現役力士データ
２０１２年（平成二四年）
魁皇が引退、代わって日本人大関が立て続けに誕生した。
上位陣は入幕時期が近く、最も力の出る年齢にある。抜け出すのは容易ではない。
| パラメータ
技リスト スキルリスト |
重（総合的な重さ）、力（総合的な力の強さ）、速（総合的なスピード）技（総合的な技能）、バ（身体バランスの良さ） 技リストは、数字がレベル（低１＜５高）英字が頻度（多a>e少）を表す。 |
| サブチャート | ■間合い：密 （密着した状態。がっぷり） 接 （廻しには手がかかるが、胸は合わせていない状態。食い下がり、半身など） 近 （体は接しているが廻しには掛からない距離。おっつけ、ハズなど前捌きの応酬が見られる） 離 （離れて突っ張りに適した距離。）、 遠 （遠距離。リーチを生かした突きがあれば一方的に攻められる間合） ■その他各パターン・傾向の得意不得意、傾向の強さ。☆＞◎＞○＞△＞× |
| 解説 | 現況（24年1月） / 得意技・パラメータなどの解説 /注目ポイント |
| 白 鵬 最高位:横綱 モンゴル出身 宮城野部屋 27歳 | |||||||||
| 取り口：本格型 | 型：右差し左上手 | 得意手：寄り、上手投げ | 192cm/150kg 長身中肉 | ||||||
| 重 | B13.0 | 寄 | A14.5 |
左上手投げ5a 左上手出投4c 右四つ寄り5a 小手投げ 4c はたき 2c モロ手突き2c モロ差寄り3c 上突っ張り2b 右腕返し 3c |
掛け投げ2c 引きつけ4b 張り手 3b 巻き替え 4c 掬い投げ3c 極め 2d 廻し切り 4c とったり 3c 吊り落とし2e |
＜立合＞ 張差し 3b 右カチ上げ3b モロ差し 2d モロ手突き2d 左前褌 2d 左上手 1e 頭d肩b胸c 手b変化e |
＜心＞ 安定感 勝負強い 挑発 尻上がり 投げ多用 まった 慎重 早熟型 |
＜技＞
前捌き まわりこみ 膝払い チョン立ち 受身○ 摺足○ 腰寄せ 外四つ |
＜体＞ 懐深い 足腰柔軟 体質柔軟 粘り腰○ 腰痛 左足首 左ひじ |
| 力 | B12.5 | 押 | C11.0 | ||||||
| 速 | C11.0 | 投 | A14.0 | ||||||
| 技 | B12.5 | 粘 | B13.5 | ||||||
| バ | A14.0 | ス | C10.5 | ||||||
|
間合い |
||||
| 密 | 接 | 近 | 離 | 遠 |
| ☆ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
| 速攻 | 遅攻 | 柔 | 剛 | 猛攻 | 堅守 | 型 | 対応 | パワー | テク | 闘志 | 沈着 | 安定 | 大勝 | キラー |
| ○ | ◎ | ☆ | ○ | ○ | ◎ | ☆ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ |
| ★略歴・近況 20.21年の年間86勝4敗を更新する夢は、春場所中止で早くも絶たれた。難局で動揺もあったか、それとも差が縮まったのか、名古屋では4敗するなど後半に星を落とすことが目立った。それでも前２年が異常な強さだっただけで、大横綱級の強さは健在。5月技量審査場所で朝青龍に並ぶ7連覇を記録、秋場所で節目の20回目の優勝を果たした。
★24年展望・続報 青年横綱も27歳。並の力士ならこれからが全盛期というところだが、若いころから第一線で活躍してきただけに、心身の疲労も心配される。早熟の大横綱、北の湖、貴乃花、朝青龍は意外に早くピークを過ぎた。今のところ脅かす程の勢力はないが、殻を破った琴奨菊、稀勢の里らをいかに振り切って黄金時代を継続できるか、注目したい。大鵬の優勝32回を更新するにはこれからが大事になる。 |
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★取り口解説 右四つ、右差し手を返しての寄り、切れ味鋭い強烈な左上手投げ。本格的な横綱相撲の型を築いている。巻き替え、相手の廻しを切る技術といった四つ相撲の細かなテクニックも磨かれていて、時間さえかければ無敵。得意な形を嫌われると焦れて張り手や叩きで呼び込むのが玉に瑕。
