現役力士データ
2007(平成19年)
栃乃洋 関脇 <左差し寄り・投げ> 春日野 33 187/161 | |||||||||
堅牢型 間合1 [左差し・下手] | |||||||||
重 | D09 | 寄 | D08 |
左下手投げ4a 左掬い投げ4b 左下手出投4b 小手投げ 2c 右おっつけ2b 突っ張り 2c のどわ 2d モロ差寄り2c 突き落とし3b |
はたき 2c がぶり寄り3c 左腕返し 3c 巻き替え 2c まわし切り 2c 左上手投げ1d ひねり 2d 上手出投げ2e 極め 1d |
<立合> 体当たり 2b かちあげ 2b 左差し 3c 張差し 1d モロ手突き2d ぶちかまし1d 頭d肩b胸b 手d変化e |
<心> 上位キラ- 慎重 |
<技>
土俵際 左堅い 左半身 |
<体> 肘柔軟 右足痛 粘り腰 |
力 | C10 | 押 | D08 | ||||||
速 | E06 | 投 | C11 | ||||||
技 | C10 | 粘 | D08 | ||||||
バ | E07 | ス | D08 |
石川県の同郷・出島とは古くからのライバル。やはり大学から幕下付出でデビュー、すんなり幕内上位に定着。三役常連、金星11の上位キラーとして鳴らした。17年は故障で幕尻に落ち、この地位でも連続負け越しで十両落ち。心配されたが、ケガの状態が回復するとさすが、13勝で十両優勝して幕内に復帰。18年は中位を維持した。左四つでもあっさり寄り切られることもあって、さすがに地力は落ちた感は否めないが、テクニックは健在。かつてやはり石川出身で大学相撲から角界入りした横綱輪島は左下手十分の取り口だったが、その影響かどうか知らないが、栃乃洋もまた左下手十分。半身に構えて長くなることも多い。左の差し手だけでなく、右からの攻めを求められて久しいが、やはり中心は下手相撲。宿命的に魁皇の投げで左肘を壊されたが、その技能は健在。下手投げは勿論、廻しが取れなくても掬い投げが強い。
@左を差して右おっつけから上手を引いての寄り、残すところを左の投げ。左差しを果たせば老練なテクニックを発揮。よほど殺されない限り、多少浅かろうと、先に上手を引かれようとも片腕で相手を操り、攻守に不自由しない。最近は右上手を引く形も増加傾向。A時折突き押しを繰り出して意表を突く。一時は朝青龍を一方的に突き出すほどの武器となっていたが、最近あまり見せない。B浅い下手からでも肘の柔かさを発揮して逆転の投げがある。警戒するところを逆に右突き落としも。C左を差せないときや、腰の重さを生かせない速攻への対応は長年の課題。やや前に落ちるシーンも増えてきた。
土佐ノ海 関脇 <突き押し・右四つ寄り> 伊勢ノ海 35 186/146 | |||||||||
前進型 間合2〜3 [右ハズ左おっつけ・右差し左上手] | |||||||||
重 | D08 | 寄 | E07 |
ぶちかまし3b ハズ押し 3a おっつけ 3a のどわ 2c 突っ張り 3c はたき 2b 突き落とし2b 右四つ寄り2b モロハズ 2c |
いなし 2c 引き落とし2c がぶり寄り1d 左上手投げ1d 右腕返し 1d 掬い投げ 1e はねあげ 2c モロ手突き2c 浴びせ倒し2d |
<立合> ぶちかまし3a モロ手突き2b モロハズ 2c はたき 2e 突き落とし2d 頭a肩d胸e 手c変化d |
<心> 突っかけ シンプル 連敗癖 |
<技>
出足 詰め× 対変化× |
<体> 前がかり 腰砕け |
力 | D09 | 押 | C10 | ||||||
速 | E07 | 投 | E07 | ||||||
技 | E07 | 粘 | E07 | ||||||
バ | F05 | ス | E07 |
