現役力士データ　29年②三役

九州で大関挑戦した髙安を一番手に。新関脇が続々誕生も、定着せず。

基本データ	四股名等の基本的なデータ年齢はその年の誕生日後のもの。取り口：相撲の取り方を独自の分類で表記（⇒相撲解体新書のページ参照）型　　：得意とする形　　得意技：公式のものに近い表記で体格　：身長は1cm刻み、体重は5kg刻みで掲載前後の平均的なもの。体格分類は「解体新書」参照
パラメータ持ち技リスト特性	パラメータ　15～１（0.5刻み）で表示。（上位項目はランクを併記。今年から基準変更）　S(15-14.5)A(14-13)B(12.5-11)C(10.5-9.5)D(9-8)E(7.5-6.5)F(6-4.5)G(4-) 体格：スケール感、重量感、懐の深さなど体格面の総合値力　：馬力、腕力、相撲力、小力などパワーに関する総合値足腰：バランス、踏ん張り、柔軟性など総合的な下半身の強さ速　：スプリント力、アジリティ、レスポンスなどスピードに関する総合値技　：相撲勘、前捌きの良さ、技の鋭さ、タイミングなど技能に関する総合値離　：突き、押し、引き技など離れて取った場合の総合的技量組　：寄り、投げ、その他組み合って取った場合の総合的技量それぞれに下位項目を設けているが、それ以外の要素も加味して計上している。吊り、極め、掛け(足技のみ)、足取り、反りは、最も代表的なものをピックアップ。持ち技リストは、数字がレベル（低１＜７高）、英字が頻度（多a>e少）を表す。決め技、崩し技は便宜上分けているが、それほど厳密に分類しているわけではない。（技名の前に左右がついていない場合は、どちらもある、または特に差がない場合。）特性は、心：精神面・癖、ジンクス、その他の特徴など　　　　　技：技量面、技リストで表しづらいテクニックなど　　　　　　体：体格・体力面、ケガなど詳細は、＜データ解説ver2.0＞を参照
サブチャート	■傾向　　●が指向の強さを表す。　（持ち味は剛か柔か、型を徹底するか多彩な取り口か、速攻かじっくり理詰めか、　気性・取り口は動か静か、四つに徹すか突き・押しに徹すか、四つは左・右どちらを狙うか） ■Ｖ争いの展開（上位陣のみ）/活躍の傾向は、得意・傾向が強い順に、「 ○、△、×、無印」で示す。 ■間合い:密（密着した状態。がっぷり胸を合わせた状態）接（廻しには手がかかるが、胸は合わせていない状態。向付、半身など）　　　　　　近（体は接しているが廻しには掛からない距離。押し合い、前さばきの応酬）　　　　　　離（体が離れ、突っ張りに適した距離）　　　　　　遠（遠距離。前掛かりに腕を伸ばして届く距離）　　　　　得意とする順に、☆＞◎＞○＞△＞×で示す。 ■総合値：パラメータの平均値。矢印は前年との比較（0.1以内の増減は「→」）
解説	略歴・前年評価・当年期待(29年1月時点)　/　取り口・パラメータとスキルに関するコメント

髙　安　最高位:関脇　茨城出身　田子ノ浦部屋　27歳
取り口：堅牢・パワー型				型：突張り/左差し右上手		得意手：突張り、寄り		187cm/170kg 大型中肉
体格	B11.5	懐	10.5	＜決め技＞上突っ張り4a 左四ツ寄り4b はたき　　4b モロ手突き3b 上手投げ　3c ひねり　　4b 上手出投げ2c 掬い投げ 2c 下手投げ3c 突き落とし5b	＜崩し技＞廻し切り 4c 巻き替え 3c 張り手　 3c 小股掬い2d 左腕返し　2d おっつけ　 3b ハズ押し 2c のどわ　 2c 外掛け　 1d 首投げ　2d	＜立合＞体当たり 5c ぶちかまし3b 左差し　　2c モロ手突き3c 右のどわ　2c 張差し　　3d 右上手　1d 突き落とし1e 頭b肩b胸e 手c変化e	＜心＞上位キラ- 引き癖強引ツラ相撲気迫詰め× 早熟型	＜技＞ワキ甘い土俵際逆四つ○ 二の矢	＜体＞腰高膝入り左足首吸収
		重	12.5
力	B12.0	馬力	12.0
		怪力	11.5
足腰	D 8.0	安定	8.0
		粘り	8.5
速	D 8.0	出足	9.0
		敏捷	7.5
技	D 8.5	技巧	8.5
		キレ	9.0
離	C10.5	突	10.5
		押	10.0
		引	10.5
組	C10.0	寄	10.5
		投	8.5
		捻	9.5