★パラメータ・スキル解説 守りの強さも武器。体重は平均的だが、懐が深く、土俵に吸い付くような足の運び、相手の圧力を吸収する柔らかい受身で重みは相当のもの。もちろん引き技に泳ぐこともほとんどなく、投げの打ち合いを制す足腰も磐石。腰痛など、体の痛みは必ず抱えているのが気がかりだが、影響は見せない。ベストの体重をコントロールできている管理能力の賜物か。 昨年は、そこまで？と思うほど、慎重な取り口が目についた。 |
| ★ピックアップ ■立合い 豊富な立合いのバリエーションを持つ横綱。基本的には立合いで相手を受け止めつつ得意の右四つに組む狙いで、右を固めて立つ。固めた右でカチ上げ気味にぶつけ、出足を止める。かましてくる相手には左からは張り手で牽制、出足を鈍らせ的をずらすことで容易に右差しを果たす。左四つ相手にもめったに差し負けないが、左の堅い豊ノ島や魁皇には突き放しで起こしてから攻めるオプションも見せる。右四つ相手なら左上手を先に引くため鋭く踏み込み、廻しにかかれば電車道に圧倒する出足も備える。 |
| 琴欧洲 最高位:大関 ブルガリア出身 佐渡ヶ嶽部屋 28歳 | |||||||||
| 取り口：正攻法型 | 型：右四ツ両まわし | 得意手：鋭い寄り、投げ | 203cm/160kg 超長身筋肉 | ||||||
| 重 | C10.5 | 寄 | C11.5 |
上手投げ 4a 前褌寄り 4c 右四つ寄り4a 小手投げ 2c 下手投げ 3c 吊り寄り 2c 右腕返し 3b 上突っ張り2b モロ差寄り3c |
はたき 2c 足取り 2c モロ手突き3c 巻き替え 2c 掬い投げ3c 引きつけ 4b かわず掛け1e 渡し込み 3c 小股 2e |
＜立合＞ 張差し 3b 右カチ上げ3b モロ差し 2d モロ手突き2d 左前褌 2d 左上手 1e 頭d肩b胸c 手b変化e |
＜心＞ スロ-スタ-ト 勝負弱い 取りこぼし 初顔× まった 投げ多用 早熟型 |
＜技＞
足踏み込み ヒザ払い 足跳ね上げ 被さり 外四つ○ 詰め× |
＜体＞ 懐深さ◎ 腰高 内股 バタ足 前掛り リーチ長 右膝爆弾 |
| 力 | B12.5 | 押 | D 9.5 | ||||||
| 速 | D 9.5 | 投 | B12.5 | ||||||
| 技 | D 9.0 | 粘 | D 8.5 | ||||||
| バ | E 7.5 | ス | C10.0 | ||||||
|
間合い |
||||
| 密 | 接 | 近 | 離 | 遠 |
| ◎ | ◎ | × | △ | ○ |
| 速攻 | 遅攻 | 柔 | 剛 | 猛攻 | 堅守 | 型 | 対応 | パワー | テク | 闘志 | 沈着 | 安定 | 大勝 | キラー |
| ○ | △ | × | ◎ | ○ | △ | ◎ | △ | ○ | △ | △ | △ | ○ |
| ★略歴・近況 未完の大器。23年は不振で２度の途中休場に追い込まれた。全日本選手権を制するなど地力に衰えはないはずだが、取りこぼしから乱調するケースが目立つ。21年7月の準優勝を最後に、10勝以下に留まっており綱取りの足がかりさえない状況。
★24年展望・続報 昇進からはや６年。最古参大関となったが、大関維持ではなく優勝争いに絡む活躍を期待したい。 |
| ★取り口解説 長身を生かした大きな相撲が魅力。上手を取るか、下手を深く差せば体が生きる。強烈に引き付けての一気の寄りと相手を裏返す豪快な投げ。リーチを生かした突き押しもあるが、バタバタすることが多く安定しない。立合いは試行錯誤していたが右肩から当たることが増えている。
★パラメータ・スキル解説 23年は２日目５戦全敗と、克服しつつあった序盤の取りこぼし癖が再発。苦手が多いのも難点。 |
| ★ピックアップ ■四ツ相撲 右四つで両上手を掴み、引きつけながら寄る形が理想。反対四ツでも、外四つであっても両廻しが引けていれば問題ない。しかし、片方でも取れていないと途端に安定感を欠き、逆転の投げを食いやすい。長い手足で回しに手をかけるのは難しくない。いかに相手の出足を止めながら組み止めるか、立合いの工夫が求められる。 |