馬力相撲で金星11を誇る元三役常連力士。ライバル武双山に遅れて幕下付出でプロ入り。7年十両筆頭で優勝して入幕、いきなり上位と対戦する7枚目でデビューして以来ずっと上位で活躍。毎場所のように上位を倒してインタビュールームの常連。16年に初めて前頭二桁に位置したが、翌17年には関脇復帰した。しかしその後は急速に馬力が落ちて勝ち越せなくなり、18年初場所、遂に新入幕から10年・64場所守った幕内の座を失った。1場所で復帰して幕内を守っているが、ぎりぎり耐えている印象で、同期の玉春日の方が元気。若い頃から痛めていた腰の粘りも限界に近いのか、腰砕け気味に崩れることも目立つ。往年のぶちかましから一気の攻めは少なくなったが、代わりに学生時代以来の右四つの寄りが増えてきた。
@馬力を生かした突き押し。唸りを上げる怒涛の当たりから、何度も突き放してはおっつけながらぶちかます前進相撲。かつて出島と幕内一二を争った出足の威力はなくなったが、幕内下位ならまだまだ通用する。A突き押し一筋のイメージだったが、右四つ左上手を引けば、寄り、上手投げがある。もちろん突き押しの流れの中での動き。突き押しや左四つ得意の相手なら結構強い。B引き技もなかなか巧い。若い頃、腰を痛めた時期に一時的に引き技が多くなったが、それが癖にならなかったのは突き押し力士の鏡。C前へ落ちる負け方がとても多い。変化もよく食う。
玉春日 関脇 <突き押し> 片男波 35 182/153 | |||||||||
押し相撲型 間合2〜3 [左はず右のどわ] | |||||||||
重 | E07 | 寄 | E06 |
のどわ 3b ハズ押し 3a おっつけ 2b 突っ張り 2c いなし 4b モロ手突き2d はたき 2b 突き落とし3b 肩透かし 2d |
モロハズ 2d 掬い投げ 1d 引き落とし2c はねあげ 3b 引っ掛け 1d がぶり寄り1e モロ差寄り1d 腕返し 2d 首投げ 2d |
<立合> ぶちかまし2b モロ手突き2c おっつけ 2b モロハズ 2c かっぱじき2d 突き落とし2d 頭b肩d胸e 手b変化d |
<心> ツラ相撲 連敗癖 幻惑 寸前× 冷静 円熟 |
<技>
相撲勘 変化技○ 前捌き まわりこみ 土俵際 後の先 俵伝い |
<体> 体質柔軟 上体柔軟 反身○ 対押し○ 首・腰 右膝 |
力 | E07 | 押 | D09 | ||||||
速 | D08 | 投 | E06 | ||||||
技 | C10 | 粘 | C10 | ||||||
バ | D08 | ス | E07 |
職人的な押し相撲の妙技を見せるベテラン。土佐ノ海とはアマチュア時代から四国のライバル。中央大から幕下付出で入門。若い頃の突き押しの威力はなかなかのもので、金星7個と上位陣を苦しめた。14年9月にはアザラシに便乗して「タマちゃん旋風」。15年に十両落ちしてからは、膝・首などに勤続疲労が来て幕内下位と十両を往復する苦しい土俵が続いていたが、18年は復調。7月には玉乃島と「玉玉コンビ」で売り出す大活躍で、11勝。実に55場所、約9年ぶり(史上最長間隔)の三賞を獲得した。4年ぶりの上位挑戦はあえなく惨敗に終わったが、19年1月は初日から7連勝の自己新記録で3日間も単独トップに立った(その後6連敗で14日目ようやく給金)。いなしのタイミングの良さ、土俵際の粘りで健闘。前傾にならない技能的な押し相撲で魅せている。体が柔軟で、土俵際弓なりになりながらもをスルリと抜けるまわりこみが見事。
@おっつけ、ハズ、のど輪、いなしと相手をよく見た柔かい押し相撲。技の印象が強いが、時に全盛期を思わせる威力も。A最近自分から差す場面も見られるようになったが、二本差さない限りは四つ相撲は取らない。B土俵際の粘りが驚異的。首投げの大逆転も。Cまわしを引かれると苦しい。また馬力はなくなっている分、重い相手は攻めきれないので、上位には通じないか。