★略歴　　15歳で入門。22年11月、平成生まれ初の関取昇進を果たすと、勢い止まらず3場所で突破して新入幕。メキメキと力をつけ、25、26年とも金星２、三賞２の実績を残す。たびたび故障に見舞われて番付の昇降が激しかったが、20代も後半を迎えて安定感を増した。大関に挑む。

★前年　　27年は故障がちで低迷したが、28年名古屋で三役に復帰し11勝。秋は新関脇で2横綱を破り、10勝。優勝争いを期待されたが最後格下に3連敗。三役での連続二桁で大関取りが期待されたが、秋の尻すぼみの不安が的中。九州は序盤から崩れて見せ場なく負け越した。

★当年　　初の大関挑戦は失敗に終わったが、急激に相撲ぶりも変わり覚醒しつつある。もちろん大関が今年の目標となる。

★取り口　　顎のあたりを狙った突っ張り、はたき、突き落としが武器の力感ある突押相撲が武器。左四つの寄りもあり、右四つでも腰が重く、上手下手の投げに加えて強烈な捻りもある。相手を見る余裕も出てきた。決して消極的な相撲ではないが、土俵際の逆転技でも上位を苦しめる。立ち合いのカチ上げ気味の体当たりの威力が増して、白鵬をも圧倒。

★パラメータ・スキル　　8.7→9.8。三役での活躍を評価、足の故障が良くなったこともあり、前年より大幅にスケールアップした。重さが守りにも発揮され、安定感が増した。ワキの甘さなど技能面が課題とされたが、年々改善され、むしろ下手を切るなど四つでの技能が目立った。劣勢でも我慢して相手の廻しを切ってからの反撃も見せる。照ノ富士に両差しを許しながら守り切って逆転した相撲などは圧巻だった。意外と身体も柔らかく攻めづらいようだ。

栃煌山最高位:関脇　高知出身　春日野部屋　30歳
取り口：前進・技能型				型：モロ差/左押付右筈		得意手：寄り、押し		188cm/150kg 長身筋肉
体格	C 9.5	懐	9.0	＜決め技＞モロ差寄り4b 右差し寄り3a 掬い投げ2d 肩透かし　3c 上手出投げ3c 上手投げ　2d 突き落とし2b モロ手突き2d 引き落とし2d はたき　　2c	＜崩し技＞ハズ押し　4a 左おっつけ4b 右おっつけ3c 首投げ　1e 巻き替え　2d 腕返し　　3b 跳ね上げ 3c のどわ　　3c モロハズ　2c ひねり　　1e	＜立合＞右差し 3b 左おっつけ3b 両差し　 3c 右ハズ　　2d モロハズ　2d 右おっつけ2d 　頭a肩c胸e 手d変化e	＜心＞シンプル大阪○ 対長身× ツラ相撲速攻	＜技＞挟みつけ差し身掬い差し突進	＜体＞前傾○ 体質硬い反り身× 右足首右ひざ右肩脱臼
		重	9.5
力	C10.0	馬力	10.5
		怪力	9.5
足腰	E 6.5	安定	6.0
		粘り	7.0
速	C 9.5	出足	11.0
		敏捷	8.5
技	C10.5	技巧	11.0
		キレ	9.0
離	B11.0	突	9.5
		押	11.5
		引	9.5
組	C 9.5	寄	11.0
		投	7.0
		捻	6.0

★略歴　　高校相撲で覇を競った豪栄道と同期入門。先んじて関取、入幕を果たして19年春敢闘賞デビュー。上位の壁に苦しんだが22年から通用し始め9月には新関脇で11勝。一気に抜け出す期待もあったが、連敗癖が祟って大負けすることも多く、大関レースでは遅れをとった。24年5月は上位総崩れの中12勝したが、平幕同士の決定戦で旭天鵬に敗れた。25年以降はほぼ三役に定着し、何度となく二桁勝利も挙げているが、好成績は続かず大関候補のまま。

★前年　【大関後退】28年も横綱大関を倒す実力は健在だったが、ついに三役で勝ち越すことなく、悲願の大関取りからは後退した感がある。

★当年　【復活期待】30歳になる。ライバル豪栄道は優勝を果たした。停滞を脱し、再び三役で活躍して存在感を示したい。

★取り口解説　　おっつけ、ハズで押すか、差して寄る速攻相撲。挟みつけるようなおっつけで出る力と、二本のぞかせて出る巧さを持ち合わす。派手さはないが質実剛健な相撲ぶり。押し込んだ相手をさっと引き落とす相撲も見せるようになった、

