現役力士データ
2007(平成19年)
安 馬 小結 <突っ張り・右四つ食下り> 安治川 23 185/113 | |||||||||
正攻法・業師型 間合1/3 [前褌食下り・右差し・突っ張り] | |||||||||
重 | F05 | 寄 | D08 |
前褌寄り 3a 上手投げ 3b のどわ 3c 突っ張り 2b 右下手投げ2b 突き落とし2c はたき 2d 外掛け 2d 引っ掛け 2c |
足取り 3c 打っ棄り 2d モロ差寄り2d モロハズ 2c 上手出投げ2c 腕ひねり 1d 右しぼり 2d 内無双 2e 小褄取り 2c |
<立合> ぶちかまし3a 前褌 2c 右のどわ 3c 張差し 1d 上手 2d とったり 2e 頭a肩e胸e 手c変化d |
<心> 気迫 突っかけ チョン立ち 策士 横攻め 人気 |
<技>
差し身 多彩 まわりこみ 手取り もぐり 食い下がり 速攻 |
<体> 前傾○ 敏捷 右肘 |
力 | D08 | 押 | D09 | ||||||
速 | B13 | 投 | D09 | ||||||
技 | C10 | 粘 | B12 | ||||||
バ | C10 | ス | C11 |
幕内最軽量ながら、正攻法の相撲と多彩な技で三役へ躍進したニューウェーブ。人気も急上昇中。立合い頭から低く突っ込み、突き上げたり中に入って前へ出る。改めて立合いの強さは馬力だけでなくスピードと角度が重要だと思い知らされる。右四つだが、まだ型にはまった四つ身ではなく、浅く廻しを引いてスピード勝負に持ち込む。食いつけずに劣勢になっても最後まで勝負を捨てず、行司泣かせの縺れる相撲もしばしば。小兵ならではの敏捷性も生かして上位で奮戦する。三役や上位全員と当る地位では苦しんでいるが、地力は安定して大勝ちもできる。19年3月は2度目の三役昇進、勝ち越して関脇昇進。三役定着が目標となる。
@鋭い当たりから前褌を取っての食い下がり。多彩な技を披露する。A突きの威力もなかなかのもの。結構リーチがあるので、のどわで押し上げ一気に出る取り口が増えても面白い。B立合いから動きの良さで先手を取るが、右下手半身でもしぶとく取れるC軽量をつかれると苦しい。突っ張りで食いつく間もなく押し出されたり、がっちり上手を引かれて胸が合って寄り切られたり、といった敗戦が主。
時天空 小結 <右四つ寄り投げ・突っ張り> 時津風 28 187/140 | |||||||||
業師型 間合0〜1/3 [右下手・突っ張り] | |||||||||
重 | E07 | 寄 | D08 |
内掛け 4c 突っ張り 3a 二枚蹴り 3d 肩透かし 3c 下手出投げ2c はたき 3b 裾払い 3c 引き落とし2b 足取り 3c |
のどわ 2c 巻き替え 2d 切り返し 2d チョン掛け2d 蹴返し 2c 外掛け 2d 引っ掛け2c 下手投げ2c 腕ひねり1e |
<立合> モロ手突き2c 右差し 2c 張差し 2c ぶちかまし2d 左上手 2c いなし 2d 頭c肩c胸b 手b変化e |
<心> 安定感 慎重 晩成型 |
<技>
手取り 右足癖 多彩 送り技多彩 変化技○ 逆四つ○ まわりこみ 対速攻× |
<体> 立ち腰 リーチ長 上体柔軟 足腰柔軟 怪我○ |
力 | D08 | 押 | D09 | ||||||
速 | D09 | 投 | D09 | ||||||
技 | C11 | 粘 | C10 | ||||||
バ | C11 | ス | C10 |
