現役力士データ
2007(平成19年)
パラメータ:重(総合的な重さ)、力(総合的な力の強さ)、速(総合的なスピード)
技(総合的な技能)、バ(体のバランスの良さ)
寄(寄りのレベル)、押(押し、突きのレベル)、投(投げ技のレベル)
粘(粘り強さ)、ス(スタミナ)
解説:平成19年1〜3月現在の状況、経歴、取り口の特徴/@得意パターンAオプションB対応力C負けパターン
朝青龍 横綱 <左四つ寄り・投げ・突押> 高砂 27 185/145 | |||||||||
スピード・荒技型 間合1/3 [左差右前褌・右廻し・両差し・左右突放し] | |||||||||
重 | C11 | 寄 | B13 |
上手投げ 4b 下手投げ 4b 掬い投げ 4b 右前褌寄り4b モロ差寄り3b モロ手突き4c 外掛け 3c 突っ張り 4b 吊り落とし3d |
おっつけ3b 小手投げ2d 張り手 4c 内無双 2d 渡しこみ3c 左腕返し2b 足取り 2d 掛け投げ2d たぐり 4b |
<立合> 左差し 3c モロ差し 2d 右前褌 3c 張差し 4b カチ上げ3c モロ手突き3d けたぐり 2e 頭d肩b胸a手a |
<心> 威圧感 勝負強い 安定感 尻上がり パフォ-マ- 短気 初顔○ 早熟型 |
<技>
相撲勘 差し身 まわりこみ 逆四つ○ 速攻 足癖 多彩 |
<体> 上体柔軟 足腰柔軟 前傾○ 敏捷 首筋 右肘 |
力 | B12 | 押 | B12 | ||||||
速 | A14 | 投 | A14 | ||||||
技 | A14 | 粘 | A14 | ||||||
バ | B13 | ス | D09 |
17年は年間たったの6敗(新記録の84勝)で、史上初の年間完全制覇。18年は右肘を痛めて途中休場前半はもたついたが、後半は3連覇で締めて年4回の優勝、奇跡的に5年連続の年間最多勝も勝ち取った。内容的には速攻で圧倒する取り口が減り、攻めを受けてから自分十分になって料理することが多くなった。18年前半、怪我を負った白鵬戦、若の里戦は共に攻め急いだ代償。特に序盤は完全に攻めを受けきれていない面があり――抜群の運動神経で危険を回避しているが――そういう点でまだ横綱相撲とは表現できない。
左四つ、左下手・浅い右上手が充分の形。場合によっては頭もつけ、相手に廻しを許さない厳しい攻めをしている時がもっとも安定感がある。もともとは二本差し、下手投げ(どちらかといえば右から)を得意としていたが、かつての大力士がそうであったように、上手からの技が増えて大横綱らしい豪快な取り口になっている。右差し左上手でも自在に取る。突っ張り、のどわ押しも減った。かつてはうるさい相手をこれで寄せ付けずに圧倒することもあったが、肘を痛めやすいこともあってかあまり繰り出さなくなった。大きな相手に対してがっぷり四つや、先に上手を取られた時はもっとも危ない。18年は黒海、稀勢の里にこの体勢を許して完敗した。それでも、逆転の下手投げ・掬い投げや廻しを切るテクニックも備えているので、この体勢になっても勝ち切れる力士はそう多くはない。
@左差し、右前褌を取っての寄り。A足技、無双など多彩な技を流れるように繰り出して崩す。突き押しの速攻も。B右四つでも廻しを引けば十分取れる。巧い前捌きや強引な掬い投げでいつの間にか体勢を挽回する反応のよさ、相撲勘。我慢もできる。C体格は平均的。立合いで下がることはめったにないが、受けに回れば一気の出足には苦戦する。
千代大海 大関 <突き押し> 九重 31 181/160 | |||||||||
突押・撹乱型 間合3 [上突っ張り・叩き・左のどわ右おっつけ・右突放し] | |||||||||
重 | D08 | 寄 | D08 |
突っ張り 4b のど輪 4b おっつけ 3c 上突っ張り4a はたき 5b がぶり寄り2d ハズ押し 3c 引き落とし3b 突き落とし4c |