★パラメータ・スキル　　（10.0→9.5）力強さと差し身の上手さ、出足を兼ね備える。長身ながら前傾姿勢で取り、速攻を決める。一方で、胸が合うと体格の割に懐の深さや腰の重さを発揮する場面は少ない。足腰の柔軟さに欠けるのか、脆くも転ぶことが目立つ。故障が慢性化してきて馬力は少し衰えた感はあるが、相手を捌く技能は年々円熟味を増している。

栃ノ心最高位:関脇　グルジア出身　春日野部屋　29歳
取り口：本格型				型：右四つ左上手		得意手：寄り,投げ,吊り		191cm/170kg 長身筋肉
体格	B12.0	懐	12.5	＜決め技＞左前褌寄り4b 右四つ寄り4b 吊り　　　 3c 左上手投げ4b はたき　　2b 右下手投げ3c 掬い投げ　2c うっちゃり 2c モロ手突き2d 小手投げ　2d	＜崩し技＞上突っ張り3a 引き付け 4b 横吊り　 2c 蹴返し　 1d ナタ　　　2d 張り手　　2c 吊り落とし1e 極め　　 3c 内無双　2e 渡し込み　2d	＜立合＞右差し　3b カチ上げ3c 左上手　3c 左前ミツ2d 張差し 2c はたき　1e	＜心＞対横綱× 連敗癖	＜技＞対押し× 体入替え向う付け外四つ	＜体＞リーチ長懐深い両上腕左ひじ右ひざ
		重	10.5
力	C10.5	馬力	10.0
		怪力	11.0
足腰	D 8.0	安定	8.5
		粘り	7.5
速	E 7.5	出足	7.5
		敏捷	7.0
技	E 7.5	技巧	7.0
		キレ	7.5
離	E 7.5	突	7.5
		押	7.5
		引	6.5
組	C10.5	寄	11.0
		投	9.0
		吊	9.0

★略歴・近況　　21年後半から幕内上位に定着。敢闘賞3回、4場所小結を務めたが、伸び悩んでいた25年名古屋、膝に重傷を負う。長期にわたる休場を余儀なくされ幕下55枚目まで番付を下げた。ようやく26年春に復帰すると、幕下、十両を4場所連続優勝。再入幕場所でも敢闘賞の活躍、劇的な復活を果たし、その後新関脇に昇進した。

★前年　【関脇昇進】夏は平幕で上位との対戦も少ない10勝ながら、寄り、吊りが評価されて技能賞を獲得。翌場所新関脇となったが、全体に前年より低調だった。27年秋は初の三役勝ち越しを二桁勝利で飾り、一気に大関も狙いたいところだったが、三役での勝ち越しもならず。苦手だった稀勢の里は攻略したが、白鵬にはいまだ勝てず。

★当年　【晩成期待】九州で二桁勝って、三役復帰が濃厚。実力にあまり変化はないが、上位陣は年齢的にも後退気味。取り口に強さ、うまさが増せば、浮上の可能性もある。

★取り口　　長身で懐が深く、胸を合わせると強い。ただし前褌を取って頭をつける寄りもあり、こちらの方が形は良い。外四つでも取れる力はあるが、けがを契機に強引な相撲は避け、投げが減って真っ向寄る相撲に。

★パラメータ・スキル　　(9.0→9.1)過去に腕の筋肉をやったとはいえ腕力は強い。大きな身体を支える膝の故障は不安だが、あまり無茶な残し方をするたぷではないので、再発の不安は大きくない。一昨年とは対照的に、小結で負越して据え置き、4枚目10勝で新関脇と、番付運は向いてきた。

隠岐の海最高位:関脇　島根出身　八角部屋　31歳
取り口：堅牢型				型：左四つ右上手		得意手：寄り,投げ		190cm/160kg 長身中肉
体格	B12.0	懐	12.5	＜決め技＞左四つ寄り5b 右四つ寄り3c 上手投げ　4b 小手投げ　3b 下手投げ　2c 掬い投げ　3c モロ手突き2d 上手出投げ2c 突き落とし4c 首投げ　2d	＜崩し技＞巻き替え 3b 閂　　　 3c おっつけ 2c はねあげ 3c 投げ寄り 3c 極め　　4c ひねり　2d 逆とったり2e 小手捻り2e 左腕返し3b	＜立合＞右カチ上げ3b 右差し　 3b 左差し 3c モロ差し3c モロ手突き1d 左おっつけ2d 右抱え込み1d 頭d肩b胸b 手d変化e	＜心＞土俵際投げ多用詰め× 息切れエレベ-タ晩成型	＜技＞上手相撲なまくら四ツ引張り込み体入替え	＜体＞懐深い左肩右足指
		重	11.0
力	C10.5	馬力	9.0
		怪力	10.5
足腰	D 8.5	安定	7.0
		粘り	9.5
速	E 7.5	出足	7.5
		敏捷	7.5
技	D 9.0	技巧	9.0
		キレ	9.0
離	E 7.0	突	6.5
		押	6.5
		引	9.0
組	C10.5	寄	11.0
		投	10.0
		極	9.5