外国出身かつ大学相撲出身という異色力士。モンゴル相撲と柔道経験があり、内掛け、二枚蹴りなど足技が冴える。さすがに幕内に上がってからはその頻度も少なくなったが、これは正攻法の相撲に挑戦しているため。長身の生きる正攻法と業師ぶりは、旭鷲山と旭天鵬を合わせたような力士と言える。右四つの相撲ばかりでなく、突っ張りも習得して前へ出る相撲が多くなった。この突っ張りは長身が生きて効果があり、差し手争いで有利になるだけでなく、そのまま押し出す力もあり、技能賞選出につながった。成績のムラが少なく、番付も上位に安定。19年3月、ついに三役に昇進すると、初日朝青龍を送り倒し、琴欧洲には二枚蹴りを見舞うなど大活躍、惜しくも負け越したが存在感は十分。入門が遅かったので若手という年齢ではないが、伸びしろ十分の成長段階。新鋭に分類した。
@右四つ寄りが得意の形。長身なので胸が合っても強い。そのまま寄るというよりは、技を絡めて崩しての寄りが多いA突っ張りが伸びている。元来、四つ相撲では受身の相撲になりがちだったが、リーチを生かした突っ張りで、先手を取れるようになった。突き上げてからの叩き、肩透かし、引き落としが急増しているのはあまり褒められないが、取り口の幅が広がったのは大きい。欲を言えば上手からの攻めが欲しいところBまわしを取ればしぶとく、多彩な足技、足取りと思い切った技に出て、とことん粘る。稀勢の里が十分で寄るのを、半身から内掛け、チョン掛けと繰り出して逆転したのは見事だった。C体は柔かいが、胸を出して取る方なので、一気の突き押しには苦戦している。
琴奨菊 関脇 <左四つ寄り・押し> 佐渡ヶ嶽 23 179/150 | |||||||||
技能・押し相撲型 間合1〜2 [左差し右おっつけ/右上手] | |||||||||
重 | D08 | 寄 | C11 |
右おっつけ3a がぶり寄り3b 右上手投げ2c はねあげ 3b 左腕返し 2b 突っ張り 2b ハズ押し 2b 掬い投げ 2d 突き落とし 2c |
上手出投げ1e モロ差寄り 2d 巻き替え 1d 肩透かし 2d 渡しこみ 1c 波離間投げ1c 廻し切り 2c のどわ 2c はたき 2d |
<立合> ぶちかまし2a 左差し 2c 右おっつけ2b 張差し 1e いなし 2c 右差し 1e 頭b肩b胸e 手c変化e |
<心> 尻上がり ツラ相撲 スロ-スタ-ト |
<技>
前捌き 左堅い 右甘い 受身○ |
<体> 重心低い アゴ上がり カタフン 腰痛 |
力 | C10 | 押 | D09 | ||||||
速 | D09 | 投 | D08 | ||||||
技 | D09 | 粘 | C10 | ||||||
バ | D09 | ス | C10 |
今最も伸びている力士の一人。入幕後の歩みはゆっくりだったが、18年5月、綱取りを目指す栃東に真っ向からおっつけ勝ちして、一躍名を挙げた。7月は上位の壁に跳ね返されたが、地力に自信がついたか、一気に躍進。11月は序盤上位戦で負けが込んだが、明徳の先輩・朝青龍に投げ飛ばされてから一変。9連勝で2ケタを挙げ三賞。新年早々不運な三役見送りにも挫けず、9勝の活躍で今度こそ三役、それも関脇の地位を手にした。
@今、注目のがぶり寄り。上背がなく腕力自慢でもないので、腕を返す寄りよりも、腰の低さを保てるガブリで煽って寄る。左四つ、右おっつけでも強いが、上手を引けばがぶり寄りに一層力がみなぎる。A押し相撲でも取れる。確かに重心が低く、安芸ノ島と似ているともうなづける。Bはりま投げで勝ったことがあるように、不利な体勢からもしぶとい。Cやや勝ち味が遅く、先に十分になられることもある。アゴが上がったり、ワキが空いたりする欠点は克服されつつあるが、連勝連敗がはっきりしているのは相変わらず。
普天王 小結 <左四つ寄り・突押> 出羽海 27 181/150 | |||||||||