| 日馬富士 最高位:大関 モンゴル出身 伊勢ヶ濱部屋 28歳 | |||||||||
| 取り口：スピード型 | 型：突き押し/右下手・前褌 | 得意手：喉輪押し、出投 | 185cm/125kg 軽量筋肉 | ||||||
| 重 | E 7.0 | 寄 | C10.0 |
前褌寄り 3a 右のどわ 4b 左上手投げ3b 右下手投げ3b モロ差寄り3c 突き放し 3b 上手出投げ3b 上突っ張り3b 張り手 3c |
小股掬い2c とったり 2b 外掛け 3c ひねり 2c 掛け投げ3d 足取り 2d 裾払い 1d 首投げ 2d 引っ掛け2d |
＜立合＞ ぶちかまし3b 右のどわ 4a 左前褌 2d 上手 2d 左おっつけ2c 張差し 2d 頭b肩d胸d 手b変化e |
＜心＞ 気迫 勝負強い ムラッ気 スロ-スタ-ト 連敗癖 対小兵○ 取りこぼし ダメ押し |
＜技＞
前捌き まわりこみ 手取り チョン立ち 大技 多彩 足癖 出足 |
＜体＞ 敏捷 前掛り 足腰柔軟 バッタリ 右膝爆弾 腰痛 |
| 力 | C10.5 | 押 | C11.0 | ||||||
| 速 | B12.5 | 投 | B12.0 | ||||||
| 技 | B12.5 | 粘 | B12.0 | ||||||
| バ | C10.0 | ス | C10.0 | ||||||
|
間合い |
||||
| 密 | 接 | 近 | 離 | 遠 |
| △ | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
| 速攻 | 遅攻 | 柔 | 剛 | 猛攻 | 堅守 | 型 | 対応 | パワー | テク | 闘志 | 沈着 | 安定 | 大勝 | キラー |
| ☆ | △ | ○ | ◎ | ◎ | △ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
| ★略歴・近況 21年5月の初優勝後は、右膝の不調もあってすっかり陰を潜めていた軽量大関。初の角番で迎えた23年初場所は8勝7敗とヒヤヒヤで、一時の勢いはもう期待できないかと思われた。しかし、5月には白鵬を破って自信回復。続く名古屋場所では出足、技が冴えて初日から勝ちっぱなし。８連覇を狙う１差の白鵬にも快勝し、14連勝で２度目の優勝を決めた。稀勢の里に敗れて全勝こそ逃したが、翌場所は綱取りと期待された。ところが復活劇は一瞬。２度目の挑戦は前半戦で早くも赤信号が灯った。九州でも早々と取りこぼして蚊帳の外。 ★24年展望・続報 まずは成績の安定が望まれる。小兵だけに格下でも大型の相手には一瞬のスキが命取りとなるのは仕方ないが、前半で星を落として脱落が多い。去年も白鵬に２勝するなど上位陣には互角以上に取るだけにもったいない。横綱へのチャンスはそうは巡ってこない。若手も力をつけ始めており、 |
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★取り口解説 左右どちらの四ツでも遜色ないが右差し十分、深く懐に入って前褌を取れば体格の不利もなくなり相手を翻弄する。出し投げで横に回って崩して小股を掬う、足癖を出す、足を払って下手投げ、などの技巧も観客を沸かせてくれる。自慢の出足を生かして突き放し、離れて勝負をつける相撲も効果的だが、前掛かりになりすぎて落ちるようになると調子を崩す危険信号。
★パラメータ・スキル解説 関脇から上がってくる力士には壁となる働きをするが、序盤で平幕に取りこぼすことが多い。好調時には心技体が見事に噛みあって白星を並べるが、リズムが狂うと立ち直るのに時間がかかる。 |
| ★ピックアップ ■立合い 低く突っ込んで右の喉輪左のおっつけで突き起こしていくのが得意の形。軽量ながらその威力は横綱をものけぞらせる。一歩当たり勝てば、そのまま突くなり、懐に飛び込むなり、攻め手が広がる。相手によっては、少し動いて前褌を狙ったり、張り差しを見せたりして四ツに持ち込む立合いも見せる。 |