★略歴　　19歳で入門。恵まれた体で早くから期待され、4年で関取に。22年3月で新入幕、23年1月は11勝で敢闘賞。翌場所も3大関を破るなど活躍して上位に定着する。25年3月に2度目の敢闘賞を得て新小結。27年には新関脇にも昇進と着実に力をつけている。28年9月には初の殊勲賞も受賞、上位にも真っ向勝負で勝てるだけの地力を備えてきた遅咲きの力士。

★前年　【上位連破】三役は2場所だったが、存分に見せ場を作った。春は綱取り琴奨菊に土をつけ、名古屋は日馬富士から金星。圧巻は秋場所で、初日から2横綱2大関を４連破するタイ記録。7日目に豪栄道との全勝対決には敗れたが、上位戦をいち早く終えて1敗で折り返し、優勝争いも期待された。後半取りこぼして二桁にも届かなかったが、3年ぶりに三賞を獲得した。失速の原因は痔とかで、翌場所も響いて本領発揮できず。

★当年　【安定飛行】左四つに自信を深め、土俵際の逆転もある上位キラーぶりを印象付けた。ムラをなくして、まずは三役で勝ち越したい。30歳を超えたが、未完の大器では終わりたくない。

★取り口　　長身を利した四つ相撲で、胸を合わせれば左右どちらでも遜色ない。なまくら四つとも言われたが、近年左四つの進化が光る。腕も左がよく返る。上手を取れば盤石だが、取れなくても極める力があり残せる。巻き替えもうまくなった。右肩で当たってからの左差し、もろ手を出してから差す動きなど、立合いに工夫が見える。

★パラメータ・スキル　　（8.7→9.3）スケールの大きな四つ相撲で、腰も重い。このところ両差し、巻き替えなど差し身にも成長が見られ、寄りにも磨きがかかっている。初場所でも10日目に勝ち越しながら下位相手に崩れ、秋は横綱大関を圧倒しながら後半5連敗。このあたりが課題だ。守りの強さを生かした逆転技が良く決まっている。珍手逆とったりは、1場所で2度も決めた。

嘉　風最高位:関脇　大分出身　尾車部屋　35歳
取り口：突貫・撹乱型				型：突っ張り、左差し		得意手：上突張,引き		175cm/145kg 小兵中肉
体格	F 6.0	懐	5.5	＜決め技＞上突っ張り5a モロ差寄り4c モロハズ　3c 掬い投げ 3c 引き落とし5b 肩透かし 4b 左下手投げ3c 上手出投げ3c 下手出投げ1d うっちゃり　2e	＜崩し技＞張り手　　4b ハズ押し　4b モロ手突き3c はたき　5b ぶちかまし3b いなし　　3b 小股　　　2d 切り返し　2d 吊り　　　3d 素首落とし1d	＜立合＞ぶちかまし4a モロ手突き2d モロ差し　2d 左固め　 3c いなし　　3d 張差し　 3d もぐり　　3e 　頭b肩c胸e 手b変化d	＜心＞気迫ご当所○ 仕切り速い尻上がり７・７速攻超晩成型	＜技＞まわりこみ回転○ 差し身もぐり変化技○ 引き足○ ずらし上下動	＜体＞重心低い足腰柔軟粘り腰
		重	6.5
力	D 8.0	馬力	9.0
		怪力	7.0
足腰	D 9.0	安定	8.5
		粘り	9.5
速	B12.5	出足	12.5
		敏捷	12.5
技	C10.5	技巧	10.0
		キレ	12.0
離	C10.5	突	8.5
		押	11.0
		引	11.0
組	E 7.5	寄	7.5
		投	8.5
		取	8.5

★略歴　　大学でタイトル経験がありながら前相撲からスタート。一気に入幕するが、幕内では体力負けして、たまに下位で大勝するくらいで、番付は安定しなかった。24年半ばからはしばらく上位から姿を消していたが、26年は3度目の敢闘賞を手土産に新三役昇進。最年長初金星も記録するなど、30歳を過ぎてから上位に通用する力をつけ始め、激しい相撲で沸かせる後半戦に欠かせない存在となった。