疾風・前進型 間合0〜2 [左差し右上手/おっつけ・突っ張り] | |||||||||
重 | C10 | 寄 | C10 |
左四つ寄り3b がぶり寄り2c 突っ張り 3b 右前褌寄り2c 左腕返し 3b 右おっつけ3b 引きつけ 2d 浴びせ倒し2c 右上手投げ2d |
張り手 2c はたき 2c 左下手投げ2d モロ差寄り1d 掬い投げ 2c 投げ寄り 2d 吊り 2d ひねり 1d 吊り寄り 2d |
<立合> ぶちかまし3b モロ手突き3b 張差し 2c 左差し 2c 右上手 2d かちあげ 1d 頭b肩b胸c 手c変化e |
<心> ムラッ気 上位キラ- ツラ相撲 慎重 番付運○ 調整× 小人気 |
<技>
がっぷり○ ワキ甘い
|
<体> 腰高 立ち腰 丸い体 粘り腰 膝硬い |
力 | C10 | 押 | D09 | ||||||
速 | E07 | 投 | D08 | ||||||
技 | E07 | 粘 | E07 | ||||||
バ | E07 | ス | D09 |
幕下15枚目格付出し。幕内下位でくすぶっていたが、17年にやっとブレイク。2場所連続2ケタ、三賞で三役昇進。そして17年秋、新小結の初日に横綱朝青龍を左四つから寄り倒し、自身のブログも相俟って一躍名を挙げた。ところがこの場所は3日目から8連敗、翌場所は途中休場し、勢いが止まってしまった。18年11月は3大関を破ってやっとブレイクかと期待されたが、取りこぼしが多く負け越した。上位キラーな割に下に負けたり、連敗癖があったりともったいない。
@左差し右上手十分。突っ張ってから組み止めるのが一番スムーズな形A四つに比べて安定感は劣るが、突き押しでも取れる。張り手も交えて意外と激しい。B腰は重いが守りに回るとあまり逆転技はない。この1年で引き技4番、投げ3番。前に出る相撲は良いが、不利な時の対応が良くなれば星は安定するC左四つの型はいいはずだが、相四つだと意外と負けている。体格はあるのだから、絶対的な強さを身に付けたい。
把瑠都 前頭 <右四つ寄り・投げ・吊り> 尾上 24 197/170 | |||||||||
スケール型 間合0 [右四つ左上手・両廻し・上手廻し] | |||||||||
重 | C10 | 寄 | D08 |
上手投げ 3b 上突っ張り2b はたき 3b ひねり 2c 小手投げ 3c 吊り寄り 3d モロ手突き2b 突き落とし3d 吊り 3c |
張り手 2c 引きつけ 4b はりま投げ3d 引き落とし3c 投げ寄り 2d 打っ棄り 2d 引きつけ 3c のどわ 2c 上手透かし2b |
<立合> 張差し 2c モロ手突き2b 左上手 3b かちあげ2d はたき 3d 抱え込み2c 頭d肩b胸b 手b変化c |
<心> 引き癖 投げ癖 強引 |
<技>
ワキ甘い 上手相撲 肩腰上手 外四つ○ 体入れ替え 引っ張り込み 呼び込み 対押し× |
<体> 腰高 懐深い◎ リーチ○ 反身○ 引き足× 左足首 |
力 | A14 | 押 | E07 | ||||||
速 | E07 | 投 | D08 | ||||||
技 | F05 | 粘 | D08 | ||||||
バ | E07 | ス | E07 |
雷電の再来とも形容される新時代の怪物。43年ぶりに十両全勝優勝を果たし、前場所の幕下から20連勝の快進撃で18年5月新入幕を果たす(史上2位の所要12場所)。そして新入幕であの大活躍、史上2人目の新入幕優勝は逃したが、驚異的な勝ち方を続けて11勝4敗で敢闘賞。小錦旋風以来と騒がれた。小錦が黒船なら、さしずめバルチック艦隊といったところか。ところが、昨年後半からは強引な相撲の弱点を露呈。9月場所は引き技で呼び込んで左膝が入り、故障。11月は二桁勝利、1月は相撲を矯正して連勝スタートしたのも束の間、今度は投げで呼び込んでまた左膝が入り負傷。同じ失敗を繰り返して休場に追い込まれた。そろそろ大銀杏も結えるであろう19年は、再び快進撃が始まるのだろうか。