| 把瑠都 最高位:大関 エストニア出身 尾上部屋 28歳 | |||||||||
| 取り口：スケール・怪力型 | 型：右四つ左上手/両廻し | 得意手：上手投げ、吊り | 198cm/185kg 巨人中肉 | ||||||
| 重 | B13.0 | 寄 | C10.5 |
上手投げ 4a 吊り 3b 吊り寄り 3b 突っ張り 2c モロ手突き3c はたき 3b 上手ひねり2c 左おっつけ2c 波離間投げ2d |
引きつけ 3a 小手投げ 2c 投げ寄り 2d うっちゃり 2e 引き落とし3c 上手透かし2d 上手出投げ1d 掬い投げ 2c 大逆手 2e |
＜立合＞ 張差し 2b モロ手突き2b モロ差し 2d 左おっつけ2c カチ上げ 2c 上手 2c 頭d肩d胸a 手b変化d |
＜心＞ 強引 連敗癖 息切れ スロ-スタ-ト |
＜技＞
上手相撲 ワキ甘い 肩越上手 外四つ○ 大技 引張り込み 呼び込み 対押し× |
＜体＞ 懐深い◎ リーチ○ 上体柔軟 ヒザ入り 引き足× 左膝爆弾 |
| 力 | A15.0 | 押 | C10.0 | ||||||
| 速 | D 8.0 | 投 | B12.5 | ||||||
| 技 | E 7.5 | 粘 | D 8.0 | ||||||
| バ | D 8.0 | ス | C10.0 | ||||||
|
間合い |
||||
| 密 | 接 | 近 | 離 | 遠 |
| ☆ | ○ | △ | △ | ○ |
| 速攻 | 遅攻 | 柔 | 剛 | 猛攻 | 堅守 | 型 | 対応 | パワー | テク | 闘志 | 沈着 | 安定 | 大勝 | キラー |
| △ | ◎ | △ | ◎ | ○ | △ | △ | ○ | ☆ | △ | △ | ○ | ○ | × |
| ★略歴・近況 圧倒的な成績を残して22年5月に大関となったが、以降12勝以上がなく優勝争いの期待に応えられていない。先輩大関と同様、関脇時代の活躍が嘘のように停滞に陥っている。終盤までは１，２差で追うが、一つ落とすとガタガタと崩れて10勝前後に落ち着いている。それでも地力は大関陣では一番高いことは疑いない。名古屋では久しぶりに天敵白鵬を破った。大関を狙う琴奨菊、稀勢の里の壁にもなった。
★24年展望・続報 まずは初優勝を狙いたい。１敗以内で食い下がり、白鵬との直接対決に持込みたいところだ。27歳になったばかりだが、驚異的なパワーと大きな体は加齢とともに負担にもなってくる。綱への道を急ぎたい。 |
| ★取り口解説 両廻しを引き付けて持ち上げるような寄りは重厚。すぐに捕まえられない時にも、慌てず思い突っ張りで起こしてから攻めるなど取り口の幅は広い。はりま投げや大逆手のように後ろへ振り捨てる大技もあり、軽々と持ち上げる吊りも魅力だ。落ち着いて長い相撲に持ち込めばめったに負けない。攻め急いで体を入れ替えられるようなポカを犯さないようにしたい。 ★パラメータ・スキル解説 身体能力が落ちたことはないが、大関取りの頃の緊張感がなくなって相撲が雑になった。かつ大人しくなっている。エンジンがかからず序盤の取りこぼしが目立ち、中盤盛り返して追い上げるものの、終盤大関戦であっけなく敗れて横綱に挑戦する前に脱落という展開が多い。 |
| ★ピックアップ ■相性 意外に上位を圧倒する力がない。横綱戦では、朝青龍には９戦勝てずじまい、白鵬にはまだ２勝だけ。大関魁皇、日馬富士、琴欧洲には負け越し。琴奨菊、鶴竜とは互角の対戦成績である。相手の持ち味を出させてしまっているとも言える。真っ向から来る稀勢の里、栃ノ心、栃煌山相手には抜群の相性。相手十分が把瑠都にとっても十分で、善戦されても最後は力勝ちという大関相撲を見せる。 |
| 琴奨菊 最高位:大関 福岡出身 佐渡ヶ嶽部屋 28歳 | |||||||||
| 取り口：疾風型 | 型：左四ツ右上手 | 得意手：怒涛の寄り | 179cm/170kg 重量肉厚 | ||||||
| 重 | B12.5 | 寄 | B13.0 |
がぶり寄り5b 右おっつけ3c 右上手投げ3c 右小手投げ3b 左腕返し 2b 突っ張り 2b ハズ押し 2b 掬い投げ 2d 突き落とし 3c |