★前年　【上位定着】新関脇で迎えた初場所でも勝ち越し。その後は善戦するもあと一歩勝ちきれない相撲が続いて平幕に落ちたが、名古屋では優勝した日馬富士を春場所に続いて破っての10勝で2度目の殊勲賞。初めて年間通じ上位と当たる位置を維持したが、27年後半のような見せ場は作れなかった。

★当年　【上位維持】上位での場所が続き、34歳には肉体的にもきつくなってくるが、気迫の相撲で三役復帰を狙う。

★取り口解説　　激しい突っ張り、速攻を得意とする。立合いは頭で当たるが微妙に角度をつけており、脇を固めた方の肩で弾き上げつつ先手を取る。目にも止まらぬ速さで、先手先手で動く。引き技も絶妙の間、流れで足を取ることも。中に入って両差しになると、吊り気味の寄りを見せるあたり、部屋付の元琴錦・中村親方とも近い。張って潜ってという動きが特徴的だったが、攪乱しなくても一気に攻めるだけの馬力がついた。胸を合わせると苦しいので、差しても止まらず動き続ける。

★パラメータ・スキル　(9.5→9.1)小兵だが体重も150キロ近くなり、上位陣をも真っ向押し込むほどの圧力。中に入っての寄りにも威力が出てきた。胸が合うと厳しいが、かつてほどパワータイプの大型力士を苦にしなくなった。低さゆえに再三張られて目の周辺を傷め、よく青タンを作っているのが痛々しいが、恐れず向かっていく。

宝富士最高位:関脇　青森出身　伊勢ケ濱部屋　30歳
取り口：堅牢型				型：左差し右上手		得意手：寄り、押し		186cm/165kg 中型中肉
体格	C10.5	懐	10.0	＜決め技＞左四ツ寄り5a モロ差寄り3b 突き落とし4c 左下手投げ3c 上手出投げ3c 右小手投げ3c 引き落とし3c 右上手投げ2c 左掬い投げ3c 右四つ寄り1d	＜崩し技＞左前褌寄り2c 左腕返し 3b 右おっつけ3c いなし　　3c 巻き替え 2d しぼり　　3c モロ手突き2d 極め 2d 左おっつけ2d 左突きつけ2d	＜立合＞体当たり 3b 左固め　 3b 右おっつけ2b 左差し　　2c モロ差し　1c あてがい 2c 右抱え込み2d はたき　1e 頭c肩c胸a 手d変化e	＜心＞晩成型ツラ相撲慎重スロ-スタ-ト	＜技＞左半身前捌き土俵際右甘い	＜体＞額大きい体質硬い重い腰立ち腰右足首
		重	11.0
力	C10.5	馬力	9.5
		怪力	11.0
足腰	E 7.5	安定	7.0
		粘り	8.5
速	E 7.0	出足	7.0
		敏捷	7.5
技	E 6.5	技巧	7.5
		キレ	8.0
離	E 7.5	突	7.5
		押	7.5
		引	8.5
組	C10.5	寄	10.5
		投	9.0
		極	9.5

★略歴　　五所川原商高から近大、師匠同様の伊勢ケ濱部屋らしい経歴で入門。稀勢の里、豪栄道らと同学年だ。順調な出世ぶりで１年半で十両、４場所で突破し23年名古屋で新入幕を果たした。３たび陥落するなど幕内定着には苦労したが、25年春に11勝を挙げたあたりから力を発揮。26年後半は大関にも通用しはじめ、上位に定着。三役にもたびたび名を連ねるようになった。

★前年　【白鵬阻止】28年も上位を守った。初場所は上位相手に4連敗のスタートから立て直し、相手の反則で勝ち越し。三役復帰を決めた。春は初日に白鵬を堂々寄り切り、名古屋でも窮余の小手投げでが決まって金星を挙げたが、この２つの黒星を挟んで白鵬は33連勝していた。名古屋では2大関も破り10勝で、敢闘賞を受賞。この活躍で翌秋場所は新関脇となったが、４勝に終わった。

★当年　【三役定着】上位で実績を積み、実力者の評価を得た。やや好不調の波が大きくなっているが、27年前半ごろの安定感を取り戻して三役定着を期待したい。師匠譲りの赤紫の締め込みも板についてきたが、三役から陥落した九州では紺に戻し、初心に帰って5枚目で9勝、初場所で三役復帰を狙う。

★取り口　　胸を出して左を固めつつ当たって圧力をかけ、左四つに組むと力を発揮。左下手は欲しいが、右の上手を取ってがっぷりに持ち込むよりも、右からはおっつけたり、下がりながらの突き落とし、小手投げと自由に使う方が流れがある。ワキが堅いわけではないが、右が入っても寄り切れるだけの地力を身に着けてきた。右四つの力士との差し手争いが見どころ。