@右四つ、多少肩越しでも上手を取り、持ち上げるように寄るのが持ち味。上手投げ、吊りも豪快。A右四つ十分とは言うが、まだ固まっているわけではない。十両全勝を果たした隆乃若戦のように、左四つ、右からの上手投げもある。今年は上手の取り方を矯正し、左前褌を狙う取り口に取り組んでいる。これが身につけば腰高も解消され、怖い存在に。Bワキが甘く、二本差されることもしばしば。ところが信じられないほどの懐の深さで、廻しを取って振り飛ばしたり、後ろ褌を引っ掛けて上手透かしのように引き落としたりと、前代未聞のスケールの大きな相撲で凌いでしまう。Cまわしが取れず、突きたてられると体が起き、あっけなくやられてしまう。すぐ引いて呼び込む悪癖も。
朝赤龍 前頭 <左四つ寄り・投げ・押し> 高砂 26 184/140 | |||||||||
業師・押し相撲型 間合1〜3 [左差し右上手・右差し左上手・左右おっつけ] | |||||||||
重 | E07 | 寄 | D08 |
右上手投げ3b 上手出投げ3d 下手投げ 2c 左前褌寄り2d はたき 2b 突き落とし 3b 右おっつけ2d 引き落とし 3c かわず掛け2d |
内無双 2d はねあげ 2b 小手投げ 2d 巻き替え 2d 下手出投げ1d いなし 3b たぐり 2c 突っ張り 2c ひねり 2d |
<立合> モロ手突き2b 左差し 2b 張差し 2d 右おっつけ2b 足取り 1e 突き落とし2d 頭c肩c胸d 手b変化d |
<心> 慎重 ムラッ気 ツラ相撲 早熟型 |
<技>
まわりこみ 逆四つ○ 変化技○ 受身○
|
<体> 重心低い 体質柔軟 両膝 怪我× |
力 | D08 | 押 | D08 | ||||||
速 | C10 | 投 | C10 | ||||||
技 | D09 | 粘 | C11 | ||||||
バ | D09 | ス | D09 |
朝青龍の1年後輩で、同じくモンゴルー明徳義塾留学と渡ってきた。体は大きくないが、 しぶとさが身上。低い体勢であてがい、機を見ていなし、叩きで崩して攻める。最近は足の怪我で激しい動きが減り、引き技で勝ちを拾うことが多い。元来左四つの寄り、右上手投げを得意としているが、あまり型にはこだわらず右四つの相撲や離れての押しの展開でも取れる。課題は自分から前へ出る圧力、速攻相撲。体からしてそれを磨かないと上は狙えない。16年3月は旋風を巻き起こし、初日から連戦連勝、魁皇との全勝対決を制し12連勝、13日目やはり全勝の千代大海に敗れたとはいえ突き押し大関に全く引けを取らない大善戦で13勝2敗の好成績を挙げた。同年7月も千秋楽まで優勝を争った。あの頃の勢いはどこに行ってしまったのかと残念がられたが、18年5月、4大関を破る活躍で優勝を争い、新三役に。その初日綱取りを狙う白鵬を破ったが、翌日左足の靭帯を痛めてまた出直しとなった。足腰で取る相撲だけに、ヒザの怪我と縁が切れないのは辛い。休場明けは負け越したが、その後連続二桁しており、地力はついている。三役に定着したい。
@右四つでも左四つでも、離れても相撲が取れるが、やはり体型的にも前まわしを取った時が身上のしぶとさが最も発揮される。A食い下がれば、出し投げも見せるし、無双などの技もある。B普通の技能派と違い、押し相撲にもしぶとく対抗する。しっかりあてがいながらのいなし、叩きでも勝ち星を稼ぐ。Cあまり弱点はないが、守りの相撲で決め手に欠け、相手のペースになってしまうことがある。