引きつけ 3a モロ差寄り2d 巻き替え 1d 肩透かし 2d 極め 3c 波離間投げ1e 廻し切り 2c のどわ 2c はたき 2d |
＜立合＞ 左差し 3a 右おっつけ2b 右抱え込み3c 体当たり 2b 張差し 1d 左前褌 2e 頭c肩a胸c 手e変化e |
＜心＞ 安定感 勝負弱い 尻上がり ツラ相撲 |
＜技＞
右ワキ甘い 左堅い 受身○ 引張り込み 出足 対左四つ○ |
＜体＞ 重心低い 肩幅広い カタフン バッタリ |
| 力 | C11.5 | 押 | D 9.5 | ||||||
| 速 | D 9.0 | 投 | C10.0 | ||||||
| 技 | D 9.0 | 粘 | C10.5 | ||||||
| バ | C10.0 | ス | C10.0 | ||||||
|
間合い |
||||
| 密 | 接 | 近 | 離 | 遠 |
| ☆ | ◎ | ○ | △ | × |
| 速攻 | 遅攻 | 柔 | 剛 | 猛攻 | 堅守 | 型 | 対応 | パワー | テク | 闘志 | 沈着 | 安定 | 大勝 | キラー |
| ○ | ○ | △ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | △ | ◎ | △ | △ | ○ | ◎ |
| ★略歴・近況 19年の新三役以来、一進一退を繰り返しながら少しずつ蓄えてきた地力が遂に開花。初場所関脇に復帰し初めて三役で二桁11勝を記録。春場所中止で水を差されたが、5月は千秋楽に把瑠都を下して何とか連続二桁。大関取りが期待された名古屋では、場所中同郷の大関魁皇が引退。日本人大関消滅の危機に現れた救世主と期待され、白鵬を２年ぶりに倒して昇進ムードが高まったものの、平幕相手に連敗して自滅。千載一遇のチャンスを逃したが、挫けずに秋場所再挑戦。13日目白鵬に連勝して２敗で並ぶと、14日目日馬富士を破って３場所33勝となる12勝目。千秋楽こそ把瑠都の前に屈して５年ぶり日本人Vの夢は潰えたが、大関へ推挙された。
★24年展望・続報 ご当所での新大関場所では連日の大声援を受けて史上5人目の新大関９連勝。そこから４連敗したものの、最後は稀勢の里を圧倒、「先輩大関」の力を見せつけて11勝と上々のスタートを切った。1年通じて２ケタを記録したのは横綱と二人だけ。堂々の年間最多勝第２位である。24年は12勝の壁を打ち破り、日本人優勝で頂点を窺ってもらいたい。 |
| ★取り口解説 左を差し、右おっつけからがぶり寄りで前へ出る。圧力をかけながら上手に手をかけてさらに寄るという形を持っている。元々は出足、右おっつけの強さを生かした押し相撲を得意にしていたが、がぶり寄りを磨いて大成。左差しを徹底することでワキの甘さも目立たなくなった。重心の低い臼のような体形で、四ツに組めば自然と有利になるため、左相四ツの相手にはめっぽう強い。日馬富士など軽量力士は引っ張り込んで馬力で圧倒するような相撲も見せる。左さえ差しておけば腰の重さが生きる。逆転の右突き落とし、小手投げも見せる。白鵬を棒立ちにした左前褌狙いの立合いなど、四ツにこだわらずに取れる。 ★パラメータ・スキル解説 腰の重さが自信を生んだ。食い込むほど硬く締めこんだ廻しで相手に廻しを許さない。ただ、連勝連敗の激しさやここ一番での勝負弱さは課題でメンタルトレーニングに励んでいる。スロースターターだったが、序盤で上位に当たらない地位に就くとその傾向は薄くなった。内容は良くなくても取りこぼさない実力を見につけて尻上がりに調子を上げている。 |
| ★注目ポイント ■佐渡ヶ嶽４人目の大関 初代の琴錦が興した佐渡ヶ嶽部屋は３代目。横綱になった先代の弟子からは、琴風（入門時から内弟子）、琴欧洲、琴光喜と大関が誕生したのに続き４人目。 ■ルーティンワーク メンタルを鍛える過程で、平常心を保つ努力を重ねている。時間一杯の塩撒きで大きく反り返るポーズもその一つ。 |
| 稀勢の里 最高位:大関 茨城出身 鳴戸部屋 26歳 | |||||||||
| 取り口：前進・疾風型 | 型：左差し右上手・突押 | 得意手：突き,押し,寄り | 188cm/170kg 大型中肉 | ||||||