★パラメータ・スキル　(8.8→8.8)左を差すと腰の重さが発揮される。やや左半身になりやすく、下手からの投げやかいなの返しから攻めることが多い。やや腰が立っているように見えるが、起きても取れるだけの重さがあり、我慢できる。変化はめったにないが、関脇昇進のかかった名古屋の千秋楽ではつい繰り出した。上位戦で負けが込んでも終盤には星を戻してくるイメージだったが、最近は立て直せず大きく負け越すことも。

魁　聖　最高位:関脇　ブラジル出身　友綱部屋　30歳
取り口：本格型				型：右四つ左上手		得意手：寄り、突押		194cm/185kg 大型中肉
体格	B12.5	懐	12.5	＜決め技＞右四ツ寄り4a 突っ張り 3b モロ手突き3c 右腕返し 2c 左上手投げ3c 右上手投げ2d 右掬い投げ2d 小手投げ　1d はたき　　1d 首投げ　1d	＜崩し技＞右突き放し3c 左おっつけ2a 巻き替え　1c 引きつけ　2b 極め　　　2c ハズ押し　2c モロハズ　2d 後ろもたれ1e	＜立合＞体当たり　4b モロ手突き2b あてがい　2c 右カチ上げ2c 右突き放し2c はたき　　1e 　頭b肩c胸c 手c変化e	＜心＞ツラ相撲詰め× 息切れ対上位× 帳尻	＜技＞がっぷり○ ワキ甘い引張り込み被さり外四つ○	＜体＞腰高懐深いアゴ上りバッタリ腰爆弾
		重	13.0
力	B11.0	馬力	11.0
		怪力	11.0
足腰	F 6.0	安定	5.5
		粘り	6.5
速	F 6.0	出足	6.0
		敏捷	5.5
技	E 6.5	技巧	6.0
		キレ	6.5
離	D 8.0	突	8.5
		押	7.5
		引	6.5
組	C10.0	寄	10.5
		投	7.5
		極	8.0

★略歴・近況　　ブラジル人力士。18年に19歳で入門、4年で十両に。23年春場所中止で幕内デビューは技量審査場所に持ち越されたが、いきなり9連勝の快進撃で敢闘賞を獲得。当初は大勝ちして大器ぶりを見せるが急に負け越しが続くことがあり、十両に落ちたりもした。その後安定してきたものの、前頭５，６枚目以内を保ちながら上位では勝ち越せない状況がつづいたが、28年に新三役。勝ち越して関脇にも昇進した。

★前年　【半年三役】横綱大関にめっぽう弱く、5枚目以内での勝ち越しがないのが悲願の三役に向けての課題だったが、春場所７枚目で11勝。うまく三役の枠が空き、念願の新三役となった。大関に１つ勝っただけだったが、関脇以下には1敗に留めて見事勝ち越し。新関脇の名古屋も２つの不戦勝を得て白星を先行させたが、最後に連敗。カド番照ノ富士との７－７対決に敗れた。秋は粘りつつも6勝で陥落。新三役から3場所維持したのは立派な実績。

★当年　【上位撃破】三役でも大崩れしない実力は示し、安定感が出てきたかと思われたが、復帰を狙った九州場所ではわずか3勝止まり。課題はやはり上位戦で、役力士としては絶不調の照ノ富士に勝ったのと不戦勝だけ。これでは三役にいても場所を盛り上げられない。先手を取って猛攻を繰り出したいところ。

★取り口解説　　右四つ左上手が十分。豪快な突っ張りの威力もある。どっしりした体をぶつける重い当たりから、胸を合わせて上手を取れれば外四つでも有利に運べるが、捕まえきれないと崩されることが目立つ。投げに転がされる場面も目立つ。

★パラメータ・スキル　　(8.3→8.6)最後の惨敗の印象が強く、大幅上昇とはいかず。まともに戦えば強いが、スピード不足と腰高を突かれて持ち前のパワーを封じられることも。ワキは甘く、逆四つはうまく取れなかったが、上手を取れば寄って出たり、差し返したりする場面も見え始め、徐々に課題の技能も向上している。ただ、何より横綱大関に弱すぎる。若いころから腰痛で急に調子を崩すことがある。