いなし 3c 小手投げ2d 張り手 2d 廻し切り 2c 左掬い投げ2e 左腕返し 2d 裾払い 2e 右上手投げ2d 浴びせ倒し2d |
<立合> モロ手突き3a ぶちかまし3b いなし 3d おっつけ 2d 右突き放し3c かちあげ 2e 頭b肩d胸d 手b変化d |
<心> ツラ相撲 勝負弱い 突押徹底 逆境○ つっかけ 引き癖 息切れ 早熟型 |
<技>
土俵際 まわりこみ 変化技○ 速攻 引き足○ 俵伝い 出足 回転○ |
<体> 浮き足 怪我× 足腰硬い バッタリ 粘り腰× 左膝・首 両肘 足首 |
力 | B12 | 押 | B13 | ||||||
速 | C11 | 投 | D08 | ||||||
技 | C10 | 粘 | C10 | ||||||
バ | D09 | ス | E07 |
角番脱出に汲々とし、引退の言葉さえ口にし始めた17年の苦境から、ひとまず脱出。18年は1場所の途中休場を除いて余裕で勝ち越した。しかし、その内訳は10勝2回9勝3回。前半戦は取りこぼしも少なく、優勝戦線に名を連ねるが、終盤には古傷が悪化してあっという間に脱落する展開が続いている。前半戦の内容は一時のように引き技ばかりというわけでもなく、突き押しで一気に持っていく取り口が復活、思わず毎場所期待させられるのだが。体調が万全ならどこまでやるのか、年1回は12勝以上の活躍を臨みたい。大怪我さえなければ、今年中に貴ノ花の大関在位記録50場所を更新することは間違いない。
突っ張り大関の名に恥じず、突っ張り一筋。故障の酷かった17年あたりは左四つに入ってがむしゃらに寄ることもあったが、あくまでこれは緊急時。18年は突っ張りが炸裂して先手を取り、いなし・叩きを交えて間合を取りつつ、押し切る展開が増えた。立合いはぶちかまし、モロ手突きが主だったが、古傷に響くためかこれらは減少ぎみ。体当たりのように、胸で当たりながら右で突き放す立合いが目立っている。突き放せないと差されるが、出足がついているので突き放せている。上位力士には、左ののど輪で押し込むのだが、なかなか後が続かない。頼みは絶妙の叩きだ。組み止められると苦しい。突き落とし、小手投げと出る技が逆転技に限られているのでじっくり取られるとどうしようもない。それでも相手が差す事に精一杯のためか、先に上手を取っていることは多く、力は強いので、出足が残っていればがぶったり、体を浴びせたりして寄り切ることもある。
@回転の速い突っ張り。のどわ攻め。A相手が残せばタイミングの良い叩きで這わせる。まともに引くので呼び込むことも多いが、抜群の運動神経で引き足鋭く俵の上で足一本でかわす。B差されれば引き落とすか、出足を駆って強引にナタで押したりがぶり寄り。捨て身の投げC突っ張りで押し込めず引き技自滅、リズムが狂って逆に叩かれるといった負け方が多い。突き放せず四つになると、粘り腰はない。
魁 皇 大関 <左四つ寄り・投げ・押し> 友綱 35 184/175 | |||||||||
怪力型 間合0〜1 [左差し・右上手・右おっつけ] | |||||||||
重 | C11 | 寄 | C11 |
右上手投げ5b 右小手投げ4b 右おっつけ3a 左腕返し 3b 左前褌寄り3d のどわ 3b とったり 3c はたき 3b 左掬い投げ3c |
しぼり 3c 極め 2c 引きつけ 3b 巻き替え 1d 投げ寄り 3c モロ手突き2c ハズ押し 2c 肩透かし 3c 外掛け 1d |
<立合> カチ上げ3b 左差し 3b モロ手突き2d 張差し 2c とったり 2d 上手 2d 頭d肩a胸b 手d変化e |
<心> 勝負弱い スロ-スタ-ト 尻上がり まった 強引 逆境○ 円熟 晩成型 |
<技>
左堅い 連発 逆四つ× 引き癖
|
<体> 上体柔軟 アゴ上がり 立ち腰 粘り腰× 調整× 腰爆弾 |