| 重 | B12.0 | 寄 | C11.5 |
左おっつけ3b 左四つ寄り4a 右おっつけ3a 右上手投げ2c がぶり寄り3c 左腕返し 3b 上突っ張り 2c ハズ押し 3b 右のどわ 3b |
右のどわ 3b 突き落とし4c 突き付け 2c モロ手突き2b モロハズ 2b 首捻り 2d まわし切り3c 引きつけ 3b 渡し込み 2d |
＜立合＞ ぶちかまし3c 左差し 2b 体当たり3c 張差し 2c おっつけ3b 右突放し3c 頭c肩a胸c 手c変化e |
＜心＞ 気迫 ライバル意識 突っかけ 土俵際 ツラ相撲 早熟型 |
＜技＞
ワキ甘い 出足 挟みつけ 波状攻撃 |
＜体＞ 腰高 足腰柔軟 ケガ○ |
| 力 | B13.0 | 押 | B12.0 | ||||||
| 速 | D 8.5 | 投 | D 8.0 | ||||||
| 技 | D 8.5 | 粘 | D 8.5 | ||||||
| バ | D 9.0 | ス | C11.0 | ||||||
|
間合い |
||||
| 密 | 接 | 近 | 離 | 遠 |
| △ | ◎ | ◎ | ○ | △ |
| 速攻 | 遅攻 | 柔 | 剛 | 猛攻 | 堅守 | 型 | 対応 | パワー | テク | 闘志 | 沈着 | 安定 | 大勝 | キラー |
| ◎ | × | △ | ○ | ◎ | △ | ○ | △ | ◎ | × | ☆ | × | ○ | ○ |
| ★略歴・近況 新三役から足掛け６年にわたる停滞を抜け出し、期待の大器が遂に次のステップへ。大関取りの場所前、鳴戸部屋は週刊誌で暴行等が報道されて大騒ぎ。さらに渦中の師匠が急死するというショックからわずか１週間で初日を迎えた。素晴らしいスタートを切ったものの、５日目に土。そこから相撲内容が乱れて後半戦は大苦戦。上位戦は琴欧洲を土俵際でかわした１勝のみに終わり、10勝5敗という物足りない成績に終わったが、初の技能賞を受賞した内容、ここ1年の成績も加味されて昇進が実現した。22年九州に白鵬の63連勝をストップさせてから１年。白鵬とは互角に戦い、５場所中二桁４回と関脇としての実績は十分。３場所32勝とは言え、大関陣よりも期待できる存在であることは確かだった。
★24年展望・続報 ようやく二桁が続くようになったばかりだが、着実に安定感は身についてきた。無理に攻め急がずに押し出す余裕が見える。大勝ちできる力士だけに、優勝争いが期待される。もちろん白鵬への闘志は燃やし続けてキラーぶりを発揮して欲しい。名実ともに黄金カードとなる日は近い。 |
| ★取り口解説 左右のおっつけから前へ出ながら左四つ右上手の形を作るのが万全。大きな体を密着させて両まわし引き付けての寄りに迫力。強烈な左のおっつけ右のどわで押して出て行く突き押しの勢いが出世の原動力だったが、幕内では左四つの相撲を磨いた。組んで良し離れて良しのふてぶてしい姿は北の湖を彷彿とさせる。左四つながら左のおっつけが強いため、モロ差しを許すリスクも孕むが、差されても重い体で残し、得意の突き落としを見せながら体勢を立て直すだけの守りの力もつけてきた。果敢な攻めだけではなく、細かく胸元を突っ張って出る余裕のある攻めも増えている。 ★パラメータ・スキル解説 故障に強く休場無しの頼もしいタフネス。体型的に腰も高くなりがち。連勝連敗の多さは克服されつつあるが、好調が急にストップする怖さはある。攻めに余裕が出てきて、以前のように詰めを誤って逆転されるシーンはめったに見られなくなった。 |
| ★注目ポイント ■微妙だった大関昇進 「WEBさじき」などで論じたが、やや甘いと言われた昇進。しかしそれは大関としての不安を示すものではない。過去にも３場所30勝程度で昇進した名横綱、名大関も存在する。元々毎場所好成績を続けるタイプではないだけに、３場所連続二桁を記録したこの段階で上げたのは好判断かもしれない。地位が人を作るということもある。三役で星勘定させて小さくまとまるより、相撲内容を重視して取る必要のある大関で堂々と取らせるほうが大器を伸ばすには良い環境だ。期待に応えてもう一つ上を目指して欲しい。 |