玉　鷲最高位:関脇　モンゴル出身　片男波部屋　33歳
取り口：パワー型				型：左押付右筈/喉輪		得意手：突き、押し		190cm/160kg 長身中肉
体格	C10.0	懐	10.0	＜決め技＞右のどわ　5b ハズ押し　4b 右小手投げ4c 左のどわ 3b モロ手突き3c 突き落とし3c 突っ張り 3c 右上手投げ1d 掬い投げ1c はたき　 2d	＜崩し技＞左おっつけ5b 右突き放し4b 右おっつけ3b 極め　　3c 切り返し 1e 吊り　　　1e 足取り　 1e ぶちかまし2c 首捻り　　1e 巻き落とし1e	＜立合＞ぶちかまし3a 右突き放し4c モロ手突き3c モロハズ　2c 左おっつけ4c 左のどわ　1c 頭a肩d胸d 手c変化e	＜心＞ツラ相撲突押徹底速攻ムラッ気超晩成型	＜技＞電車道挟みつけ引張り込み	＜体＞前掛かりかいな力腰高上体硬い足腰硬い
		重	9.0
力	B11.0	馬力	10.5
		怪力	11.5
足腰	E 7.5	安定	7.0
		粘り	7.5
速	D 8.5	出足	8.5
		敏捷	7.5
技	E 6.5	技巧	6.5
		キレ	7.5
離	B11.0	突	10.5
		押	7.5
		引	6.5
組	E 6.5	寄	10.5
		投	7.5
		極	8.0

★略歴　　19歳と遅い入門、4年で関取に。十両は負け越しなしで突破し20年9月新入幕。地力は評価されていたが番付の上下は激しく、上位にも進出するが何度か十両落ちも。25年の後半から安定しはじめ、上位と当たる位置では大負け続きだったが、27年3月に幸運な新三役、翌場所には初金星。28年には三役に復帰し二桁勝つなど30歳を過ぎてようやく力を発揮し始めた。

★前年　【突如覚醒】成績はぱっとせず、5枚目以内にも入れていなかったが、9月の6枚目10勝でまたも幸運な三役昇進。敗れはしたが好調ぶりから14日目に優勝に王手をかけた豪栄道戦が組まれた。すると2度目の小結ではその豪栄道の連勝を20で止め、日馬富士も圧倒して10勝をマーク、初の技能賞。ついに上位でも力を発揮した。

★当年　【上位定着】新関脇。1横綱2大関2関脇を破った九州の相撲がフロックでないことを証明したい。土俵年齢は若いので、年齢的な心配は少なく、むしろこれから成績を残しそうだ。上位と当たる位置での活躍は続くか。

★取り口解説　　頭から当たって右の突き放しを効かせて出るのが持ち味。左おっつけが強く、右はハズかのどわで押すのがもっとも力を発揮できる形だ。押し相撲ながら引き技で決めることは少なく、むしろ腕力を活かした小手投げなど極めてねじ伏せる技が得意。つぼにはまったときの出足は魅力十分。

★パラメータ・スキル解説　　(8.2→8.7)好調を反映して大きく伸ばした。長身だが前に倒して押す相撲。腕力は相当のもので、一発入れば一気に出るし、小手投げも形勢を逆転するに十分な威力。

勢　　最高位:関脇　大阪出身　伊勢ノ海部屋　31歳
取り口：正攻法型				型：右四つ左上手		得意手：寄り、投げ		195cm/165kg 長身中肉
体格	C10.5	懐	12.0	＜決め技＞右差し寄り４b 右掬い投げ5c 右下手投げ4a 右小手投げ4c 上手投げ 3c 両差し寄り3d はたき　　2b 突き落とし2c 上手出投げ2d 首投げ　　1d	＜崩し技＞右腕返し 4c 張り手　1c 引き付け　2b 極め　　　3c 右突き付け3c 跳ね上げ　3b ハズ押し 2c モロ手突き2c 左おっつけ2b 巻き替え 3c	＜立合＞右カチ上げ3a 左おっつけ2b 右差し　 2b 体当たり　2c モロ手突き2b かっぱじき3c はたき　　1e 　頭d肩b胸c 手d変化d	＜心＞投げ多用詰め× ムラッ気晩成型人気	＜技＞差し身呼び込み引張込み右半身髷つかみ	＜体＞前傾○ 肘柔軟アゴ上りリーチ長左肩右足首
		重	9.5
力	D 9.0	馬力	8.5
		怪力	9.5
足腰	E 7.5	安定	7.5
		粘り	8.0
速	D 8.0	出足	8.5
		敏捷	7.5
技	D 8.5	技巧	8.5
		キレ	9.0
離	E 7.0	突	7.0
		押	7.0
		引	8.5
組	Ｃ10.0	寄	9.5
		投	10.5
		極	9.0