力 | B12 | 押 | D08 | ||||||
速 | E06 | 投 | A14 | ||||||
技 | D09 | 粘 | E07 | ||||||
バ | E06 | ス | E07 |
17年初場所の綱取りを逃して以来、苦しい土俵が続いている。角番が続き、ついに最多記録を10回にまで更新してしまった。18年春は崖っぷちに追い込まれ、前半戦で引退発表かと騒がせたが、負け越すまで取ると決意、粘りに粘って千秋楽優勝のかかる白鵬を破って奇跡的な勝ち越し。優勝争いをするのは苦しくなり、休場明けの地元九州では今度こそ最後かと連日大歓声を浴びていたが、8連勝で勝ち越して久しぶりに二桁に乗せた。今年も体調次第の苦しい土俵となりそうだが、九州まで頑張れるか。もう一花咲かすのか。
あまりに有名な命綱の右上手はなかなか取らせてもらえないが、熟練の左差しの技能でこじ入れてしまえばかなり粘れる。差し手だけでも腰が重いのか、なかなか押されず、前掛りになるところを右で肩透かし気味に叩いてあっさり決まるパターンも多い。上手を取れば十八番の上手投げを狙う。寄りながら投げたり、連発して俵に追い込んだりと威力だけでなく、投げの使い方もうまい。得意技があれば生き残れるという、型のある力士の強み。しかしだいぶ足腰にガタが来ているようで、調子が悪ければちょっとした叩きにも簡単に落ちてしまう。突っ張りに腰が立ってしまうとあっけなく(雅山にはタジタジだが、千代大海の突っ張りだけはよく残す)、特に序盤は脆さが目立つ。休場、稽古不足で相撲勘が鈍っているのかもしれない。
@左差し右上手からの上手投げ。寄り。A左を差せば、上手は取れなくてもおっつけて出たり、肩透かしを引く技術を発揮する。B強引な小手投げで打開する粗い相撲は取れなくなった。突き手をたぐる巧さで突き押しを凌いでいる。差し手争いの中での叩きを決めて、自ら首を捻る勝ち方も目立つ。C足腰が限界に近く、腰が起きるともう残せない。攻めに徹するほかない。
栃 東 大関 <押し・右四つ寄り> 玉ノ井 30 181/155 | |||||||||
押し相撲・技能型 間合1〜2 [両おっつけ・右/左差しおっつけ・左前褌・両ハズ] | |||||||||
重 | D09 | 寄 | C10 |
右おっつけ5a ハズ押し 3b 左前褌寄り3c 左おっつけ3b 上手出投げ3c 突っ張り 3b いなし 4b はたき 4b はねあげ 4b |
拝み寄り 2d モロ差寄り2d ひねり 2e 廻し切り 2d 左上手投げ2d うっちゃり 2e 肩透かし 2d モロハズ 2c 突き落とし3b |
<立合> ぶちかまし3a おっつけ 3b 左前褌 2d 左差し 2d はたき 3d いなし 2e 頭a肩e胸d 手e変化d |
<心> 勝負強い 逆境○ 冷静 安定感 まった 横攻め 強行 スロ-スタ-ト |
<技>
土俵際 前捌き 挟みつけ 変化技○ まわりこみ 受身○
|
<体> 重心低い 前傾○ 足腰硬い ケガ× 左肩脱臼癖 両膝 |
力 | C11 | 押 | C11 | ||||||
速 | C10 | 投 | C10 | ||||||
技 | A14 | 粘 | C11 | ||||||
バ | D09 | ス | C11 |
技能派大関も30歳。大関6年目を迎える。陥落も経験したが、史上初めて2度の復帰を果たした粘り強さと勝負強さで満身創痍ながら持ちこたえてきた。昨年初場所3回目の優勝を果たし、春も12勝して綱取りを狙ったが、夏場所以降故障で低迷が続いている。九州場所でさらに膝を痛めて手術、ダメ元出場の19年初場所は5勝10敗。1年前綱をかけた春に、今年は進退をかける。親方停年に伴う玉ノ井継承が規定路線で、長くてもあと2年半。タイムリミットまで取り続けたい。