時津海 前頭 <右四つ寄り・投げ> 時津風 33 183/131 | |||||||||
本格・業師型 間合0〜1 [右下手/右差し左上手] | |||||||||
重 | E06 | 寄 | D09 |
上手出投げ3b 右下手投げ3a ひねり 3c 左上手投げ2c 下手出投げ2d まわし切り 3b 右四つ寄り3b 掬い投げ 3c 肩透かし 2c |
引きつけ 3b 吊り寄り 2d 左前褌寄り2d 突き落とし2c 閂 2d モロ差寄り2c 投げ寄り 2c 巻き替え 2c おっつけ 3c |
<立合> ぶちかまし2b 右おっつけ2c カチ上げ 2c 左上手 3c 張差し 2e いなし 2c 頭b肩c胸d 手d変化c |
<心> ムラッ気 気抜き癖 稽古場○ 晩成型 |
<技>
相撲勘 まわりこみ 潜り込み 対押し× |
<体> 右膝痛 腰痛 調整× |
力 | D08 | 押 | E06 | ||||||
速 | D08 | 投 | C10 | ||||||
技 | C10 | 粘 | E07 | ||||||
バ | E07 | ス | E07 |
大きくない体ながら本格的な右四つの相撲を取る、四つ相撲マスター。幕下付出で入門、2年半かかって平成10年秋入幕。以来安定して幕内中位から下位にあった。相手のワキに頭を入れて持ち上げるような寄りを得意としていたが、体が出来てきてからはやらなくなった。たまに大勝ちするなど地力をつけてしばらく前頭一桁で頑張っていたが、17年は急に低迷し2度も十両に陥落。2度目の落ち方が酷かったため、もう衰退していくのかと思いきや、3度目の再入幕の18年1月、終盤まで優勝争いに絡み、12勝3敗(4年ぶり2ケタ)で4度目の技能賞。千秋楽は三役揃い踏みにも顔を出し、関脇琴光喜を下した。低迷を抜け出すかと思われたが、その後は腰痛などで急落、またまた十両に逆戻り。もたついていたが、19年1月に半年振り幕内カムバックで勝ち越した。
@右四つ得意。右下手からの芸を武器にしていたが、最近は左の浅い上手を得意とする。この形になれば引き付けが効き、捻りや出し投げと多彩。廻しを切っての理詰めの寄りで好角家をうならせる。A立合い、右差しと見せて右から引っ掛けるような変化技もある。自分より小さい相手なら、閂で動きを止める力相撲をみせることも。B逆転技はあまり見せないが、下手投げの切れは持ち味。C四つになれない時は脆い。足腰の衰えか、前に落ちることも増えた。多少の体重差は苦にしないが、やはり150`を越える大きな相手にはまともな四つでは力負けする。
栃乃花 小結 <左四つ寄り・押し> 春日野 34 184/140 | |||||||||
技能型 間合1〜2 [左差し右おっつけ・右差し左おっつけ] | |||||||||
重 | E07 | 寄 | D08 |
右おっつけ4c 左おっつけ2b 左前褌寄り2c 右四つ寄り3c モロ差寄り3c 上手投げ 3b 掬い投げ 3c 上手出投げ2b 左四つ寄り2d |
はたき 3c はねあげ 2e いなし 3b 巻き替え 2c 腕返し 3c 突き落とし2c 突っ張り 2c まわし切り1d |
<立合> ぶちかまし2a 右差し 3b 前褌 2c 左上手 2c 張差し 2d いなし 2c 頭a肩d胸d 手d変化c |
<心> 上位キラ- 晩成型 |
<技>
前捌き はさみつけ 逆四つ○ 対押し× |
<体> 前傾○ 腰痛 バッタリ |
力 | D08 | 押 | D09 | ||||||
速 | E07 | 投 | E07 | ||||||
技 | D09 | 粘 | D08 | ||||||