★略歴　　17年に18歳で入門。6年も幕下で停滞していたが、23年11月新十両で優勝すると2場所で突破し入幕した。3度目の入幕となった24年11月に初めて勝ち越すと、以降上位から中位で活躍。気風の良い相撲ぶりで中位でも度々大勝ち、敢闘賞4回。26年11月には新三役。上位と当たる位置では苦戦するが、横綱戦でも目が出るようになってきた。

★前年　【波乱万丈】4枚目で12番勝っての三役復帰で大いに期待された初場所は5勝止まり。春は再び4枚目で7連勝スタート、三賞は逃したが二けた勝利。翌場所は新関脇に躍進、初場所に続いて横綱鶴竜を破ったが、中盤から8連敗を喫し大敗。翌場所は白鵬から初金星。相手の荒技を警戒しながらの引き技に横綱が崩れた。しかし連続の二桁の黒星を喫し、波の大きい一年だった。

★当年　【上位安定】そろそろ三役でも活躍したい。中位に落ちた九州場所は二桁勝って上位復帰へ。怪我も多いが、まずは28年後半の不調から立ち直りたい。

★取り口　　屈指の長身力士だが上手から引っ張り込む相撲ではなく、下から掬うように差して力を発揮する。右差し速攻、掬い投げが得意。左からの攻めが課題とされてきたが、ハズ・おっつけなど徐々に向上。十分の右を差せない展開でも、右で小手に振ったりして打開。懐の深さを活かす。

★パラメータ・スキル　　(8.6→8.6)スケールの大きさとスピーディーさを兼ね備え、相撲ぶりに華がある。怪我の影響もあるかもしれないが、成績に斑が大きい。

平成29年　＜home＞＜データ解説＞＜現役＞＜平成＞＜昭和＞
上位陣	白鵬日馬富士鶴竜琴奨菊稀勢の里豪栄道照ノ富士
三　役	髙安栃煌山栃ノ心隠岐の海嘉風宝富士魁聖玉鷲勢
古　参	豪風松鳳山荒鷲安美錦豊響北太樹佐田の富士蒼国来阿夢露豊ノ島
中　堅	妙義龍碧山遠藤千代大龍臥牙丸佐田の海德勝龍旭秀鵬誉富士千代の国英乃海青狼
新　鋭	御嶽海逸ノ城大砂嵐琴勇輝千代鳳貴ノ岩大栄翔
新入幕	正代輝大翔丸明瀬山錦木北石番磨千代翔馬北勝富士石浦

剛●●●■●○○柔			型○●●■●○○彩			速●●●■●○○理
動●●●■●○○静			四○●●■●●○押			左●●●■●●○右
活躍型			間合い					総合値
殊勲	大勝	安定	密	接	近	離	遠	9.8↑
○	○	△	×	○	◎	○	△

剛●●●■○○○柔			型○●●■●○○彩			速●●●■●○○理
動●●●■●○○静			四○○●■●●○押			左○○●■●●○右
活躍型			間合い					総合値
殊勲	大勝	安定	密	接	近	離	遠	9.5↓
○	○	△	×	○	◎	○	△

剛●●●■●○○柔			型●●●■●○○彩			速○○●■●●○理
動○●●■●●○静			四●●●■●○○押			左○○●■●●●右
活躍型			間合い					総合値
殊勲	大勝	安定	密	接	近	離	遠	9.1→
△	◎	△	◎	○	△	△	△

剛○○○■●●●柔			型○●●■●●○彩			速○○●■●●●理
動●●●■●○○静			四●●●■●○○押			左●●●■●●○右
活躍型			間合い					総合値
殊勲	大勝	安定	密	接	近	離	遠	9.3↑
○		△	○	◎	△	△	△

剛○●●■●●○柔			型○●●■●●○彩			速●●●■●○○理
動●●●■○○○静			四○○●■●●●押			左○●●■●○○右
活躍型			間合い					総合値
殊勲	大勝	安定	密	接	近	離	遠	9.1↓
○	○	△	×	○	○	◎	△

剛●●●■○○○柔			型○●●■○○○彩			速○○●■●●○理
動○○●■●●○静			四●●●■●○○押			左○○●■●●●右
活躍型			間合い					総合値
殊勲	大勝	安定	密	接	近	離	遠	8.6↑
○	○	△	×	○	◎	○	△

剛○●●■●●○柔			型○●●■●●○彩			速○●●■●○○理
動○●●■●○○静			四●●●■●○○押			左○●●■●●●右
活躍型			間合い					総合値
殊勲	大勝	安定	密	接	近	離	遠	8.6→
△	◎		○	◎	△	△	△