うまさは角界一。左右のおっつけ、ハズ押しで差させず突かせず、絶対にアゴを上げない低い構えでしぶとく固めてからサッと攻める。叩き、いなしのタイミングも絶妙だ。春場所前は、綱取りを目指して左前褌右ハズでの攻めを磨く。やはり廻しを取る事で引き技に対する安定感は増す。がっちり組み合うと大きな相手には苦しいが、それでもおっつけて我慢。やはり相手より先に上手を取れば有利になる。先代譲りの出し投げも見せてくれる。このところ分が悪いのは、千代大海、雅山といった突き押し相撲。やはり先に相手の攻めを受ける形になるので、いなし損ねたり、反撃に出るところを引かれたりという負け方が目立つ。やはり我慢の大関、頭、顔にダメージをもらってもじっと堪えて引きを誘うのが原点である。
@前傾姿勢でのおっつけを基本とし、ハズ押しやいなしを駆使する前捌きの技能相撲。A浅い上手を取って食いついての攻めも巧い。投げもある。B先に上手を許すと、差し手を絞って我慢。突っ張ってくる相手にはひたすらあてがって耐えて、捌き切るCがっぷり組みとめられると体に恵まれない分、苦しくなる。
※夏場所前、引退を発表。進退を賭けた春場所は7連勝するなど早々と勝ち越しを決めたが、原因不明の頭痛で途中休場。脳梗塞の跡が見つかるなど、意外に深刻な診断結果を受けて、憶測が飛び交った。巡業には土俵入りだけ参加していたが、これ以上の現役続行は命に関わるということもあり、決断に至った。最後の一番は朝青龍戦での黒星。体はボロボロでもしぶとく立ち直ってきた大関だけに、追い詰められていない状況での突然の引退はいまだ信じられない。
琴欧洲 大関 <右四つ寄り・投げ> 佐渡ヶ嶽 23 204/145 | |||||||||
疾風・スケール型 間合0〜1 [右四つ両廻し・上手廻し・両差し・突っ張り] | |||||||||
重 | C10 | 寄 | C11 |
左上手投げ4a 前褌寄り 3b 右四つ寄り4b 下手投げ 3c 吊り寄り 2d 右腕返し 3b モロ差寄り3c 渡しこみ 3b 突っ張り 2d |
はたき 2c 足取り 2c 掬い投げ 3c 引きつけ 4b 巻き替え 2d 浴びせ倒し3c かわず掛け1e 突き落とし 2c 小股 2e |
<立合> 右差し 2a モロ差し 2c 張差し 2c カチ上げ2d モロ手突き2d 左上手 2d 頭b肩b胸d 手c変化c |
<心> スロ-スタ-ト 勝負弱い 強行 まった 顔から 取りこぼし 連敗癖 早熟型 |
<技>
土俵際 がっぷり○ 外四つ○ ヒザ払い 足踏み込み 詰め× 被さり 足跳ね上げ |
<体> 懐深い 腰高 前がかり リーチ長 内股 バタ足 右膝・足首 |
力 | B13 | 押 | D09 | ||||||
速 | D09 | 投 | B13 | ||||||
技 | D09 | 粘 | C10 | ||||||
バ | D08 | ス | B12 |
鳴物入りで新大関として迎えた18年だが、春場所前の右膝故障で回り道を余儀なくされた強行出場して勝ち越したが、足首まで痛める代償をもらった。やはり大事を取って欲しかった。その後も怪我の影響が長引いたか、本来の相撲が戻らず勝ち越しがやっと。最後に少し持ち直したが、大関になった去年の勢いは消え去り、影が薄くなってしまった。
2メートルの長身を活かしたスケールの大きさが魅力。目立つのは大きく決まる投げ技。左からの上手投げが一番強いが、右からでも、下手からでも体を開けば豪快に決まる。特徴は軸足を相手の内側に踏み込んで跳ね上げ気味に打つところにある。そして本領は寄り。長身を前傾にして浅い上手を引き、両まわしを引きつけて寄るので、相手は腰が「逆くの字」になってしまい、最後は寄り倒しや渡しこみになることも多い。また、リーチがある分、下手を引いたまま腕を返して起こすことができるのも凄いところ。スピードのある疾風の寄り身が最大の強みだ。大関昇進を決めた朝青龍戦はその好例。左四つだと寄り身に詰めの甘さが見られ、逆転技を食らうことも。また、やや内股で腰が下り切らず頭が低いため、焦ると引き技を食うこともある。上手を取りにいくより差した方が攻めやすいのか、立合いで差し身にこだわるケースが目立つ。モロ差し狙いの時もある。上手から引っ張り込む豪快な相撲が期待される体格だが、小さい相撲を取っている。それできっちり勝てばよいのだが、かえって取りこぼしが多いのだから問題だ。やや変わり気味に上手を狙うこともあるが、そろそろ立合いの基本となる形を作りたいところ。