バ | E06 | ス | E07 |
苦労人中の苦労人。大学相撲出身ながら付出資格を満たせず。それでも5年かけて、史上初めて大卒で前相撲から取って入幕を果たす。その新入幕場所(12年5月)で開花。好成績で上位とぶつけられたが、大関千代大海(この翌日横綱貴乃花に勝ったのだから不調でもない)を撃破。さらに角番大関貴ノ浪にも引導を渡した。この場所、新入幕ながら2大関倒し12勝の大暴れで敢闘・技能を受賞。2場所後また10勝の活躍で技能賞、新三役に昇進したが、この場所負った怪我が響いてあっという間に十両落ち。その後腰痛にも悩まされてエレベーター力士になってしまい、17年1月は幕下だった。それでもよく再起して17年11月再入幕して3年ぶりの幕内勝ち越し、5年ぶり三賞を得た。翌1月でも魁皇から久々銀星。しかし18年はあまりパッとせずに下位まで落ちて、十両陥落のピンチに立たされている。もう一花咲かせるか。本来、右四つの寄り身が持ち味だが、このごろは「右のおっつけ」に素晴しい冴えを発揮、廻しを取らない攻め、左四つの攻めにも磨きがかかっている。
@おっつけの技能を駆使した相撲。一方を差して挟みつけるように攻める型が秀麗。A前褌を取る相撲も可能で、出し投げがある。また、おっつけで差し手を絞り出し、モロ差しで攻めることもある。投げは少ない。B懐の深さはまずまずあり、突き押しには叩きで崩して打開。C長身だが目方がないので、相手の馬力に力負けすることがしばしば。かといって年齢や腰への負担を考えると、これがベスト体重。巧さでカバーしたい。
海 鵬 小結 <左下手寄り投げ・押し> 八角 33 177/120 | |||||||||
技能・業師型 間合1/2 [左下手食い下がり/右前褌・左右おっつけ] | |||||||||
重 | F05 | 寄 | E06 |
左下手投げ4c 内掛け 3d 右おっつけ3a 右前褌寄り2b モロ差寄り3b いなし 3c 突き落とし3c 突っ張り 2b はたき 3c |
左おっつけ2c 小手投げ2d 張り手 1d 掬い投げ2d 上手投げ2c 渡し込み2d とったり 2c 蹴返し 2e 上手出投げ2d |
<立合> 右おっつけ2b ぶちかまし2b 張差し 2c かっぱじき3d モロ差し 2c 右上手 2e 頭b肩d 胸e手d変化c |
<心> 相撲勘 晩成型 |
<技>
差し身 まわりこみ 引き足 土俵際 食い下がり もぐり 足癖 |
<体> 重心低い 敏捷 左足首痛 足腰柔軟 |
力 | E06 | 押 | E07 | ||||||
速 | C10 | 投 | C10 | ||||||
技 | D09 | 粘 | D08 | ||||||
バ | E07 | ス | E07 |
かつての上位キラーが帰ってきた。小兵らしくスピードと技で撹乱する取り口で技能賞2回獲得しているベテラン。怪我に泣かされて6年守った幕内から陥落、一時復活したが、17年の名古屋、勝ち越しを決めた後に足首に重傷。長期離脱して以来、2年間十両で苦しい土俵が続いていた。19年の名古屋でようやく幕内復帰。年齢はだいぶいってしまったが、まだまだ若々しい相撲をみせている。
@学生時代から左下手が十分。土俵をうまく使った下手投げ、内掛けなども飛び出す。200キロ超級の武蔵丸をこの2つの技で下したのが懐かしい。A離れての突っ張り、おっつけ、いなしも流れがある。スピードを生かしたこの押し相撲が、息の長い活躍を支えている。立合いの突っ込み、たまに見せるかっぱじきも脅威B引き足の速さ、回り込むうまさも武器。必殺突き落としで、大関雅山は陥落を余儀なくされた。逆四つでもそれなりに取れる器用さも。C軽量の泣き所、がっちり組まれたり、馬力で持っていかれると相撲が取れない。