの具合が悪く途中休場もあったが、大きな破綻なく上位で活躍した。
 入幕時110キロ余りだった軽量力士の代表格も、150キロ近い立派な体になって出足自慢に。右のど輪で一気に出る取り口で、慢性的に悪いヒザに負担をかけないようにしている。本来は右下手を引いて食い下がる業師。

 ヒザの不安を引きずっており、四ツに組まれると踏ん張り切れない。足癖もほとんど見せなくなり、常に攻める相撲に転向している。7-7でも動じない勝負師。土俵際でも本能で粘る。

「実績」 三賞は新入幕での敢闘賞を皮切りに通算10回。殊勲4,技能5。金星は貴乃花、武蔵丸、朝青龍、白鵬の4人から7個。

  琴奨菊  関脇      福岡 佐渡ヶ嶽 27   180/170
         疾風型  [左差し右上手/右おっつけ]      
B12 B12
がぶり寄り5b
右おっつけ3c
右上手投げ3c
はねあげ 3b
左腕返し 2b
突っ張り  2b
ハズ押し   2b
掬い投げ   2d
突き落とし 2c
巻き落とし1e
モロ差寄り2d
巻き替え  1d
肩透かし  2d
極め     3c
波離間投げ1e
廻し切り 2c
のどわ  2c
はたき  2d
<立合>
左差し  3a
右おっつけ2b
右抱え込み3c
張差し 1d
いなし  2c
 
頭b肩c胸c
手c変化d
<心>
尻上がり
ツラ相撲
スロ-スタ-ト
強行
まった
上位× 
 
<技>
左堅い
右甘い
受身○
 

      
<体>
重心低い
肩幅広い
アゴ上がり
カタフン
腰痛

        

      
C11 D09
D09 D08
D09 D09
D09 D09

間合い

×
速攻 遅攻 猛攻 堅守 対応 パワー テク 闘志 沈着 安定 大勝 キラー
   
 21年に160キロに乗った体重は、22年にはさらに増えて172キロ。ムチムチの体でのがぶり寄りは迫力がある。とは言え成績を見ると停滞状態。3場所三役を務めたが大きな活躍はなく、横綱戦も場内を沸かすことはできなかった。初場所は関脇で迎えそうだが、大関候補へ再び名乗りを上げるためには、序盤で少しでも星を拾い二桁勝利を果たしたい。豊ノ島の活躍に刺激を受けるか。
 左四つ得意。元は左差し右おっつけの形を中心とした押し相撲だったが、ガブリ寄りを磨いてからは左でも右でも構わずに前へ出る馬力を見せた。体重も急激に増え、右から抱え込んで、左四つに引っ張り込む大きな相撲も取るようになった。相手の意表を突いて右差しから入るなどの作戦も見られたが、最近は立合いの左差しの精度が上がった。まわしを取れなくてもがぶり、がぶりながら腰が下りて密着、いい位置の上手に手が掛かるともう一段ギアが入る。

 がっちりした体形。重心も低く、四つの力士には相性が良い。何故か日馬富士や豊ノ島との対戦成績は圧倒的。白鵬はじめ、旭天鵬、時天空など懐の深い力士は苦手にしている。

「後半型」 長年の傾向。序盤はもたつくが、後半の持ち直しでいつの間にか好成績。その分目立たず三賞は通算3度と縁が薄く、2年以上見放されている。再入幕場所で後半8連勝で10勝してから、18年9月からの4場所は千秋楽まで7連勝、9連勝、4連勝、6連勝と場所の終りはいつも気持ち良い。22年も後半6連勝が2度。

 

  栃煌山  小結  春日野 高知  24    189/150
    前進・技能型  [モロ差し・右差し/ハズ・左おっつけ]      
D08 C10
モロ差寄り3b
右差し寄り2a
左おっつけ3b
ハズ押し 3a
のどわ  2c
右おっつけ2c
モロハズ 2d
上手投げ 2c
突き落とし2b
引き落とし2c
掬い投げ1d
モロ手突き1d
首投げ 2d
巻き替え 2d
突っ張り 1d
上手出投げ2c
跳ね上げ  3c
肩透かし 1d
<立合>
右差し     2b
左おっつけ3b
両差し    3d
右ハズ  2d
モロハズ 2d
右おっつけ2d
頭a肩c胸e
手d変化e
<心>
シンプル
大阪○
対押し○
対長身×
連敗癖
<技>
挟み付け
差し身○
 

      
<体>
上体硬い
前傾○
C10 C10
D09 E07
D09 D08
D09 D09

   

間合い

×
速攻 遅攻 猛攻 堅守 対応 パワー テク 闘志 沈着 安定 大勝 キラー
×    

 22年は期待の若手から大関候補へと進化を遂げた一年となった。負け越し知らずで入幕したホープ。21年には三役も経験したが、上位では力不足の印象があった。しかし昨年は悪くて7勝8敗と十分に通用する地力が示された。ハイライトは新関脇の9月場所。前場所2大関を破って9勝した勢いで、この場所は3大関撃破。連勝ストッパーとの期待には応えられなかったが11勝4敗。正攻法で前に出る取り口も力強く技能賞を獲得した。低迷する他の日本人力士を尻目に一躍大関への期待を抱かせた。九州では好調に滑りだしながら悪癖の連敗癖が出て泥沼の7連敗で負け越したが、三役は守った。苦い経験も経て新年に大関へ向けて再スタートを切る。

 あくまで真っ向から前へ攻める正攻法の相撲。決まり手の大半を寄り切り、押し出しが占め、叩き込みや引き落としがない希少な力士。投げも最近は使いだしたが、入幕まではほとんどなかった。型としては、右差し左おっつけを基本とするが、左はおっつけてから前ミツ、または覗かせて両差しで出る。幕内に入ってからは、体重でやや劣ることが多いためか両差し狙いが多かったが、やはり挟みつける相撲の方が力強さがある。正攻法に徹した効果か、150キロに乗った昨年後半からは目に見えて地力がついた。

 上背はあるが体重はそれほどなく、前傾姿勢で取る。馬力の向上と共に前にバッタリという場面もかなり減ってきた。入幕後、大阪では11勝3回と相性抜群。

「合口」 得意と苦手が比較的はっきりしている。押し相撲の相手には、四つでも取れて前傾で跳ね上げながら前に出るスタイルが効果的で強い。千代大海、岩木山、光龍にはあたりには相性が良い。逆に、懐が深い長身力士などには包み込まれてしまって苦戦。ただ、これも力をつけてきた昨年後半からは克服。旭天鵬や阿覧にも通用している。

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