@右四つ、両廻しを引き付けての寄り、豪快な投げ。A長身を折りたたんでのモロ差し速攻、長い手で足を取る器用さもあり。たまにリーチの生きる突っ張りもB差されても両上手取って攻めきれるだけの懐の深さはある。上手嫌われても、下手からの投げも強力C体形的な無理、足の運びに課題があり、横への揺さぶりに弱い面がある。差しに行くところをおっつけられて横を向かされる負け方が目立つ。
白 鵬 大関 <右四つ寄り・投げ> 宮城野 22 192/155 | |||||||||
本格・スケール型 間合0〜1 [右差し左前褌/左上手・上突っ張り] | |||||||||
重 | C11 | 寄 | B12 |
左上手投げ4a 左上手出投4b 左前褌寄り4a 小手投げ 3c はたき 3c モロ手突き2c モロ差寄り3c 上突っ張り3b 右腕返し 2c |
巻き落とし2c 引きつけ3b 張り手 2c 巻き替え 3c 引き落とし3d はねあげ 2b いなし 3c たぐり 2d 吊り落とし2e |
<立合> 左前褌 3b 張差し 3b 右カチ上げ2b モロ手突き2d 左上手 2e いなし 3d 頭c肩a胸c 手b変化d |
<心> 勝負強い チャンス× じらし 尻上がり スロ-スタ-ト まった 投げ多用 早熟型 |
<技>
前捌き まわりこみ 膝払い チョン立ち 受身○ |
<体> 懐深い 足腰柔軟 体質柔軟 粘り腰○ 摺り足○ バッタリ 左足首 左足親指 |
力 | C11 | 押 | C10 | ||||||
速 | C10 | 投 | B13 | ||||||
技 | C11 | 粘 | B12 | ||||||
バ | C11 | ス | C10 |
右四つ左前まわしでの寄りという型を身につけた。立合いでは左前褌狙いが開眼。初場所の雅山戦で確信したというこの立合いは、長身ながら驚異的な足腰の柔かさで低くぶつかりつつ、長い手で相手の臍の下の褌をつかむというもの。同時に右を固めてカチ上げる。なかなか真似出来ない芸当だ。低い体勢のまま、右を差して焦らず、左右に揺さぶりながら寄り切るのが理想。左からの強烈な上手投げ、上手出し投げもよく見せる。モンゴル相撲の影響か、投げる際に相手の軸足を払うことが多い。決まり手としても、前へ出ての勝ちと投げ技での勝ちが半々だ。突き押しの相手にも長いリーチと懐の深さで対抗し、組みとめることができる。
これまでの欠点としては、器用すぎるのか、時折小細工に走ったり、受けてしまって簡単に攻めきられることがあった。睡眠時無呼吸症候群の影響か、信じられない気が抜けたような負けがあった。今でも真っ向から寄らずに投げにいったりして、隙を見せることもある。しかし、この大関への躍進を見ていると克服は時間の問題だろう。立ち合いでの駆け引きもうまいが、あえて狡猾さを捨てて正々堂々の勝負に徹してほしい。
@驚異的な低く柔かい立合いで左前まわし、右差しの形から、寄り、上手投げ。現在この型が崩れて大苦戦中。Aしつこい相手には、執拗な上突っ張りで起こしてから捕まえるB左四つでも上手を引けば何とかなる。左上手廻しがダメなら小手投げ、巻き替えてモロの形もC立合いのスキを突かれて一気の出足相撲にあっけなく負ける。それは大関になってからは減ったが、勝ち急いで引き技にバッタリ落ちることがある。